フロリダ高速鉄道こぼれ話

今回フロリダ高速鉄道の話題を書くにあたって見つかった素材のうち、シェアする価値があるものをいくつか掲げておきます。

●フロリダ高速鉄道計画を推進派の知事は1980年代に来日

フロリダ高速鉄道の計画は四半世紀の歴史があると、事あるごとに強調されるのですが、資料から、1982年に当時の知事が日本を訪問していたことがわかりました。新幹線を視察に来たのです。
ということで、フロリダ高速鉄道の関係者たちも、日本には当然一目を置いているはずです。

●Orlando International Airportが考えるインターモーダル

インターモーダルとは、複数の輸送手段（mode）を組み合わせて効率的な輸送を実現することを指します。旅客用のインターモーダルと貨物用のインターモーダルがあります。
最近よくお世話になっているWikipedia英語版によると、空港はそもそもがインターモーダルを実現しているファシリティだとのことです。すなわち、空路でやってきた乗客は空港からレンタカーやリムジンや列車などで市街地などへ移動します。また、空港へのアクセスもそうした交通手段に頼らなければなりません。空港そのものがインターモーダルでないと成立できないという状況に置かれているわけですね。

ここで空港の経営者がインターモーダルに思いを巡らすとすれば、自らの空港の競争力を高めるため、すなわち、乗降客数を増やし、空港全体の収益を高めるために必要な方策を講じるということになります。

フロリダ高速鉄道との関連で言えば、Orlando空港内に新駅を設けることによって、より利便性が増し、乗降客数が増えることを想定して設置するわけです。そういう前提を理解して、11月9日に同空港関係者によって行われた空港内新駅のプレゼン資料を読むと、狙いがよくわかります。
一言で言えば、アメリカ初の高速鉄道と有機的にリンクした未来型の空港を目指しているのです。以下の2つの画像を同資料から引用します。

上の画像は、新駅のコンセプト図。コミューターと呼ばれるライトレールと高速鉄道の2系統を1つの駅に収めます。
下の画像は、これから建設が予定されている新ターミナルと新駅が渾然一体となっているコンセプト図です。非常に美しいと言えるでしょう。

●フロリダ高速鉄道が敷設される地域のGDP

フロリダ高速鉄道の応札企業グループなどが集まった11月8〜9日の会合では、地域の首長らによる出席者へのアピールも行われました。端的には、投資に見合った地域であるとの主張です。

Tampa市への投資促進、具体的には、企業の本社ビルの移転誘致などを行っている団体Tampa Bay Partnershipが行ったプレゼンテーションでは、Orlando市とTampa市を結ぶエリアのGDPが2,772億ドルであることが説明されました。世界銀行のGDPランキング（2009年）で確かめてみると、順位で言えば32位、南アフリカとタイの中間に位置する規模です。としてみれば、かなりな経済圏ということになります。
ちなみに日本の都道府県と比較すると、神奈川県よりは小さく、埼玉県よりは大きいGDPとなります。

余談ですが、ここにある主要国と都道府県のGDP規模順位（2006年）の図を見ていると、日本の各県は東南アジアや東欧の国々と同等のGDP規模を持っています。例えば、ベトナムには、日本企業がインフラ投資の攻勢をかけつつありますが、翻って日本の各都道府県には、そのようなインフラ投資によって経済が活性化する余地がないものでしょうか？

仮にあるとすれば、フロリダ州輸送局のように計画を公開し、投資機会を海外の企業グループに開放して、そこに海外からの投資を呼び込むということもできそうに思うのですが、いかがでしょうか？

●7月下旬に応札候補企業グループに対して行われた説明会の動画

High Speed Rail Newsという動画の専門媒体があり、Youtubeで過去のアーカイブを観ることができます。7月19日にフロリダ高速鉄道への応札を検討している海外企業グループに対してTampa市で行われた説明会の模様を伝えているビデオがありました。
後半で各国の高速鉄道計画を示す図が使われています。中国の計画がすごいですね。高速鉄道はまもなく中国中心で動くようになります。

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