最近気づきました。まず、学習曲線。

Thelearningcurve

こちらから引用させていただきました。

そして、イノベーションの普及の累積度合を表したS字カーブ。

Adoptioncurve

こちらから引用させていただきました。こちらの方は縦軸のスケールが違うので、上下に長いS字ですが、スケールを変えれば両者はまぁ同じですね。これらはサンプルです…。こうした類似についてTwitterでちょろっとつぶやいたところ中村昭典さんから反応をいただいてうれしかったです。

そもそも「イノベーションの普及」を書いたロジャーズは、「イノベーションは、そのイノベーションに関する学習行為を含む」というような意味のことを書いていて、ある意味、フラクタルですが、イノベーションと学習とは切り離せないという考えを提示しています。

また、少し考えてみても、iPhoneが出てきた時には、みんなが情報を収集し、いち早く買う人は買い、色んな操作方法を試し、それをブログなんかで書き、書かれたものを大勢が読む…というような形で、「社会的な学習」が行われました。

そうした社会的な学習の結果として、より多くの人がiPhoneのすばらしさに気づくようになったわけです。そしてまた、後から買った人たちも、先輩たちがたどったのと同じような経路で学習を積み重ねて、立派なiPhoneユーザーになっていきました。

iPhoneがイノベーションであることに間違いはありません。そのイノベーションをみんなで学ぶことによって、広範な普及が起こったわけです(シェア云々の野暮なことは持ち出さないように)。

仮に、そうした社会的な学習がないとしたら、つまり、一群のイノベーターによるパイオニア的な操作の学習がなく、その学習成果が記事やブログに書かれることもなく、従って、多くの人がiPhoneのイノベーティブな点に気づくこともなく…という連鎖に入ってしまうと、iPhoneは普及しなかったと思います。

すなわち、iPhoneの普及にはユーザーおよび潜在ユーザーによる社会的な学習が大きく関わっている。上のS字カーブで言えば、社会的な学習のカーブがぐーっと立ち上がる状況において、より多くの消費者へのiPhone普及も進んだ。結局この2つのS字カーブは、1つの物事の別な側面を見ているだけなのかなという気もしてきます。

その延長で、Twitterを考えてみると、Twitterにおいても社会的な学習がいま盛んに行われています。色んな人が色んな使い方を発見し、工夫し、その結果を報告しています。おそらくTwitterも、イノベーション普及のS字カーブのように、これからぐーっと普及していき、最終的には社会インフラ化するのでしょうね。

追記:

Twitterに関して補足しておくと、Twitterでは学んだことをすぐに試してみることができるのが非常に大きなポイントですね。例えば、ハッシュタグについて学んだ後で、自分のツイートにハッシュタグをまぜて試すことができます。人が作ったハッシュタグを試した上で、自分がオリジナルなハッシュタグを作り、それの効果を試すことができます。こうした「試行」によって学習はより深まりますね。

そうしたちょっとした学習、ちょっとした試行の集積が現在のTwitter(ユーザーから見たTwitter)を形づくっていると言えます。Twitterは、ある意味では、活用方法に関する学習と試行のための実験場です。 → 従って、どんどん実験して、どんどん学習すると、どんどん先に進める的なところがあります。

dimaizum

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コメント
noriko arai 2010/03/12 08:30

図ではopinion leader になってますが、ロジャーズ自身は early adapterという言葉を使ってます。そのearly adapter の後に深いキャズムが存在するというのが、操作性が難しいグッズではよく指摘されることかと思います。
ロジャースも、普及を成功させるために「試行可能性」があることを条件としています。
試行が簡単というのは diffusionのバリアを低くしますね。
試行ができないと、学習はできないわけですから、複雑な情報処理をとる型の採用においては、試行は大きなポイントですね。

今泉 2010/03/13 09:27

新井先生、コメントありがとうございます!
>ロジャースも、普及を成功させるために「試行可能性」があることを条件としています。
そうですね、ありました、ありました(同書内)。
>試行が簡単というのは diffusionのバリアを低くしますね。
おっしゃる通りです!(その延長で考えれば、みんながユニクロを着るようになったのは、安くて試行が簡単ということがあるからかも…)
>試行ができないと、学習はできないわけですから、複雑な情報処理をとる型の採用においては、試行は大きなポイントですね。
なるほど、深いですね…。「複雑な情報処理をとる型」…。自分をハブとした社会ネットワークの構築ですね→試行の敷居が低いものほど使われやすい→Twitter ?

中村昭典 2010/03/14 11:02

今泉さん、ボソっとつぶやいたことを喜んでいただけて恐縮です。
わたしは数値解析という名のblogを書いていながら、今泉さんのような解析をしたことがない(笑)。
我ながら恥ずかしい限りです。
 
ご指摘の通り、イノベーティブな製品が生まれたとき、それを世の中のフツーな人が様々に取り上げて話題にする仕組みができあがっていることが、画期的なことだと感じますね。
20年前なら、特定業界内や、学識者の学会、マスコミが取り上げるくらいしか手段がなかった。
学習や試行の成果が限られた人の間でしか共有されなかった時代から、一般市民誰もが話題にする=共有できるようになったことで、まさに「社会的な」学習が行われるようになった。だからS字曲線もグーンと急勾配になってるわけで。すばらしい時代になりましたね。
 
その意味では、(話が少しずれますが)大学の講義や学会のあり方ももっとオープンにしないといけないですよね。公開することで、社会的学習が行われるようになれば、もっともっと学習の質的向上に寄与できる。
昨今、卒論発表のUST公開が始まりましたが、一部にはこうした動きが芽生えています。いろんな問題を乗り越えて、新しいインフラをフルに活用し、社会的学習が盛り上がるといいですね。
 
勉強になりました、よい記事をありがとうございました。

今泉 2010/03/14 18:15

コメントありがとうございます!
>20年前なら、特定業界内や、学識者の学会、マスコミが取り上げるくらいしか手段がなかった。
>学習や試行の成果が限られた人の間でしか共有されなかった時代から、一般市民誰もが話題にする=共有できるようになったことで、まさに「社会的な」学習が行われるようになっ
>た。だからS字曲線もグーンと急勾配になってるわけで。すばらしい時代になりましたね。
↑そうですね。

>その意味では、(話が少しずれますが)大学の講義や学会のあり方ももっとオープンにしないといけないですよね。公開することで、社会的学習が行われるようになれば、もっともっと学習の質的向上に寄与できる。
↑なるほどなるほど。それに関連して興味深いツイートを発見しました。
http://twitter.com/learnologist/status/10456311508
つまり、イノベーションをどんどん取り込むといいということなんでしょうね。そういう意味でUstの活用は興味深いですね。


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プロフィール

今泉 大輔

今泉 大輔

インフラ投資ジャーナリスト。インフラビジネスリサーチャー。
銀行系シンクタンク、外資系コンサルティングファームからのリサーチ受託を経て、米最大手ネットワーク機器会社に7年間あまりリサーチャーとして勤務。金融、製造業、電力業などを担当。現在はインフラ関連のリサーチサービスを運営。

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