書き手の方は今すぐTwitterを/出版社は役割の再定義を
前2本の投稿を時間に追われて書いていたもので、2点ほど重要な事柄を書き忘れました。手短にまとめます。(改題しました)
■書き手の方は今すぐTwitterを始めるとよいでしょう
Amazon Kindle日本語版の個人出版プラットフォームが具体化するのは、早ければ今年末ぐらいでしょうか。Apple iPadの電子出版(非個人出版)については池田信夫氏が主宰するアゴラで始まるようですが、それが個人出版まで降りてくるにはまだ数ヶ月はかかると思います。
おおむねあと1年弱。書き手の方はその間、何もしないでおくという手はありません。
Twitterによる顧客コミュニティづくりは今始めてすぐに形になるものではなく、3~6ヶ月程度の試行期間が必要です。また、コミュニティづくりに着手する前に、1人の個人としてTwitterに慣れ、基本的なリテラシーを習得することも必要です。これにも1~3ヶ月かかります。
基本的なリテラシー習得を最短で行うには次の手順で進むのがよいでしょう。
時間を節約するという意味で、Twitterの利用環境はiPhoneメインにし、Webをサブにしましょう。他の端末を選択すべく情報収集などをやってみても時間のムダです。iPhoneがないならソフトバンクのショップへ行ってすぐに契約しましょう。「自分はドコモだから」「auだから」とわがまま言っていては、Twitterの威力をいつまで経っても理解することはできません。既存の携帯とiPhoneとで2台持つぐらい、将来の食い扶持への投資として見れば安いものです。
次にAmazonで買えるTwitter関連本を少なくとも3冊は読み、基本事項を頭からインプットしましょう。書店によってはTwitter関連本が店頭からなくなっている場合もあるので、ネット書店で買い揃えるのが無難です。私も最初に5冊まとめて買い、斜め読みして著者の背景の違いを理解し、必要なところだけしっかり読みました。この投稿はその時のもの。
その後も関連書籍が出れば取りあえず買って読むようにしています。ちなみに私は2007年夏頃からTwitterを使っています。ノウハウはすべて理解したつもりになっていました。しかし、昨年半ばから今年にかけて出版された関連書籍をまとめて読んでみると、目からウロコということがあるんですね。色々と新しい知見が得られます。最近の弊ブログの投稿はそうした知見をベースに、自分の経験や考えを加えて書いています。Twitter本は何冊かまとめて読むことをお勧めします。
その上で、自分に適したツイート内容、@付き返信のノウハウ、非公式RTと公式RTの使い分け、効果的なRTのノウハウ、ハッシュタグの活用法、関心を持った相手との絡み方、リアルイベントへの参加といった具体面を習得していけばよいでしょう。これに早くても1ヶ月、普通にやっていると3ヶ月はかかります。
その後がコミュニティ構築です。コミュニティ構築の実際面の理解には「ツイッターノミクス」(タラ・ハント著、文芸春秋社)所収の複数のエピソードが役に立ちます。
ベースは以前に書いたパーソナルブランディングです。そこに顧客とのつながりを醸成するためのエンゲージメントが加わります。これらをみっちりやっていると、すぐに3~4ヶ月経ってしまいます。コミュニティコミュニティした実態ができあがるには6ヶ月~9ヶ月といったところでしょうか。基本リテラシーの習得と併せて約1年。従って、個人出版のプラットフォームができるまでの約1年を、自分のコミュニティの準備に当てると、ちょうどタイミングが合うわけです。
コミュニティ構築の具体面、特に潜在顧客とのダイアローグを通じて関係を作っていく手法とリアルイベントへの持って行きかたについては、すでにノウハウを蓄積している先達に直接聞くのが一番だと思います。お勧めは後藤たくひろさんです。フィーベースで対応もしてくれますが、都心のランチ程度なら気安く応じてくれるでしょう。彼は版元の社長やビジネス書の著者複数と親交があり、マガジンハウスのWeb媒体の企画にも参加しています。
■出版社は自らの役割の再定義をしておくとよいでしょう
Amazon KindleやApple iPadによる個人出版がうねりを持ってきたとして、多くの有力な著者がその高い印税率に引かれて個人出版環境へ流れる状況が出てきた時、出版社さんの役割は終わってしまうのでしょうか?私はそうは考えません。
非常に多忙な著者の場合、1人でtwitterを活用してコミュニティ運営をし、1人でリアルイベントを取り仕切り、1人で企画を考え(読者ターゲットを絞り構成を考える)、1人で書き、1人で編集し…なんてことが全部できるわけではありません。3本にわたって書いてきた内容は、オール・バイ・マイセルフのTwitter活用個人出版についてです。それに対して各所でプロが関わるシステマティックな”個人出版”もあっていいと思います。例えて言えば、年間を通じて何らかの作業を行っている松任谷由実のライブのスタッフチームのような動き方です。
いずれにしても自社の役割の再定義が必要になると思います。編集に特化するのか。著者との緊密な連携に特化するのか。リアルイベント系に特化するのか。著者を広義のコンテンツとして位置づける新しいタイプのビジネスに参入するのか。
事業環境の激変を前に自社の業務を再定義するということは、出版業に限らず、非常に多くの業界で行われていることですから、これに前向きに臨むべきでしょう。
以下の写真は本文とはあまり関係ありません。昨日表参道そばの某所で開催された「スペインワイン&グルメを音楽、そして映像と共に楽しむひととき」の会場光景。こちらのワインがやたらとうまかったです。