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ブログがキャズムを越えるには新種のインセンティブが必要だと本気で思う

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ブロガーがもらえる金銭的なインセンティブはものすごーく少ないです。常日頃そう考えています。アフィリエートをやったとしても、AdWordsを付けたとしても、もらえるのはン百円、ン千円、よくて1桁万円台前半ぐらい。
更新頻度の高い人になると週に2-3回密度の高い投稿を上げるわけですが、非常に高い熱意と見識とでもって書かれるそうした投稿群に対して、1ヶ月合計が最大1桁万円台前半ではインセンティブになり得ません。と少なくとも私個人は思います。

ものを書いて食べていた頃、雑誌記事を書くのに「1ページ5万円以上でなきゃイヤだ」と言っておりました。物書きをやめる最後の時期です。出版筋の方がこれを読むと「とんでもない奴だ」という印象をお持ちになると思いますが、けれどもそれはメディア側の発想であって、情報収集をして取材をして自分サイドでは二版三版と時間を使って書いて、それで2pで6万円では浮かばれません。事実、2pもの連載記事が5本あったとしても、その月の売上は50万円。一般的に連載記事を5本、それも2pの分量があるものを毎月コンスタントに質を落とさずに書いていくというのは、非常に非常に労力と集中を要することです。
自分の場合1998年ぐらいからシンクタンク等の仕事をさせていただくようになったこともあって、毎月の売上が当時100~150万円程度あり、記事執筆のギャラがたとえ低くてもあまりこたえないという状況でしたが、それでもページ単価3万円ではインセンティブをまったく感じなかったな。コスト・労力・中身に対する正当な対価等を考えると、ちょっと…。

そうした水準でブロガーが得る金銭的なインセンティブを考えると、やはりインセンティブとは言えないなーという感じです。お小遣いというのとも違う。何かの取材などに応じていただく謝礼ぐらいの感じです(以前は額面500円のテレホンカードがよく使われていました)。いわゆるお車代が5万円が最低相場であることを考えると、お車代とも言えない。正直なところそう思います。

ブログがつまらなくなったという議論が最近行われていますが、私の考えでは、ここで述べている金銭的なインセンティブが実質的に「ない」という状況で(無形のリスペクト等の報酬だけという状況で)、相当の見識や能力や知識等々がある方がブログを書き続けられるのは2年程度である、従って2年を過ぎるあたりから急速に更新欲が薄れてきて、それが今現れている現象なのではないか、というところです。

2年という数字にどういう意味があるかは、以前に述べました

一般論として、才能は報酬を求めます。以前どなたかの文章で、その時代時代のもっとも優秀な才能は、もっともギャランティが大きな業界に集まる、という意味のことを書かれていたのを読んだことがあります。それも真実だなと思いました。
70年代~80年代前半であれば広告業界。その前はテレビ業界。80年代後半の一時期は音楽業界、それからゲーム業界と推移して…。90年代後半から金融業界になっているんでしょうか?これからは…実物資産の最たるもの、食糧?(なんちて)

ブログがおもしろかった時期というのは、放っておいても無形の大きな報酬を求めて無数の才能が集まっていた時期だと思うのです。けれどもその無形の大きな報酬がだんだんとコモディティ化して報酬として機能しなくなった。上述のように金銭面ではとるに足らない。そこで更新欲がうせて行く。そういう図式があるように思います。

ブログというものがキャズムを越えられるかどうかの瀬戸際なんでしょうね。

もしここで新種のインセンティブが開発され、提供されるならば、更新欲が減退したブロガーももりもりと復活してきて、また、新たな筆力を発揮してくれるかも知れない。あるいは、これまで眠っていた膨大な実務系専門家系プロフェッショナル系の人たちが夜に昼にブログを書き継ぎ、膨大な日本語の知識資産がインターネット空間にあふれるようになるのかも知れない。そんなことを本気で考えています。

いま、開発している[pepoz](ピーポーズ)というサービスは、非常に貴重な経験や専門ノウハウをお持ちの方が30分とか60分とかの時間を一人の顧客のために使い、金銭的な対価を得るという骨格を持っています。[pepoz]のブログパーツを自分のブログに貼り付けて、自分の空き時間と対応できる内容を明記しておくと、誰かがぽちっと押して予約してくれる。イメージとしては、その人の年収から割り出した時給に相当する金額あるいはそれ以上を対価として得る、という世界を目指しています。もっとも金額は需給で決まってくるわけですが。
このモデルには賛否両論あって、ものすごーく評価をしてくださっている方もいれば、そんなもの成立するわけがねーとおっしゃる方もいます。双方の言い分はよく承知しています。ですが、あえてそれをやるのです。

そういうインセンティブが機能し始めれば、ブログはキャズムを越えられるということになるのかもしれませんね。

Comment(5)

コメント

うーん。我々にとって原稿料が投下体力に見合う程高くないというは同意なんですが、これって市場原理が働いて値段が決まっているとも思うのです。需要と供給があってその落としどころで値段が決まっているのかと。
 だから考え方は逆かもしれなくて、むしろ1ページ2万円しか貰えないのにそれに必要以上のコスト書けている我々が悪いのかもと。例えば1回5万円以上貰えない時は、いつかの原稿の焼き直しですませるとかそういう工夫が必要なのは書き手側の可能性もあると思うのです。
 で、ブログの話に戻って、書き手が金銭面でのリターン以外にも得るものが多いと思えば手をかけてでもノウハウを出してでも面白いモノを書くと思うのです。そう思って多くのブロガーがやってきたと思いますが、結局その書いている内容の価値が今のところは市場的には認められていないというだけだと思います。これってインセンティブを無理矢理上げるだけでは解決できないのではないでしょかねぇ。
 あと最近のブログ限界論の話ですが、この金銭面以外でのリターンとして会社を興したりブロガーの代表になるというリターンを得た人が限界論を言い始めているのが注目だと思います。金銭面以外のリターンは案外魅力が無かったということなのかもしれません。

吉川さん、コメントありがとうございます。
ブログの話の方ですが…。自分はいわゆるブログシーンの外で非常に専門的なブログを書いていらっしゃる方に編集者が抱くような興味を強く持っています。「あ、この人すげー。本を書くとおもしろいのに」というような。
例えば、ロンドン在住でイギリスの流通小売業にやたらと詳しいプロないしセミプロのような方が、イギリスの流通小売分野で起こっている生な話題を月に数本書くといった方です。あくまでも例ですが。
こういう方に対しては、日本にいるその筋の方が、可能であるならば電話で問い合わせて15分~30分程度話をし、現地の状況のうちの特に興味のある分野について詳細な情報をもらう、といったニーズがあったりします。
相手が非常に特殊な分野について知識があるがゆえに、リアルタイムで話をしたいというニーズです。
現在は、これが不可能ではないとしても、スマートにやる方法がないし妥当な対価の受け渡しも難しいです。また、いくら対価を渡したら適当なのかという目安もわかりません。
そのへんを新規のサービスで解消したいと考えています。
仮にそうしたサービスがあると、これまでブログシーンにいた方とは別な方々が大挙して自分の専門性を自己紹介するという性格のブログを書くようになるのではないか(勤務先等の守秘義務に触れない範疇で)。
暗黙知をブログで伝達することはできないにしても、暗黙知を彷彿とさせる何かをブログの形式で伝達するようになるのではないか。でもって、暗黙知の部分はそれを必要とする人が対価を払って、電話なりビデオ電話などで教えてもらえばいい。(あくまでも、それを必要とする人が対価を支払う→対価の高い安いはあまり問題にならない世界。その人しか答えられないから対価を支払う世界です。)
こういう形の新手のブログが出てくると、ブログ状況がもっとおもしろくなると考えています。
言ってしまえば、専門的な知のロングテールが活性化して、お金のやり取りも生じるようになる、という感じでしょうか。現在主流のブロガーの方々よりも、もう少し年齢層が上の方々がメインになるのではないかと思っています。

この[pepoz](ピーポーズ)というサービスは、昔Keen.comがやっていたサービスみないになるんでしょうか、それとも人力検索系でchacha.comのような質問回答式になるのでしょうか。
 オールアバウトあたりなんかも競合になりそうではありますがちょっと楽しみですね。期待しています。

この[pepoz](ピーポーズ)というサービスは、昔Keen.comがやっていたサービスみないになるんでしょうか、それとも人力検索系でchacha.comのような質問回答式になるのでしょうか。
 オールアバウトあたりなんかも競合になりそうではありますがちょっと楽しみですね。期待しています。

どうもありがとうございます!
>昔Keen.comがやっていたサービス
そうですね、似たようなものを探すと、米国だけでなく中国などにも事例はあります。ただいずれも少しずつ違っています。
あとはマーケティングですね。サービスそのものが新機軸を持っていてもマーケティングがヘタでは際物で終わってしまいます。
競合になりそうな企業さんも日本にいくつかありますが、そこは狭い世界ですでに訪問済みだったり人ひとりを介せばお話させていただける状況です。うまく棲み分けができればいいなと思っています。

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