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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ライブドア・ショックただなかの最良の方策(末尾追記)

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インターネットで個人が株式を取引できるということには、AppleがApple IIによって、それまで限られた主体にしか操作できなかったコンピュータを広く一般個人に開放したのにも似た、革命的な意味があると考えています。
97年~98年頃にそのことが非常におもしろくなり、関係の仕事もしたし、一般の方々向けに啓蒙のための本なども書きました。

その後、厚みを増してきた個人投資家にも支えられて、ネット系ベンチャーのIPOがブームになり、自分でも「IPOという選択」という本を苦労して書いて出して、タイミングが遅くてあまり売れずにあぁとか思っているうちに、日本の株式相場は長期低迷傾向が定着していきます。

過去の話はそれぐらいにして、問題はライブドア・ショックが起こっている「今」です。
第三者的な立場で見ると、現在、インターネットで株式投資を積極的に行っている個人の大半が、2000年のITバブル崩壊を経験していない方々ではないかと思います。ネット証券会社の自動売買の仕組みにも支えられて、利益が出しやすかったでしょうし、個人に対してハードルが下がった信用取引にも着手し、利益を大きくしている方々がそこそこいらっしゃるように見受けます。

相場が大きく動く時はこのような投資アプローチ(短期で頻繁に売り買いして利益を出すアプローチ)は大きな痛手を蒙りがちです。往々にして市場全体が大きく下げるということを想定していないからです。相場全体が大きく下落するなかで、プロのトレーダーがどういう状況に直面し、どう行動したかというのは、本などもあるし、NHKのドキュメンタリー(投資家ビクター・ニーダホッファのケース)などでも報じられていたので、ここでは書きません。
そうしたプロのトレーダーが直面したのに似た状況が、一昨日と昨日、個人の方々において起こっていると推察します。

ここにおいて、経験からくる知識に頼れない個人投資家はどうすればいいのか?

基本的には「待つ」というのが最良の策です。端的には売りも買いも当面はやらない。どのぐらいやらないかというと、半年~3年ぐらいはやらないという時間感覚です。

各種のメディアでは相場下落がリアルタイムで”増幅”されて報じられますが(往々にしてそういうものです)、そのなかで、自分の目や耳に不安を煽る文言が怒涛のように押し寄せますが、それには目をつぶり耳をふさいで、忘れることができるなら忘れてしまって「よーし、オレは待つ」と頑迷固陋唯我独尊状態になって待つわけです。

仮にライブドア関連の銘柄を持っていたとしても、ライブドア本体が上場廃止へなどと報じられているにしても、仮に3年あれば、あるいは5年あれば、事業再編や資本関係再編を経て、法人として見事に復活して売れなかった株が売れるようになる可能性があります。同様のパターンは過去に何件もあります。

そうでない銘柄、言い換えれば、実質的に企業の将来性や事業の現状に何の変化も起こっていないのに、ライブドアショックのとばっちりを受けて下げている銘柄の場合は、なおさらです。早くて数日、遅くても数ヶ月あれば値は戻るでしょう。

日本の経済自体のファンダメンタルズも、ライブドアの件で、何ら傷ついたことにはなりません。いわゆる失われた10年の間に、非効率的な経済システムの多くの要素は改善され、企業活動で利益が出やすくなっています。行政の効率化も進みました。
そんなこんなで、ライブドアショックが他の銘柄に及ぼす影響は、時間的に限られていると考えるのが順当です。(ただし東証のシステム能力についた疑問を払拭するには、長くかかるかも知れません。外国人投資家の腰が引けるのは確かでしょう→そういう意味では日本の相場に影響を与える可能性がありますが)

コーポレートファイナンスのイロハを勉強して、オプションの価値を算出する仕組みやリアルオプションの考え方がわかれば(文型頭であって数式的にはきちんと理解できないにしても、そのロジックが理解できさえすれば)、「待つオプション」には相応の実体のある価値があるのだ判断できます。

現在、何らかの銘柄を持っている人が、それを売ってしまえば、その人が駆使できるオプション(選択肢)はなくなります。将来において価値を高める可能性がある行動に出ることはできなくなります(もっとも売ったお金か別なお金で別な銘柄を買うということはできますが、ここでは埒外とします。当該銘柄に関する選択肢という意味で言っています)。
けれども持っている限りは、値が多少戻した時に損失を軽減した形で売ることもできるし、数年は忘れてしまって、事業が再生して復活した時に、やや高値で売るということもできるかも知れません。「待つオプション」にはそういう”功徳”があります。まさに”功徳”というのにふさわしいリターンがあります。じっとこらえて待つわけですから、それぐらいのリターンがなければなりません。

(以下のパラグラフが切れた形でアップしてました。追記します)

市場参加者全員が騒然となっているなかで、最良の方策は「待つオプション」である。そう思いませんか?

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