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人の強みを知ることからすべてが始まる――「ストレングスファインダー」でチームマネジメントを学ぶ

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strength.jpg評価 ★★★★☆(4.5)

 元来、心理テストや性格診断みたいなテストの結果はあまり信じないし、何より人を型にはめて考えるのはそこまで好きじゃないーーそんな私でもこのテストは気に入った、というか、一度やってみるべきだとオススメできる。

 日本経済新聞社が発売した「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう」は、自分に秘められた5つの強みを調べるWebテスト「ストレングスファインダー」(strength finder)を受け、自分や他人の強みを理解し、仕事におけるチーム作りやコミュニケーションに役立てるという内容だ。書籍の末尾にWebテストを受けるためのアクセスコードが付属している。

 ストレングスファインダーでは、人間の資質として34種類を挙げている。話術に優れる「コミュニケーション」や、発想力に長けた「着想」、戦略構築を得意とする「戦略性」など、その能力は多岐にわたる。生まれ持った能力というよりも、行動特性や価値観に近いもので、診断結果では思考パターンにまで話が及ぶ。それぞれの資質の詳細については、以下のページをご覧いただきたい。

 参考リンク→http://information-retrieval.jp/blog/005-books/strength-finder/

 テストの質についても、ギャラップ社が30年かけて200万人にインタビューをした結果、と本書で触れており、信憑性がある。今までさまざまな人にやってもらったが、大体の人が結果について納得していた(強みしか出ないからかもしれないが)。

 こうした診断テストは他人と共有するのも楽しみの1つだが、特にこのストレングスファインダーは、仕事の同僚やチームのメンバーと結果を共有するのがオススメだ。

 こうした診断テストでありがちな話として、結果を他者に見せるのは恥ずかしい、と思う人もいるかもしれない。しかし、ストレングスファインダーで出てくる結果は、自分の強み、つまり良い部分だけだ。他人と共有したときに生産性のある会話につながるところは、本テストならではの楽しさである。

●「人の弱点なんて一生直らない」という真言

 また、この本ではチームマネジメントや仕事におけるコミュニケーションの取り方について、基本となる姿勢を学ぶことができる。

 本書では、多くの企業が陥っている問題として「従業員に得意分野があるのは当たり前と考え、弱点を減らすことに力を注いでいる」と述べる。弱点を補ったとしても"ダメージコントロール"に過ぎない、と本書では説明しているが、単純に「人の弱点なんてそう簡単には、場合によっては一生直らない」ということだ。

 得られるメリットを考えれば、弱点を消すコストより、強みを伸ばすコストの方が安いし、その方がモチベーションも上がる。弱点潰しに時間もお金も必要以上にかけることはない。本書では、弱点を補わせる研修に参加させる例を挙げているが、これは研修だけではなく、人材育成から先輩と後輩のコミュニケーション全般にまで当てはまる。

 例えば、自分の部下や同僚の仕事について、ほめることと注意(悪い点を指摘するという意味)することとどちらが多いだろうか。本書に従えば、弱点の指摘は最低限にし、強みを伸ばすよう指導すべきである。実際に仕事をしていれば、悪いところが目立つことが多いだろうが、それでも相手の長所を見つけることが重要なのだ。

 大きな会社の場合、弱点潰しが組織全体のリスクヘッジを目的としている場合もある。確かに広範囲にわたるスキルを身につけさせれば、急な人材の流出などに対処可能な、会社にとってある意味「都合のよい」流動性の高い人材ができる。しかしそれは中庸ということでもある。優秀な結果を残せるかというと必ずしもそうとは限らない。

●強みを知るところからすべてが始まる――チームマネジメントの基礎

 では、相手の何が長所なのか、ということを調べるときに本書が役に立つ。他人の強みを知ることは、チームの立ち上げから運営、成果を上げべきタイミング――とどのフェーズにおいても重要だ。

 本書では、優れたマネージャーが共通して持っている認識として、

・人の才能は一人一人独自のものであり、永続的なものである
・成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人一人が一番の強みとして持っている分野である

 という2つを挙げている。シンプルな話、マネージャーを務めるなら人の強みを知るところからすべてが始まるといっても過言ではない。仕事における人の相性も考えられるし(ポジティブな観点で)、人間関係で起こりうるトラブルも事前に想定できる。こうしたことを行わないと、チームメンバーはなにやらモヤモヤした不安や不満を抱え、自分が持つ力を発揮できない状況に陥りやすい(実際にそういうチームをよく見る)。

 本書後半ではマネージャー(経営者や人事部門も含めて)が為すべきチームの運営方法に触れている。チームメンバーが100%の力を発揮できるようにするにはどうすればいいか――これからマネージャーになる人、現在マネージャーである人も読んでみて損はないはずだ。

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