もしも洞察力があったなら……。

IBMで学んだ10のこと

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こんにちは。長らく更新をせず、休眠アカウントすれすれの玉川です。

皆様へのご報告が遅くなりましたが、わたくし、2016年2月末をもって日本IBMを卒業し、現在は日本マクドナルドでお仕事をさせてもらっております。

日本マクドナルドのエトセトラは今日は置いといて、約3年間お世話になった日本IBMで学んだことを簡潔に備忘録代わりに記しておきたいと思います。

題して、日本IBMで学んだ10のこと

1)IBMはグローバル企業である

当たり前と思われるかもしれませんが、いやいや、IT業界ですら真のグローバル企業といえる組織はそれほど多くはありません。グローバル企業とは、地球規模で経営資源を最適化する能力がなければ成り立ちません。かなりのスピードでこれを実行しているのがIBMなのです。具体的には、外国からその能力を買われて日本に来ている社員(出張ではない)がごろごろいます。アメリカに限らず、アジア、ヨーロッパなど様々。ソーシャルメディアのお仕事を一緒にさせてもらった人はルーマニアの人だったりしていかにも国際的です。日本からも世界中のプロジェクトに派遣されています。アメリカは当たり前。ヨーロッパや中にはエジプトなどという方もいます。

2)英語は重要な言語

時々、「英語が話せなくても大丈夫」とおっしゃる方もいます。間違ってはいません。でも、上記のグローバル企業としてプロジェクトの能力を最大化したいと思ったら、最小限の英語力は必要になってきます。円滑に共通言語でコミュニケーションをして速やかにプロジェクトを推進していくためには、その基盤としてある程度英語を使う必要があります。でも、お客様や、私の場合は日本のマスコミのみなさんと対話をする以上、日本語も大事にしなければなりません。なので、ハイブリッドですね。

3)期待値のコントロールはとても重要

3年前に入社して早々、当時私のメンターを務めてくれたニューヨークの人にこんなことを言われました。「タケオ、いいかい。期待に応えられない、というのはもちろんまずいが、期待を大幅に超えてしまう、というのも同じくらいまずいということを覚えておくといい。常に周囲の期待値の調整に気を配ることだ」と。意外な気がしますよね。IBMは組織力で大きな力を発揮します。あらゆることを構造化してものを考えていくので、計画を立てたらその通りに推進して、期待通りの結果を出すのがベストとされています。「予想外」というのは極力少なくするというのが、完璧さを追求する組織の特徴といえます。

4)過去は変えることはできない

私が仕えたドイツ人のリーダーの言葉。心に沁みているので大事にしています。はい。戦略を立て、実行し、期待通りにいかなかったとしても過去は変えられない。だから、しっかりと学び、次にどうするのかを考えていく、というものです。なので、IBMでは目標達成するために最後の最後までは努力を惜しみませんが、出た結果に対しては常に冷静沈着に分析していきます。

5)服装は自由だが、相手に合わせる文化

IBMでは原則として服装は自由でした。しかし、お仕事をする相手に合わせる、というのが基本的な考え方です。私はマスコミの方とお会いすることが多かったので割とスタンダードにスーツを着ておりました。ネクタイは時と場合によってつけておりました。昔から言われていた「紺のスーツにレジメンタルのネクタイ」というのは少なくとも私の在籍期間においては必須というわけではありませんでした。

6) IBM Watsonは人工知能なのか

会社を離れて3か月たった間に様々な動きがあるようで、私自身が何かをお話しするものでもないのですが、一言だけ。IBM Watsonは狭義の人工知能というようなものではなかったと今でも思います。人の仕事は助けてくれますが、それは現存する構造化(IoT領域のファストデータなどへ許容範囲を拡充)、非構造化データを学習して分析して問いに対する回答を出すという機能によって行うものであって、決して人間に代わって「考える」ものではありません。情報処理をコンピュータが自動的に行って何かの結果を出すというのは旧来の計算機のあり方と同じはずですが、それをも含めてディープラーニングを使っているからそれは広義でいうところの人工知能じゃないの?と言われると困ってしまったり。あくまでもコグニティブ・システムの一つ、という言い方が正しいのだと今でも思っております。この議論を様々な方とする過程で最先端の人工知能に関連することをたくさん学びました。私のような文系でもある程度お話ができるようにしてくれるなんて、やっぱりIBMはすごいと思ったわけです。

7)ふつう、事例化するならこちらからお百度参り

IT業界の事業会社がお客様の使用例を事例化するって、大変なんです。ふつうはね、何度もお願いに行って時々叱られながらそれでもくらいついてやっとOKをもらえるものなのです。でも、上記のIBM Watsonではまるで異なる世界がそこにありました。お客様自らが「事例にさせてくれ」とお申し出をいただいておりました。IBM Watsonの広報活動は原則グローバルで推進しますので世界の仲間との調整が必要です。準備には相応に手間がかかりましたので、交通整理を常に必要としていました。きっとこの勢いは止まることはないでしょう。私も何度もいろんなことを体験してなんだかずいぶん太くなった気がします。

8)IBMだからこそ来てくれる

IBMがお声掛けすると、ふつう、無理だよそんなの、来てくれないよ、という方がよいしょと腰を上げてくれます。IBMのブランド力は絶大だなと確信した出来事に何度も遭遇しました。その最たるものが、約1年前の4月30日にニューヨークで発表した日本郵政、アップルとの提携発表でした。なんと、西室氏はもちろん、ティム・クック氏まで来てくれたんですよ。わざわざニューヨークまで。もちろん、それだけ意味のある内容だとは思いましたが、さすがIBMって思ったんですよね。しかもその仕掛け人が日本IBMのプロジェクトメンバーなわけですから、本当にグローバルだなぁと思った次第です。

9)9つのプラクティス

IBMの行動指針として9つのプラクティスというのがあって、この行動指針を突き詰めると大きな成長をするかもよ、ということで実は愚直に学び、実践をしておりました。この中にあるいくつかのプラクティスは今でも大事にしております。日本語にすると、「自らをたゆまなく改革していく」「さぁ、集まってやってしまおう!」「個人への興味関心を持つ」のようなことが書いてあります。困ったことがあった時にはこれらの言葉を思い出して奮起しています。

10)完璧主義である

IBMはどこまでも完璧、完成を目指すDNAを持っています。技術や仕事に妥協せず、手を緩めることなく進化を続けるその姿は今、外に出た自分が見ても素晴らしい、と思います。少しでも完璧に近づけるためにはいったいどうすればいいか、そのためにどのような戦略と計画を立て、どんな資源を用いて実行すればいいのか、というのを日々学ばせてもらいました。優れた頭脳と、個々の実行力とチームワーク、これらすべてを備えているのがIBMの一番の強みではないでしょうか。この大きくてエキサイティングな象*とともに踊り続けている仲間を尊敬します。私はもう離れてしまったけど、いつも応援しています。(役には立ちませんけどね)

大変お世話になりました。本当にありがとうございました!

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<Photo>2016年2月18日のIBM Watson日本語版提供開始記者発表会at日本IBMより

*ルー・ガースナー著「巨象は踊る」のメタファーです

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