もしも洞察力があったなら……。

PRは、広告への劣等感を捨てるべきなのか?

»

さきほど、東京は大手町の経団連会館19階、経済広報センターで、来日中のPR Week編集長、スティーブ・バレット氏の講演(ラウンドテーブル)が行われました。

昨日は別のセッションでたくさんのお話を私が彼にしましたが、今度はお話を聞く番です。(本来とは順序が逆でした)

まず、PR Weekからの朗報。このたび、日本にPR Weekの記者が一名常駐することになりました。デビッドさんといいます。広報に関係する話題をグローバルにお伝えするときにぜひ連絡をしてあげてしてください。

さて、全体を通しての感想ですが、私たちは今、PRを再定義、つまり、PRとは何かという根源的なアジェンダにぶち当たっていると思いました。かつてPR2.0という言葉を私やニューズ2U(当時)社長の神原さんと一緒にあちこちに触れ回った時代がありましたが、今日はさらに多くの変革が進行しているという認識です。かつては広報を軸にソーシャルメディアを取り入れてコミュニケーションを再構築する、という考えが主流でしたが、今は、マーケティングとコミュニケーションをどのように一体化させて自らの使命を果たしていくのか、という議論です。

2015-10-02_1450.png

PR Weekが提唱する「PESO」

日本ではトリプルメディアのフレームワークが浸透していますが、PESO、というのが彼らの視点。(Paid Earned Shared Owned)。Earnedを因数分解したのがEとS。昨今、コミュニケーションの機能としてソーシャルメディアの担当者が専任化する流れの中で、コンセプトが実態に合ってきているのだと思います。

これを体現した好事例はレオバーネットが手がけたP&G/MSLの"Like a Girl"キャンペーン。「女の子のように」という英語文化では男子を揶揄する言葉をクールな意味に転換させたと。これ、知ってますよね。有名でした。

そのほか、P&Gの、WeChatを使った事例で、普段はシャンプーなどこだわりを持たないBu Xie(I don't care)な人々にdare to ignore...髪の毛を大事にしないと大変なことになるよ、という意識を上手にコミュニケーションをしたキャンペーンの事例紹介。クリック、インプレッションで導かれるエンゲージメントが高いスコアになったというもの。

全員と名刺交換はできませんでしたが、約20名の今回の経済広報センターの会の参加者は、わりと大企業の広報関係者が多い印象です。中には金融などの許認可事業体の方も。なので、新時代のコミュニケーションとはいえ、こうした取り組みを積極的に行うのを躊躇している方もいると推察しております。

ただ、PR Weekの主張する、広報は、他のマーケティングとのコラボレーションを強化するべきだ、というメッセージは伝わっていたと思います。たとえば、CCO(Chief Communication Officer)はCEOと強い関係を持たなければなりません。また、あらゆることがグローバルに発信されます。その国でしか発信されないニュースなどありません。最近のドイツ車の会社に見られるように、情報の伝播速度やそれによって引き起こされる評判への影響がすごく大きい時代です。

とあるIT企業では、インドのリーダーと、CEOが言っていることがまったく異なる方向のものだったので、それがすぐに明らかになってしまいました。もはやメッセージは常に一貫していなければならないのです。すべてのコミュニケーションは一貫性と高潔さに立脚されていなければなりません。

また、何か事件がおきてから謝っても遅い、ということを知るべきでしょう。こうした後手の施策は常に過去と対峙することになり、いつまでも対応が完了しません。コミュニケーションのプロは勇敢に、勇気を持ってエグゼクティブと連携し、市場と対話しなければなりません。残念ながら従来のマーケティングの関係者がこうしたスキルを身につけていることはあまりありません。なので、広報の専門家が前面に立つべきなのです。

有名なスポーツウェアのブランドがソチオリンピックで全米スピードスケートチームにウェアを提供しました。しかし、メダルをひとつもとれなかった。それはそのウェアのせいじゃないかという声が上がって、炎上し、株価まで下がった事例が紹介されました。(私は耳を疑いましたけど)このとき、このブランドは危機管理広報を政府と連携し、ソーシャルメディアを見事に使いこなし、収拾にむけて最後までやってのけたということでした。

メディアの変化、経済規模の変化についても言及がありました。テクノロジーや社会の変化によって新たなビジネスモデルやコンテンツが続々と誕生しています。求めるトラフィックの多寡はソーシャルのチャネルとの連携が不可欠です。それぞれのチャネルの特徴を理解して使い分ける。その嗅覚を広報の専門家も持っていることが重要な時代になったのです。

プレゼンテーションを聞き終わって、私はどうしても聞きたかった質問をしました。

『スティーブ。一昨日、PR協会のセッションであなたが話したことが記事になった。そこにはとても気になることが書かれていたんだ。「PRに従事する人々は、広告に対して劣等感を持って仕事をしてきたのではないか。今こそ自らの仕事が企業にとって最高の解決策であると自信を持ってほしい。」その真意を教えてくれますか?』

スティーブはこう答えました。

「従来の広報というのは、事業部の要請に従ってニュースリリースを書いたり、会見をしたりして忙しくしてきた。自ら動くというよりは、受身の姿勢が染み付いてしまっている人や組織も多い。これを変えていくことが必要だ。また、広告関係を担当している人はとても多くの予算を持っていることが理由でとても力強く立ち振る舞う。広報はますます重要な時代になるし、互いににつながることでもっとBold(図々しく)で、前向きな役割を果たすために活動を飛躍させるべきだ。」


というものでした。

皆さんはどう思うかな。

2015-10-02_1450_001.png

参考:

「PRは、広告への劣等感を捨てるべき」----PRWeek編集長が語る

*一部誤記がありましたので修正しました。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する