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もしも洞察力があったなら……。

【広報のタネ】記者会見にテレビカメラが入るときに気をつけたい10のこと

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大掛かりなイベントや、重大な記者発表、テレビ映えする製品の記者発表などが行われる時、ありがたいことにテレビ局からカメラクルーが取材に来る場合があります。

その際、特に気をつけていただきたい10のポイントをご紹介します。私の経験上、これらを怠ると、会見場に怒号が飛び交い、周囲は険悪な雰囲気に包まれます。


  1. 三脚は、いったん置いたらテコでも動かない。だから、動かさない。そして、絶対に手を触れないこと。現場での三脚の位置は、カメラクルーの生命基盤です。それを尊重しましょう。
  2. 音声ラインはなるべく準備する。ミキサーとキャノン端子の出力があれば簡単にできます。わからなければ専門家に任せるのがいいでしょう。
  3. 前方に三脚は立てない。もし立ててしまったら、スチルカメラ他の記者から怒声を浴びることになるでしょう。
  4. カメラ位置は、後方に、イントレ、床がせりあがるライザーなどによって高さを確保し、場所を明確にする。そして、「ちゃんとわかってます。配慮してますよ。」という姿勢を見せる。カメラはよほど広い会場でよほどのアップ撮りをするのでない限り、後方から狙えます。また、気合の入ったクルーはカメラ2台を用意して、手持ちで前の方から撮ったりしようとしますので、「手持ちなら前方席からでもOK」などとルールを明確にしておくといいでしょう。
  5. 一度案内した導線は変更しない。芸能人や社長を登壇シーンから撮りたいと思っているカメラクルーにしてみれば、カメラ位置をきめるために、この導線がどうなっているかの情報はとっても大事です。上手(ステージ向かって右側)から登場すると案内し、三脚をセットしてもらったにもかかわらず、直前で下手(左側)から登場に変更したとしたら、貴方の広報生命が2年は縮まるでしょう。
  6. 基本的に先着順である。露骨な優遇や贔屓は不満のタネ。たとえば、NHKが特集用に密着取材しているからといって、会場にカメラクルーがあとから来たにもかかわらず、より良いカメラ位置を皆の見てる前で斡旋したとしたら、他局から相当に熱い視線を浴びることを覚悟しなければなりません。先に荷物だけでも置いてもらって、なんとなく場所を確保しておくことを示唆するといいでしょう。(これは、裏技ですが、事前に受付で整理券を配り、整理券順に場所を決めていくという方法もあります。スペシャルなクルーに対しては若番をあらかじめ渡しておくとよいでしょうあ、このブログ、テレビの方は見ていないですよね。ただのブログですからね。
  7. 現場で様々な要望を受けるが、事前にできること、できないことを明確にして、毅然と対応する。現場では目まぐるしく、そして無情に時が過ぎていきます。あれこれじっくり考えている時間などありません。瞬時にYes/Noの判断をしなければなりません。なので、「もしもこんな要望があったら」という対応マニュアルは用意しておくべきでしょう。経験上、登壇者に「番組名を言ってもらう」や、「番組アイテムを持ってもらう」や、「降壇後にインタビュー」などの個別局向け対応があり得ることとして記しておきます。しかし、原則として、他局にやらないことはその局にもやらない、という方針が、平均的な満足度を上げることになります。広報の目的が別のところにある場合は、変化球で勝負してもいいと思います。ただし、覚悟は決めておいてください。
  8. カメラ映えするポーズを登壇者に必ずとってもらう。それが、すべてのカメラ配置場所からとれるように、邪魔なものが写りこまないように「見切れ」を確認しておく。カメラが登壇者を狙う直線上に、人の頭、他者の三脚、プロジェクターなどの機材が映りこまないようにきちんと確認をしましょう。そして、これはめったにないことですが(たまにあります)、「こんなところに柱がっ!ががが!」という会場に出くわすこともあります。斜め後ろにカメラ位置を確保した場合、柱がすべてを台無しにしてしまうという、初歩的だけど見落としやすい、致命的なミスをしないように、充分場所の確認(ロケハン、とも言います。)をしておきましょう。
  9. 照明の段取りは事前に確認しておく。本番前に簡単にカメラクルーにブリーフィングする。本番前の客電(場内の明るさ)が、本番中と同じなのか、ブラックアウト(消灯)する場面もあるのか、強い閃光やレーザーを用いたりするのかなど、特殊な照明演出をする場合は、可能な範囲でカメラクルーに伝えておくといいでしょう。クルーの心構えが違ってきますし、きちんと伝えてくれた広報担当を「こいつ、よく知ってるな?」と頼りにされるようになります。そうです。戦場と化す現場では、突っ立ってるだけの広報部長よりも、現場広報担当の方が大切なのです。
  10. 幸運を祈る。現場は生き物ですから、いくら準備してもハプニングはあります。良いハプニングは歓迎し、致命的なそれが起きないように、最後はしっかりと幸運を祈ることが、心を落ち着けて仕事をするコツです

(傍白)
ずっと昔の話ですが、「日本ジュエリーベストドレッサー賞」、「日本メガネベストドレッサー賞」というイベントで広報の現場仕事をしていた頃、テレビ全局、新聞すべて(スポーツ含む)、数多の雑誌が(表現が悪いですが)200名ほど津波のように押し寄せてきてその対応に苦労したことがあります。こうしたオペレーションにしくじると、周囲の罵詈雑言を浴び、二度と広報の現場に立てないほどのダメージを受けますので、充分備えて臨みましょう。

Happy Press Conference!
良い会見を。

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