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夏目房之介の「で?」

「平凡パンチ」1971年の「日本ロック」

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 先日、本郷の古本屋でたまたま一冊だけ置いてあった「平凡パンチ」1971年7月19日号、300円也。つい買ってしまったら、けっこう面白いのだった。
 まず、やっぱり表紙がオシャレ。で、北山修のエッセイにテディ片岡(のちの片岡義男)のエロ小説(挿絵は石森章太郎)。ヌードグラビア、Hな記事、「SEX研究 女のSEX年令」という特集は、各界著名人にどのくらいの年齢の女性といたしたかのインタビュー集で、藤本義一さんは「13歳の少女から78歳の後家さんまで」などといわれてる。今では犯罪ですな。
 竹中労の「挑戦レポート」は「〈民宿〉‟荒廃"と"堕落" そのすさまじい実態」。さらに、民青(民主青年同盟 日本共産党の下部組織)と革マル派(新左翼党派 革命的マルクス主義者同盟だっけ?)の琉球大内ゲバの記事がやたら詳しかったり。
 そして、中綴じ部分のグラビア特集が「1971年日本ロック・アーチスト名鑑」! 
 じつのところ、71年頃には私はどっぷり山下洋輔トリオぞっこん期で、ロックは興味がなかった。私的には、ロックはジミヘン、ジャニスで終わってたんである。なので、このあたりのバンドはほとんど知らなかったのだが、今から見るとGSブームが急速に終息し、その後の日本のロックへと展開する、ちょうど狭間的な瞬間の名鑑なのである。
 ブルース・クリエイションとカルメン・マキ。「トンネル天国」のダイナマイツ。ガロ、ゴールデンカップッス、はっぴえんど(はっぴえんどの記事は、じつは隣のジプシイ・ブラッドってバンドの写真に貼り付けられて、入れ違ってる)。かまやつ。タイガースの沢田研二、テンプターズのショーケン、スパイダースの大野克之(あと、あいたかのもいなかったかな? 書いてないけど)という、GSのスターたちが糾合して一瞬にして解散したPYG。成毛滋につのだ・ひろ。頭脳警察、中川五郎などなど。これは知ってる向きにはよだれもののお宝特集ではなかろうか。

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