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夏目房之介の「で?」

麻生みこと『そこをなんとか』

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白泉社『メロディ』を毎月送っていただいている。ありがたい。
最初は、よしながふみ『大奥』と清水玲子『秘密』くらいしか読まなかったのだが、今では成田美名子『花よりも花の如く』(能のマンガ)、勝田文『プリーズ、ジーブス』(執事マンガ)など楽しみに読んでいる。中でも、ちょっとボケの若手女性弁護士を主人公にした裁判法律系コメディ、麻生みこと『そこをなんとか』は勉強にもなるので、お気に入り。

4月号の『そこをなんとか』は、クールなやり手男性弁護士を中心に、離婚問題を扱っているが、これがなかなかいいデキだと思った。その弁護士は、離婚申請のときやたらと涙を見せる妻のほうに「うざあ」と思ってしまうのだが、同時に何か隠していると直感する。6歳の息子にはDVかイジメの疑いがあり、真相が次第に明らかになる。いいのは、弁護士の主観はそれとして、作品としては中立的な場所に着地していて、かつ娯楽としても楽しめる話になっていること。これまでは、どちらかというと裁判事例の説明的な「お勉強マンガ」の側面が強かった気がするが、今回はバランスがいいと思う。

ちなみに『大奥』では、吉宗が死に、僕も大好きな歴史上の人物が意外な形で登場しますぜ。

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