私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

圧迫面接=悪いものだと思っていませんか?

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新卒採用において「圧迫面接」という言葉が当たり前のように使われるようになりました。
学生側の評判は非常に悪く、圧迫面接を受けたことをSNSなどで拡散し、すぐに「ブラック企業」と騒ぎ立てたりするケースも増えてきているようです。

しかし、圧迫面接=ブラック企業と言うほど圧迫面接は悪いことなのでしょうか。
そもそもなぜ圧迫面接が存在し、最近はそれがどのように変化しているのかを見ながら圧迫面接について考えてみたいと思います。

●圧迫面接に対応する就活本なども増加

圧迫面接は「圧迫」という文字面から良くない面接手法だと思われがちですが、学生をあえて緊張状態や頭が真っ白な状態にすることで、ストレス耐性やそういった中でもいかにして論理的思考を保つことが出来るかを判断する手段の一つなのです。
最近はそうしたことも踏まえた上で、多少の圧迫面接は仕方ないという考えも出てきていて、その対策を教える面接講座や就活本なども増えてきています。

アメリカ企業において実施された手法が、日本でも取り入れられるようになった圧迫面接は導入当初は特に問題にはなりませんでしたが、バブル崩壊後の景気悪化で多くの企業が新卒採用を絞り込む必要に迫られ、学生を落とすことを目的に圧迫面接を行う企業も出てきました。

そのため、落とされた学生を中心に「自分が落ちたのは圧迫面接のせいだ」といった声が高まり、圧迫面接=悪いもの、といった認識に変わっていってしまったのです。

●使い方を誤るとマイナスにしかならない

圧迫面接に対する意識が多少ではありますが、変わってきているように思います。
だからといって、圧迫面接を多用するのは企業はもちろん、学生にとってもマイナスにしかなりません。

行き過ぎた圧迫面接を行ったことにより、アメリカでは心身に障害を受けたとして面接担当者が傷害罪で有罪判決を受け、企業が賠償を命じられた事例がありますし、日本でも傷害罪や侮辱罪での有罪判決事例も存在します。

では、どの程度の圧迫面接なら大丈夫なのかと思う人が多いと思いますが、正直言ってこれが非常に難しいところです。

面接はよくお見合いに例えられますが、お見合いで相手に興味を持ったら、いろいろと質問をして相手をもっと知りたいと思うのは当然のことです。
面接も一緒で学生(応募者)に興味を持ち、もっと知りたいからといって闇雲に「なんで?」「それで?」と畳みかけるように質問を連発すると学生が委縮してしまいます。
自身が委縮した結果、その面接=圧迫面接だと感じる学生が出てきてしまいます。

かといって、教科書通りの質問をした結果、その受け答えも学生の場合、どうしても似たような回答ばかりになってしまうため、面接官からすると正直、面白くないなと感じた時に(それではいけないのですが)面接を予定時間より早く切り上げたり、深堀りの質問をしないため、面接の場が盛り上がることなく、結果、学生が話にくい雰囲気になってしまい、学生からしても自身の力を発揮できなかったといったことにも繋がってしまいます。
これをまた圧迫面接だと感じる学生もいるのですから、面接は本当に難しいものです。(苦笑)

要するに圧迫面接はセクハラやパワハラと一緒で学生の受け取り方次第といった側面が大きく、同じことを聞くのでも聞き方を変えるだけでその印象が大きく変わります。

歴史的背景含め、今まで述べてきたことを事前に押さえずにただ圧迫面接を多用するとSNS等、情報拡散のスピードが速い昨今、あっと言う間にブラック企業にされてしまいます。
ちょっとした言葉の捉え方の違いなどから学生、企業の双方が不幸になってしまう可能性があるのです。

●圧迫面接を上手く活用するために

学生の受け取り方一つでブラック企業にされてしまうと大きなイメージダウンになるので、圧迫面接は一切やらないといった企業もあります。
多少の圧迫面接は仕方ないという声がある反面、本来、信念の強さとかストレス耐性等は本人の経歴やこれまでの取組事項などを見ることである程度判断ができるので面接時のストレス耐性のみで評価する「圧迫面接」がどの程度「メンタル耐性」と相関するかは疑問、といった声があるのも事実です。

しかし、採用において面接を重視し、複数回の面接を実施する選考プロセスは昔から大きく変わっていません。
就職ノウハウ本などや先輩からのアドバイスなどで完璧に事前準備して、教科書的な模範解答ばかりが多い学生の本音を見るためにはちょっと変わった角度の質問も必要になってきます。

社会に出れば、不特定多数のお客様や取引先と応対するのは当たり前ですし、営業職などは、思いもよらないお客様の要望やクレームにある程度その場できちんと対処できることが求められます。
ちょっと否定的なことを言われて頭が真っ白で何も言えなくなったり、逆ギレしてしまったりでは困る訳です。

ので、繰り返しになりますが、圧迫面接は頭が真っ白になった状態からいかにリカバリーして自分の意見を述べられるか、そうした素養があるか、といったストレス耐性や論理的思考を見る為に使われる選考手法の一つなのです。

セクハラ、パワハラ的な質問や相手の人権を侵害するような質問は絶対にダメですが、きちんと使えば圧迫面接はとても有効な選考手法だと思います。

女性に対して「結婚しても仕事を続けますか?」と聞けば、すぐにブラック企業にされますが「10年後の自身のイメージをお聞かせください」と聞けば、多くの人が将来設計のイメージを話してくれるはずです。

面接毎に圧迫面接を実施するのではなく、ここぞといった時に適切な質問をすることが圧迫面接の効果的な活用方法だと思います。

バブル崩壊やリーマンショックなどで新卒採用を控えた就職氷河期頃から一部では「圧迫面接」は悪い面接の典型のような言われ方をされてきていますが、学生の売り手市場と言われる現在、きちんとした判断基準と理由を持って「圧迫面接」を適切に使うことで、学生の本音を把握し、学生、企業の双方を良い結果へと導いていくものだと思っています。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

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