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私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

キャリアセンター訪問も一工夫を

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新卒採用を進めるに当たって、大学のキャリアセンター(就職課)を訪問するというのも一つの方法です。
ただ、大学によってキャリアセンターの状況は大きく違います。
闇雲に訪問しても意味がありません。
今回は中小企業がキャリアセンターを上手に活用するにはどうしたら良いかを考えてみたいと思います。

●大学の規模によってキャリアセンターの対応が違う

キャリアセンターは自校の学生の就職をサポートするために各大学で設置している部署で、一昔前までは就職課という名称が一般的でした。
現在も名称はキャリアセンター、就職課、就職部など様々ですが、学生の就活支援を行う機能という点では同じです。
機能は同じですが、学部数、学生数によって、その対応は違ってきます。
名の知れたマンモス大学は大手企業との繋がりも強いので、中小企業が訪問しても一通り話を聞いて、入社案内などのパンフレットを置いてくれる(データ化してくれる)だけというのがほとんどで、学生を紹介してもらえることはまずありません。

またキャリアセンター主催の学内セミナーに参加するというのがもっとも効果的な手法ですが、マンモス大学は大手企業の学内セミナーで埋まっていて、これまた中小企業が入り込む余地はほとんどないのが現状です。
そうした状況の中で、闇雲にキャリアセンターを訪問しても骨折り損で終わってしまいます。
だからといってキャリアセンター訪問が無意味だという訳ではありません。
せっかく貴重な時間を割いて訪問するのであれば、有名大学を訪問してみようと考える方もいるとは思いますが、中小企業の場合は訪問する大学をきちんと考えるべきだと思います。

●一学年数百人規模の大学を狙ってみる

学生数が多い大学のキャリアセンターは当たり前のことですが、なかなか学生一人ひとりの就活状況を把握することは難しい訳です。
しかし、一学年数百人規模の大学の場合は、学生の顔が見える就活支援を行っていますので、キャリアセンターの先生が学生個々の性格や志望先業種などを把握しているところが多いと思います。
ので、まずはそうした規模の大学の中から自社に合った大学をリストアップして訪問することをお勧めします。

ただ、一学年数百人規模の大学に絞って訪問したからといって、一度訪問してすぐに関係が深まるということではありません。
定期的に訪問を重ねることで、しっかりとした繋がりを築いていくことが大切です。
そうした関係性を構築していくことで、少しづつではありますが、学生の紹介や学内セミナーの参加へ拡がっていくのです。
採用人数が5名程度の企業であれば、5名すべての採用は難しいと思いますが、こうした学内セミナーから少しづつ採用に繋げていくことで、将来的に安定した採用を実現していくことが出来るかもしれません。

あくまで一般的な話ではありますが、現在の各社の採用担当者は世代的に就職ナビで就職活動をした世代が多く、キャリアセンターを使っての就活をした経験があまりないため、採用活動の中でキャリアセンター訪問を実施する方が少ないように思います。
しかし、就職ナビが主流になってきた現在でも、利用頻度はともかく、50%以上もの学生がキャリアセンターを一度は利用しているのも事実です。
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(出典: 一般財団法人雇用開発センター「2017年卒大学生就職活動調査結果報告書」)
ので、キャリアセンター訪問を強化することは他社に比べて、多少なりとも差別化につながっていくと思います。

●理系採用はキャリアセンター訪問では難しい

ちなみにキャリアセンター訪問で少しでも効果が期待できるのは文系採用がメインになります。
理系採用の場合、各学科毎に就職担当教授がいますので、その教授にアプローチしないと意味がありません。
就職担当教授の情報は各大学のHPに記載されていることが多いので、チェックすることをお勧めします。
また、体育会系などの学生もキャリアセンターとは別に体育会事務局などが就活支援を行っている場合がほとんどです。

不透明ではありますが、やや景況感が上向きの中、かつ今後、学生数が減少していく中で、新卒採用は一層の激化が予想されます。
そうした採用環境の中でいかに自社の新卒採用数を確保していくかが課題となっています。
しかもほとんどの中小企業はなかなか一足飛びに採用予算は増やすことができないため、お金をかけずに採用の可能性を拡げていくにはどうしたら良いか頭を悩ませています。
キャリアセンター訪問はそうした悩みを解決していく1つの採用手法です。
ただ、世の中にこれだけの情報が溢れている中、キャリアセンターを使って就活する学生も年々減ってきているのが現状です。
理系採用の就職担当教授へのアプローチも容易なことではありません。

しかしながら、まずは行動を起こし、今の新卒採用環境を肌で感じるだけもキャリアセンターの訪問は有効だと思います。
前述させていただいたように比較的小規模の大学のキャリアセンターは学生個々の就活指導に力を入れているところが多いと思いますので、「情報の宝庫」である各大学の該当HPを細かく見ていただき、自社の採用に合ったキャリアセンターの訪問を実施することをお勧めします。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

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