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私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

2018年新卒採用を振り返る(後編)
〜1dayインターンシップが激増する19採用〜

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9月も目前となり、19採用の採用方針や採用活動を検討したり、19採用向けインターンシップを実施している企業が多くなってきていると思います。

そのインターンシップですが、2018年新卒採用を振り返る(前編)でお話したように経団連が1dayインターンシップの開催を認めたことで、大手企業も含め、1dayインターンシップを開催する企業が急増しています。

そうした中で中堅中小企業が1day等のインターンシップを成功させるためにはどんなことに気を付けて実施していけばいいのでしょうか。

今回は19採用の母集団形成の鍵となる1dayインターンシップを中心に考えてみたいと思います。

●「超厳しく、超難しい」19採用

前回の2018年新卒採用を振り返る(前編)でも述べましたが、18採用は

・倫理憲章は遵守されず
・採用活動は早期化&長期化
・売り手市場で重複内定が増加したことで、内定辞退も増加→内定者確保が難しい状態

といった状況でした。

この状況は19採用も変わらず、18採用よりも厳しくなるのは確実です。
18採用と大きく違っていることとしては1dayインターンシップが急増している点です。

具体的な数字を挙げますと大手就活サイトで今夏以降に1dayインターンシップを開催すると告知した企業は延べ8871社(6月1日時点)で7割増えています。また10月〜11月の1dayインターンシップも増加傾向にあります。
特に初めて1dayインターンシップを行う大手企業が増えています。
(以上、2017年7月17日付日経新聞より)

1dayインターンシップを行う企業が増えることで、学生は今までよりも多くの企業のインターンシップに参加することが可能となります。
結果、必然的に自社と他社のインターンシップの中身を比較することになるので、インターンシップの内容が今まで以上に重要になってきます。
会社説明会の延長のような内容でただやればいいというものではありません。
1dayで提供出来る内容には限りがある中で、いかにして他社との差別化を図っていくかを考えていかなければなりません。

また素晴らしい内容のインターンシッププログラムが出来たとしてもそもそも参加学生をどのようにして集めるのかを考える必要があり、こちらのほうが難題です。

大手媒体会社への掲載、早期イベントへの参加、ダイレクトリクルーティングの利用、学校訪問、内定学生や若手社員からの紹介・・・等々、手法はいくつか考えられますが、各手法を実施したとしても中堅中小企業の場合、なかなか動員に至らないのが実情です。
詳細はここでは申し上げられませんが、もっとゲリラ的な手法も用いていきませんと動員はおぼつかないことが予想されます。

●学生も望んでいる1dayインターンシップ

マイナビの調査によると最も印象に残ったインターンシップの参加期間も1dayインターンシップと答えた学生が半数以上になっています。

弊社のお客様のデータを見ると8割近い学生がインターンシップに参加した企業へ正式応募をしていますし、4割近くの学生がインターンシップに参加した企業から内定を取得しています。

1dayであろうと複数日であろうと今後、インターンシップが早期に母集団を形成するための主要戦略の一つになっていくことは間違いないだろうと思います。

●トップを含め、全社で取り組まないとインターンシップ→採用成功はない

採用活動にとって重要な意味を持つようになってきた1dayインターンシップですが、他社がやっているから自社もやってみようといった軽い気持ちではなかなか効果が出ないと思います。

1回あたりの動員が少ないことが予想されますので、人数を確保するために回数を増やす必要があります。
少なくとも月に2〜3回は実施する必要があるかもしれません。

回数も大事ですが、もっと大切なのは内容であることは当たり前の話です。
1日or半日だからといって、会社説明会に毛が生えた程度のインターンシップを行っている企業も多々ありますがそれでは学生の心に響きません。
実際の仕事内容や仕事場の雰囲気、そこで働く先輩社員との交流など、企業の魅力を肌で感じることが出来る内容をいかに用意出来るかが重要です。

そのためには、現場の協力が必要不可欠となります。
しかし、中堅中小企業の多くは現場が忙しくて、なかなか協力を得られない状態で、結果、採用担当者が実施出来る範疇の内容に終始している企業は数知れません。

弊社は数多くの中堅中小企業の採用をお手伝いしていますので、現場の状況は充分すぎるほど理解しているつもりです。
しかし、今回、2018年新卒採用を振り返ると題し、2回に分けてお伝えしてきましたが、19採用はさらに厳しく、難しくなるのは目に見えています。

トップを含め、全社で採用に関与していかないと採用はまったく上手くいかない時代に突入してしまいました。
採用担当者任せの時代は終わってしまったのです。

まずはインターンシップを手始めとして、トップ主導で会社全体として取り組んでいくことが必要です。

弊社のお客様で、18採用も含めたここ数年の採用難の中でも、毎年採用を成功させ続けている企業はトップ自らが採用の前線に立っている(学生の前に出るという意味だけではなく、採用に最大の関心を注いでいるという意味も含め)企業ばかりです。

トップ100人中、ほぼ全員が「企業は人がすべて」と言っている中で、採用の前線に立っているトップは意外と少ないと思います。

ので、弊社がコンサルティングを行う際にはトップの採用に対する関与度合を必ず確認させていただき、弊社との定例ミーティングには可能な限り、同席いただくことを支援条件にさせていただいているのも上記の理由からです。

次回はそうした厳しい採用環境の中で、19採用を成功させる具体的ポイントは何かについて考えてみたいと思います。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

2018年新卒採用を振り返る(前編)

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