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私は会社を経営する傍ら、これまで採用の“現場”を見て、さまざまなアドバイスを行ってきました。また、学生のビジネススクールの運営にも関わっており、最近の学生の生の声にもたくさん触れています。本ブログでは、「いまどきの採用・教育・若者」と題して、これまでの経験で得たノウハウを少しでも現場で活かせる為の情報発信を行っていきます。

採用今昔物語 工夫の余地あり!インターンシップへの日本企業の取り組み方

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2016採用も選考・内定出しも終盤に差し掛かって、秋の声も聞こえ始めた今日この頃。
企業も2017年採用に向けたインターンシップを開催、検討し始め、インターンシップ花盛りといった時期に入ってきました。
しかし、中小企業の採用担当者からは「インターンシップを実施しても採用に結びつかない」「現場の社員の都合もあって、なかなか学生のために長い時間を割くことが出来ない」といった声が多く聞かれます。

採用スケジュールが後倒しになった2016年採用を機にできるだけ学生と早く接触することを目的にインターンシップを行う企業が倍増したと言われています。また、2016年4月には文部科学者・厚生労働省・経済産業省から『「社会人基礎力」や「基礎的・汎用的能力」などの社会人として必要な能力を有する人材育成が求められており、その有効な手段としてインターンシップの推進が必要』という考えも公表されています。

今後、インターンシップを実施する企業はさらに増え、採用活動の重要なステップとして位置づけられていくと思われます。
そうした中、効果的なインターンシップを行うにはどうすればいいかを考えていきたいと思います。

●アメリカでは100年以上の歴史を持つインターンシップ
インターンシップの始まりは「1906年に米国のシンシナティ大学工学部長、ヘルマン・シュナイダー博士の草案で、大学と地元の工作機械メーカーの間で行われたのが始まり」(日本インターンシップ推進協会より引用)とあります。

その目的は「学問と実践的な技術を兼ね備えた優秀な技術者の養成」と記されています。
そのため、アメリカのインターンシップは元々長期的視点に立って行われており、期間も1カ月以上と長いのが一般的です。

また、アメリカの場合、社員の多くがサマーバケーションを長く取るので、その間の人手の確保といった面もあると言われています。

夏の短期のアルバイトを雇うよりも将来自社の社員になる可能性がある学生に仕事を覚えてもらった方がお互いに得策、といった長期的視野に立った上でインターンシップを行っているのです。

それに対して、日本でインターンシップがスタートしたのは1990年代後半と言われていますので、アメリカに比べて、歴史的にはまだまだ浅く、その当時、インターンシップはあまり一般的ではありませんでした。

その後、学生の企業へのエントリーをネット上で行うことが一般的になった頃から徐々に増え始め、本格的に導入する企業が増えてきたのはここ2~3年のことだと思います。

●日本のインターンシップの現状
実は私は上述させていただいた日本でインターンシップがスタートしたと言われている頃から、インターンシップに携わらせていただいていたのです。
リクルートを退職後、採用アウトソーシング企業の立ち上げに参加し、その会社で外資系コンピュータ企業の新卒採用すべてを任せていただいていたのです。

その採用プロセスの中で日本とアメリカの2ヶ所でインターンシップを開催することになり、その運営のお手伝いをさせていただきました。

その時の経験から、日本の新卒採用でも将来、インターンシップが重要になると感じた私は弊社を立ち上げた2004年からお客様にはインターンシップを実施することを勧めてきました。

私は最低でも5日間のインターンシップを行うように提案していますが、正直言って日本のインターンシップはアメリカと比較して期間が短いのが現状です。
企業と大学の状況や現在の新卒採用日程を考えれば長期のインターンシップは夏休みや冬休みといった時期にしか行えないので期間が短いのは仕方ない面もあります。
中には1日のみのインターンシップを行う企業もあります。
ただ、1日のみのインターンシップを見てみるとその大半は会社説明会と何も変わらないプログラムの場合が多く、インターンシップの本来の目的から離れてしまっているように感じます。
そのため学生の心には何も響かず、かえって逆効果になっているケースもあるように思います。

●インターンシップに対する企業と学生の温度差
期間やプログラムの問題もありますが、それ以前に企業と学生でインターンシップに対する考え方に大きな違いがあることをしっかりと認識する必要があります。

大手企業などのインターンシップであれば、最初から入社意識を持って参加する学生も多いのが実情です。
しかし中堅中小企業のインターンシップに参加する学生の場合、まずは会社の雰囲気や仕事を知っておき、そこで感じたことや得た知識を就活に活かしていきたいと考える学生が大半のようです。

中堅中小企業側からしますと時間と労力を割いたのだから採用に結び付けたいと考えるのは当然ですし、その気持ちは理解出来ます。
しかし学生はインターンシップを企業がどう位置付けているかをしっかり理解した上で参加しています。
ので、こうした学生を自社に振り向かせるにはインターンシップの開催だけでは難しいと思います。
インターンシップを入り口として、複合的に採用戦略を考える必要があると思います。

●効果的なインターンシップを行うために
10年前からインターンシップを勧めてきたと前述しましたが、当時からポスターなどを持って、大学のキャリアセンターを回ってインターンシップのご案内をするようにアドバイスさせていただいておりました。
キャリアセンターや研究室へ足繁く訪問することで、キャリアセンターや研究室とのルートづくりが出来ます。
また、学生の印象に残るインターンシップを実施していけば、そうした学生の声はキャリアセンターにもしっかりと届きますし、キャリアセンターから紹介された学生が自社のインターンシップに参加してくれた場合には後日、キャリアセンター主催のインターンシップ成果発表会のようなものに参加企業側として参加出来、学生の頑張り等を発表出来る機会を得ることもあります。

こうした積み重ねが、私が常々口にさせていただいている「採用ブランディングが高い会社」に育っていく、と思っています。
私が定義する「採用ブランディングが高い会社」とは、世間一般的には知名度が高くなくても、学生やキャリアセンターの間では就職先企業としてしっかりと認知されている会社、ということになります。

事実、数年にわたってキャリアセンターや研究室を訪問してくださった弊社のお客様は、今では毎年確実に学生をご紹介いただけるようなルート構築が出来てきています。

またインターンシップのプログラムも工夫次第で学生の心に響かせることが出来ると思います。
短期間で課題などを山のように盛り込んでも学生のほうも消化不良で終わってしまいます。
あえて7割8割程度で終了させ、学生に余韻を持たせるようにするというのも1つの方法です。
「せっかくここまでやったのだから、今後も定期的に集まって課題を完成させよう」という言葉が学生達から自然発生的に出てインターンシップ終了後も学生達が自主的に集まって継続し、見事課題をクリアしたという実例もあります。

1日のみのインターンシップの大半は会社説明会と同じ場合が多いと前述させていただきましたが、これもプログラムの1つであるとは思います。
限られた時間しかない訳ですから、仕事場の雰囲気を見せ、仕事や課題を与え、会社説明は仕事や課題を行うのに必要なものだけに絞って説明するようにするといいと思います。

とにかくその日は会社や仕事を肌感じてもらうことに専念し、もし少しでも関心が深まった場合には後日の会社説明会に参加してもらうように導いていくのです。

そのためにはインターンシップ終了後のフォローも重要です。
フォローといえば、若手を中心にした社員がインターンシップ期間中に学生達と飲みに行き、趣味の話で盛り上がって意気投合して結果、採用に結びついたというケースもあります。

現場の社員の協力が不可欠なインターンシップは、人事だけでなく、トップのしっかりとした意思・考えの下、全社で取り組んでいく必要がありますし、そういう姿勢で臨まないといい結果には結びつかないと思います。

私もお客様の「採用ブランディング」をいかにして高めていくかについて日々意識しながら、お客様にとって最適なインターンシップをご提案し続けていきたいと思っています。

以上、何かのご参考になれば幸いです。

インターンシップコンテンツコンサルティング

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