本番で良い声を出すために 一日1分簡単な「横隔膜ボイストレーニング」
私がおすすめしている横隔膜をきたえるボイストレーニング「プレッシャーブレス・シリーズ」では、口を閉じて唇のすきまから空気をたくさん流すことで腹圧が高まり、横隔膜がしっかりと意識できるトレーニングです。
ただ、せっかく頑張ってトレーニングして横隔膜がしっかり使えるようになったのに、実際に人前でしゃべる場面になると、声が薄っぺらくなり浮いてしまったり、高さも甲高くなって、元に戻ってしまう場合があります。
では、どうすればトレーニングの成果が出せるのか?
出来ないのは、実際にお話しするとき、「横隔膜を忘れてしまっている」ことが原因です。
そのため、横隔膜を使うことを思い出していただくことを意識する必要があります。「プレッシャー・ブレス」をしているときと同じ状態を発声時にも作ることです。
プレッシャーブレスをしている状態というのは、お腹の腹圧があがり、パンと張った状態。横隔膜が使えています。
私は、横隔膜は良い声を出すためのスイッチと言っています。
そのスイッチを入れ忘れているなら入れてあげればよい。
私はそのために、まずしゃべり始めの子音、または母音を利用します。
例えば、開口一番「皆さん、はじめまして!」と言う場合。
「皆さん」の、言葉の頭にくる子音[m]で、「プレッシャーブレス」と同じような状態を作り出します。
息をたくさんすって、しっかりと「m」を言うのです。ほんの少しだけなら長めにして「m~みなさん」となっても、人前で話す場であれば、そんなに大袈裟には聞こえません。それどころか、[m]というのはどちらかというと響き難い子音でもありますので、[m]が聞こえなくて「いなさん」となってしまうよりはずっと良いです。
文章のはじめでドンと思い切りスイッチを入れてしまうというのがポイントです。
一度スイッチを入れたら、そのまま抜かないようにしてください。
しゃべっていると息を使いますのでお腹はへこんできますが、できるだけ「パン」と張った状態を維持。ベルトのあたりを手でおさえたら、風船のように「張り返し」を感じます。
文章だけ読んでいると、力みそうな気がしますが、プレッシャーブレス・トレーニングを行ったことがあれば、力むことなくこのような状態に持っていくことができます。
言葉の頭からしっかりと息をつかう、息を流す、ということを行うと、横隔膜が反応して良い声で発声しやすくなります。
文章の言い始めにしっかり入れる、というのがコツです。例えば、「しかし・・・」だったら[s]を、しっかり息をつかって、「s~しかし」というように、スイッチを入れるきっかけにします。
それでは、横隔膜のプレッシャーブレス・ボイストレーニングの方法をお伝えします。
★★「横隔膜ボイストレーニング」★★
1、横隔膜のあたり(おへそと一番下のあばら骨の間)に手を当てる
2、顎を下げて口を開け、思い切り息を吸う
3、口を閉じ、唇に針一本通るくらいの隙間を開けて、呼気の空気で頬と鼻の下をパンパンにふくらませて、同時に思い切り息をはきながら「ふぅ~~~」と「う」の母音で発声する。大きな声は必要ありません。軽い声で行います。唇の間で常に息が摩擦しながら流れているように。手の当たっている場所、横隔膜やベルトのあたりが手を風船のように「張り返している」感覚を意識してください。
ポイント:口の前にティッシューをかざすと地面と平行に5秒以上はためくように。
4、息をはききったら再び口を開けて1から繰り返す
このトレーニング、時間を決めてやってみてください。朝、仕事の前に5セット行ってください。5セットやっても1分弱。習慣にしていると、いつの間にか声がよくなっています。
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