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マーケティングとはワインの香りのように立ち上るその思い #asacafestudy

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2011年12月14日、第28回 朝カフェ次世代研究会、永井孝尚さん の講演「会社員しかできない本の執筆術」を聴いてまいりました。
 
永井さんは、2008年に「戦略プロフェッショナルの心得」を自費出版。続いて、初の商業出版で、2009年に「朝のカフェで鍛える実戦的マーケティング力」、2011年に自費出版「バリュープロポジション戦略50の作法」と、商業出版「残業3時間を朝30分で片付ける仕事術」と、最近では「100円のコーラを1000円で売る方法」と、5冊の本を出版しています。
 
3週間前に発売されたばかりの「100円コーラを1000円で売る方法」の誕生秘話などもありました。今回はこの本を読んでの所感を書いてみたいと思います。
 
この本は、マーケティング本には珍しいストーリー仕立て。
読み始めたら思わず引き込まれて最後まで一気に読んでしまいました。
自分の経験と重なり、思わず登場人物に感情移入してしまう面白さがあります。特に宮前久美のキャラクターが痛快で、女性としては元気をもらえました。
 
巻末付録「本書でとりあげたマーケティング理論」にある参考文献がよいと思います。
それらの本のエッセンスを咀嚼し、フィルターにかけ、具体的に分かりやすく反映してくれていて、「なるほど、こういう場合にこうなるのか」と、今まで難解だった内容が初めて腹に落ちました。しかも、現役の会社員でもある作者自身の体験から書かれているので、素直に納得できます。
読了したあとも、「あれはどの本の引用だったかな?」と確認できるので、何度も読み直しても新しい発見がある本だと思いました。
 
私が特に気に入ったのは、会計コンサルの山倉が主人公の宮前をフランス料理店に連れて行く場面です。
 
山倉が特別な夜のために頼んだワインの生産者、アンリ・ボワイヨ氏。
 
ボワイヨ氏は、ワインにするブドウを自分自身で選別します。雹害のあった年などは、ブドウをピンセットで選果するほどの完璧主義者。
だから、自然と本数も少ないのです。
 
このレストランは恵比寿に実在する「マッシュルーム」というフレンチで、なんと、以前ブログで五回シリーズで取材したお店。
支配人の江連さんは、このボワイヨ氏の、ヴォルネイ カイユレ プルミエ クリュに惚れこみ買い占めてしまったほど。ご本人いわく「私がお嫁に行くまで売りきれるかしら・・・」とおっしゃっておられます。
 
それほど、人々を魅了してやまないボワイヨ氏。
その極上ワインを飲みながら、宮前はワイン好きの山倉に「ボワイヨさんみたいになって、一緒に日本の会計に革命を起こしましょう」と呼びかけます。その言葉に動かされた山倉。今まで渋っていたにも関わらず重い腰を上げるのです。
強力な助っ人を得た宮前は、そこから一気に戦略を成功させていくという話し。
 
夜の恵比寿でがっちり握手する宮前と山倉のシーンは思わずジーンとしてしまいました。 
山倉はプロ中のプロであり、職人気質のコンサル。
専門家が、分かりやすい言葉で全国に「メソッド」を広めるという考えに共感を覚えました。
クラシック音楽でも、同じようなことができないか。
自分自身にもあてはめて深く考えさせられました。
 
マーケティングとは単にモノを売るだけのテクニックではない。自分の思いを広めるものなのだと感じました。たおやかに立ち上るワインの香りのように。

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