最近指摘されて気がついたもう1つの電子書籍のメリット
先週は、久々に第2の故郷である長崎へ。今回は遊びではなく、仕事。それも電子書籍がらみの案件だった。
じつは、中学時代の友人の江島氏が、長崎で画家というかイラストレーターをやっている。彼と昨年から、作品を電子書籍にしないかという話をしていた。で、今回、彼が長崎新聞に連載していたイラストとコラムを紙の書籍として出版するとのことで、ならばそれをもとに弊社と佐々木さんのところのCMパンチの共同プロジェクト「eBookPro」で電子書籍化しましょうということになったのだ。そこで長崎まで打ち合わせに行ったわけで、どうせならということで長崎新聞の出版局を中心に人が集まってもらい、その方たちに最近の電子書籍の動向について話す機会をもらうことができた。
一通り最近の電子書籍ビジネスの動向などについて話をしたあとに、いくつか質問が出た。電子化に関わる費用に関するものや、実際にビジネスとしてどうなのかといった話しも多かった。それらをきっかけに簡単なディスカッションもでき、有意義な時間に。地方新聞である長崎新聞でも、すでに電子化に対する対応は始めているとのこと。いつからということはまだ未定だが、なんらかの形で電子版を提供することはすでに考えているようだ。
そんななかで、江島氏に対する質問があった。それは、絵を主体にした作品を、どうして電子書籍にしようと思ったのかというもの。これに対する江島氏の回答が、「絵を描いていて、その作品を紙に印刷してしまうとどうしても色が暗くなってしまう。それが、iPadのような液晶の端末だと、紙の印刷よりも自分が思っているような色、彩度が表現できるのだ」というもの。なるほど、そんなこともあるのかと。これは、電子書籍のメリットとして伝えていかなければなぁと思った。
会場には印刷会社の方も数名参加しており、会が終わったあとに少々雑談。その際に、この紙より電子書籍のほうが絵の色の表現媒体としてはいいという江島氏の発言が、すごくショックでしたという感想も。そのときには、絵と同じような色を再現するには、紙やインクなどコストを惜しますにやればできるのかなぁと思っていた。なので、技術的にはできるけど、コストがかかるから難しいだけなのかと。
ところが、この件を東京に戻ってからTwitterでつぶやいたところ、色数的にも最近なら液晶画面のほうが有利かもとのこと。さらに、そもそもRGBで表現するモニターとCMYで表現する印刷物の違いでしょうという指摘が。この指摘を受けて、そうかなるほどなと納得。RGBは色を合わせると白に、逆にCMYでは色を合わせると黒になる。江島氏の発言の「印刷物は暗い」というのは、このCMYで色を重ねると黒になるということに繫がるのかと思った次第。
いままで、液晶画面は疲れるし、電子ペーパー系も紙よりは読みにくいということで電子書籍のデメリットとして紹介してきたが、表現する対象によっては液晶画面であることがむしろ電子書籍のメリットになる。今後は、こういった説明もしていくことにする。