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鳥のように高いところからの俯瞰はできませんが、ITのことをちょっと違った視線から

インターネットの窓口が必要ってわけじゃない、裏の仕組みが重要なのでは

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 国の各種申請をインターネットで行える仕組みのうち、12のシステムで利用率が10%以下、そのうちなんと7つのシステムは1%未満だとか。

 各種報道がなされているが、このシステムの整備、管理費には05~08年度の4年間で118億7500万円もかかっていたとか。こんなものを民間企業で企画していたらとっとと撤退しているし、担当者は責任とらされているだろう。こんな話を耳にすると、危ういと言われている民主党政権の財源も、たしかに存在しそうだなと思えてくる。

 利用率が高いとは絶対に思えない、高齢者の恩給受け取りの住所変更がインターネットで申請できるようにしていたりで、ニーズとのミスマッチが大。とにかく、なんでもかんでもインターネットで、ということだったようだ。私は、ほとんど1日中PCが手元にあり、インターネットに接続されている環境で暮らしているが、だからといってすべてがインターネットでできればいいというわけでもない。

 先日も役所の証明書が必要になり出張所にとりに行った。これをインターネットでできればたしかに便利かもしれない。しかし、証明書として効力を発揮するには、自宅で紙に印刷したもはダメとかなりそうだ。電子ファイルで渡せばOKとかいう話になっても、今度は受け入れ側が電子ファイルは受け取れないとなりかねないのが現状。

 これが近所のコンビニの端末から、偽造防止された形で印刷できるようになっていたら、かなり便利で安全では。出張所でも端末に住民基本台帳カードを入れて、お金を投入すれば印刷されて出てくる。コンビニだって、いまや偽造を防止した形でチケットをその場で印刷して受け取れる。これらの仕組み自体は、たいして変わらないように思う。

 インターネットは1つの窓口に過ぎない。日本ならいまでは携帯電話も便利な窓口になるだろうし、都市部ならコンビニも同様。それらの窓口経由で安全に申請なりが行えるようになってくれれば便利だ。そのためには、窓口を整備するよりも、まずは裏の仕組みを整えることが重要だろう。整えるというか、まあうまいこと連携させるというのでも、だいぶすっきりして効率化しそうだ。住民基本台帳カードもそういう状況になってくれば価値も出てくるはずだが、いまのところ持っていてもほとんど利用価値が見いだせない。裏の仕組みを見直して整備をすれば、住民サービスとして便利になるだけでなく、業務が効率化され当然ながら大きなコスト削減が見込める。そう考えると、やっぱり財源はありそうだなぁと思えてくるのだった。

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