IT業界を四半世紀見てきたジャーナリストのこだわりコラム

顧客満足の原点を考える

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 なんとも日誌のつもりが、ほぼ「月誌」になってしまって……。

 今回は、ITベンダーにとって最も重要な「顧客満足」について考えてみたいと思います。ここでは顧客満足を考えるうえで最もベースである「顧客の信頼を得る」という観点から、これまでの取材活動の中で印象深かったユーザー企業およびシステムインテグレーターのそれぞれ立場の違った経営者の発言を2つ紹介しておきたいと思います。

 1つは、大手ユーザー企業が大規模な基幹業務システムを構築した時のこと。通常こうしたシステムの開発は緻密なプロジェクトマネジメントのもとで進められますが、事業の急成長に伴って業務処理量が急増したことから、開発の大詰めになってシステムの負荷性能の問題とそれに伴うシステム方式の見直しを余儀なくされる事態に陥りました。そこでユーザー企業の経営者は、あらためてシステム開発に関わるベンダーの経営トップに問題解決への至急の対応を要請。これに対してシステムベンダーは経営トップの指示のもと、社内のトップクラスのエンジニアを集めてタスクフォースチームを結成し、土壇場での問題解決に成功しました。

 この一連の動きを取材した筆者は、ユーザー企業の経営者からこんな発言を聞きました。「タスクフォースの意味が特別に編成されたスペシャリスト集団であることは知っていましたが、これほど経営トップの直轄で大きな権限を持ち、土壇場で素晴らしい問題解決能力を発揮するチームを初めて目の当たりにしました。まさにこのベンダーの底力でしょうね。大いに信頼感が高まりました」。このエピソードについては、そんな土壇場に追い込まれる前に対処できなかったのかとの見方もあるでしょうが、逆にこうした修羅場をくぐり抜けてきたからこそ「信頼感」というひと言に重みがあると感じさせられました。

 もう1つは、中堅システムインテグレーターの経営者へのインタビューで、「顧客満足を得るうえで最も大切なことは何か」と尋ねた時のこと。その経営者はこう語っていました。「その顧客を担当するうちの営業マンやエンジニアが、その顧客にとってキーマンであることです。顧客から、システムのことはあの人に相談すれば何とかなると、頼りにされることが顧客満足の原点だと思います。会社としては、担当者が顧客にそう思われるようにできる限りの体制を組み、具体的なソリューションを提案できるように商品・サービスづくりに注力しています」

 そして最後にこう強調していました。「会社としては精一杯バックアップする。君たちに恥ずかしい思いはさせない。だからお客さんが困っていることをしっかり聞けるように勉強して、お客さんのお役に立てるように努力しなさい。そうすれば必ずお客さんは喜んでくれる。自信を持ってお客さんのところへ行って来なさい。毎日そう言ってみんなを送り出しています」

 この中堅システムインテグレーターは社員数1,000人ほどの会社です。経営者だけではなく、現場担当者の話も聞きたいところですが、少なくともこの経営者の発言にはグッと引き寄せられるものがありました。やはり顧客満足の原点が“人”にあることは不変のようです。

 さて、今月29日発売の『アイティセレクト9月号』の特集は「崖っぷち!電子政府」。「このままでは電子政府プロジェクトがたいへんなことになる。なんとかしなければ」という強い危機感を持った多くの関係者に取材のご協力をいただき、渾身の力を込めてまとめ上げました。ただ実態をレポートしただけではなく、問題の本質を捉え、今後の改善の方向性を示したつもりです。取材にご協力いただいた方々に、この場を借りてお礼を申し上げます。ぜひともご一読ください。

Comment(1)

コメント

ochi, hiroyuki

”お客さんが困っている事をしっかり聞けるように勉強して、お客さんのお役に立てれるように努力しなさい”ぐらいでは駄目だ。お客さんの環境様子をお客さんより、よく理解して、お客さんにいろいろと改善策を提案できるほど顧客の事を知っているべきなのが、営業マンであり、Project Managerであるべきではないでしょうか。Projectの問題範囲、目的、評価基準無しで30年余りも、システム開発してきた日本のソフトウェア産業のだらしなさ、をなぜ指摘しないのか。電子政府Projectも同じでLOHAS化といっても同じく、目的を達成できたと言う評価基準もない。評価委員会が評価する基準もなく、何を、どのようにして評価するか明確でない電子政府計画は無いのと同じである。再度形骸化した、無駄金の計画をなぜ皆さんは理解できないのか。それで日本のシステム専門家達が世界と比較して、如何にレベルが低いがお分かりでしょうか。

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