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こころ温まる(?)「IPv6に対応してみました」話

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ひょんなことから、とあるライブドアのエンジニアの方のブログ記事を知りました。12月のものなのに、2月になってから。

にぽたん研究所・「IPv6 とかよくわからない人間が IPv6 対応サイトを作る際の知っておくべき 8 つの注意点 」
http://blog.livedoor.jp/nipotan/archives/51195204.html

これが、心温まります。以下、このページからの引用ばかりで恐縮ですが、

実は IPv6 って何年も前からよく耳にするけど、特にインフラまわりの知識が拙いし、何だかんだ身の回りのほとんどが IPv4 で、それでまぁウマくいってるからよくわからないし、別にどうでもいい…と、IPv6 に対して「現実味がない。時期尚早なのでは?」みたいな勝手な印象を抱いて、毛嫌いしてました。

最後の「毛嫌い」というの含めて、結構たくさんの方がこういう認識なのではないかと。

伊勢さんは 2ch の IPv6 板とかを立ち上げたらしく、IPv6 でアクセスすると、トップページのひろゆきが踊って表示されるそうです。 IPv6 と IPv4 の差って、ひろゆきが踊るか踊らないかの差だけ?とか、そうじゃないのをわかってながら変に牽制しつつ、対応しようとか言われても、IPv6 の何がいいのかよくわからんーとか思って、ボンヤリと引き受けました。

ライブドアは、IPv6などの研究をするセクションを立ち上げて、その手始めに2ちゃんねるの掲示板を1つIPv6で作ったんですね。IPv6アクセス可能なWebサイトではよくやるんですが、IPv6でアクセスしたときには、v4でアクセスしたときとちょっと違う「お得感」を演出するんです。これの元祖がIPv6プロトコルスタックの開発をやっていたKAMEプロジェクトのページ。IPv6だと、マスコットの亀が泳ぐのです。それを真似たのかなんなのか、2ちゃんのIPv6板では、ひろゆきのアバターが踊ります。それだけではなくて、IPv4でアクセスしても書き込めない、IPv6でアクセスしないと書き込めない、という仕掛けになっているのですが。

ただ、そうやって意識的にコンテンツを変えないといけないってくらいなわけですから、にぽたんさんおっしゃるように、「IPv6って踊るだけかい」みたいなことになっちゃいますよね。実際、いろんな改善は入ったのですが10数年前パソ通だったみんなをインターネットに駆り立てたような明白な違いは、この2つのバージョンのインターネットプロトコルの間にはないのです。明白な違いは、アドレス空間の潤沢さだけ。


で、その話の中で IPv4 枯渇時計というものを教えてもらって、衝撃を受けました。

実は IPv4 アドレスの枯渇 (予測) が意外に間近に迫っていて、今現在、良い悪いだ議論してようが、毛嫌いをしていようが、近い将来、この業界で働いている限りは免れることの出来ない現実だと感じました。
なのでこれを機に、実験的に fixdap を IPv6 化することにしました。

枯渇時計というのは、インテックネットコアが作っているブログパーツで、Geoff Hustonの枯渇時期予測を読み込みながら、予測された枯渇日までの日数をカウントダウンするもの。兎にも角にも、あと3年もすればIPv4アドレスの在庫がなくなってしまうということは、インターネットのシステムに携わる技術者の皆さんにさえも、浸透していないということなのです。

その後このエントリでは、自身のサイトをIPv6対応したときのTipsが並んでいます。これも情報価値ありますよね。

最初のほうのIPv6感の率直さ、枯渇の危機に関する素直な気づきと驚き、そして素早くやってみて、知見の共有、という、実に心温まるページでございました。

こういうページがたくさんになるように、認知度と対応の浸透を、残り少ない時間で進めないといけません。

あ、そういえば今週木曜日はHosting Pro 2009 というイベントで枯渇ネタで登壇します。

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