バイオリンのナット交換
またまた趣味ネタです。
生まれ年製造のスズキバイオリンですが、実は入手したときからナットがかなり傷んでいました。特にG線(一番太い弦)の溝が広がりすぎて、指板とほぼ接触してしまうくらい。開放弦を弾いた際にビリビリという音になる感じでした。とりあえず、少しだけ指板を削ってごまかして弾いていましたが・・・。
あまり良くわかる写真を撮っていなかったのが残念。。
いつかナットを交換しなければと、他のものを注文するついでにナット用の部材も注文しておいたのでした。とはいえ、ナット用の部材はかなり巨大なサイズで、本当のサイズの一回りどころか2倍くらいの大きさなので、加工する手間を考えると面倒で手を付けてませんでした。
塗装などが大体満足できる状態になったこともあり、そろそろ交換するかとやってみることにしました。すでに加工途中の写真ですが、実は元のナットを外すのも苦労しました。木の質が脆くて割れてしまいましたし、膠ではなく木工用ボンドで接着したのかと思うほど剥がれにくい状態でした。
右がもともとのものです。割れてしまっています。木目も粗く、これは黒檀ではなく紫檀でしょう。G線の溝がとても深くなっているのが分かります。修理方法として、溝のあたりだけ埋めて掘り直す方法もあるのですが、元の材質が良くない感じでしたので、ナットを丸ごと交換することにしました。
大体サイズがあった状態で、弦を通してみたりしながら調整します。A線がほつれていますねぇ・・・。交換する気になったのはG線のビリ付きと、A線がほつれてきたからです。まあ、塗装したりで弦を張ったり外したりしすぎなのですけどね。なお、せっかく塗装し直したのに、ナットを剥がす際に苦戦してナイフで塗装に傷を付けてしまいました。。
さて、バイオリンに限らず、木製楽器は基本的に接着は膠を使います。接着力が強いからではなく、修理する際に剥がせるようにです。膠は水分と熱で剥がせるのです。高校時代は薬局で買った棒膠を使っていて、今でもどこかに残っていると思うのですが、文房具売り場で粒膠を見つけたので、それを使うことにしました。この方が溶かしやすいですね。
膠で固定しました。
量産品はもっと直線的な形になっていますが、手作りなので丸く仕上げてみました。
加工に使った道具です。紙やすりが写ってませんが、入れ忘れました。黒檀は硬いのでヤスって大きさを合わせるのは大変です。大ざっぱには鋸でカットしていく方が簡単です。この小さなノコギリ歯片刃なので、万力ではさんだすぐの所をカットするのにとても便利です。
細かい紙やすりで仕上げてから、弦を張り直しました。
A線がどんどんほつれてきてますねぇ。。
ちょっとG線がD線と近すぎる気もしますが・・・
ナットが硬くなったおかげか、音色も少し引き締まった感じがしますが、気のせいかも知れません。
しかし、ナットの交換はショップに依頼しても数千円でやってくれるみたいなのですよねぇ。私は4時間くらいはかかりましたので、数千円で頼まれてもやりたくない作業ですが、プロは道具も手際の良さも全然違うのでしょうね。
ところで、新品で入手した中国製バイオリン以外は全部ペグがギシギシした状態でしたので、高級なペグコンパウンドを買ってみました。
高校時代に買ったものを使っていたのですが、全然効果がなく、液体タイプを買ったりしましたが、それもイマイチで・・・。新しいものを使ってビックリ。高校時代のものはおそらく油分が飛んで硬くなっていたのですねぇ。新しいものはかなり粘っこい感じです。これで見事にペグがスムーズになりました。
ついでに、高校時代からのバイオリンのペグも調整して、さらに、弦も一度使ってみたかったヘリコアにしてみました。スチール弦としては良い感じですが、やっぱりドミナントの方が好みでした。
弦を交換するついでに、駒も調整。弦高を少し下げ、形も最近お気に入りの形にしました。この駒は高校時代に薄く削りすぎていて、ちょっと反ってしまっているのでそのうち作り替えないとダメですねぇ・・・。
左が高校時代に何度も塗り直して最終的にこの色で今でもあるのですが、最近塗り直した生まれ年製造バイオリンと色がそっくりですねぇ。高校時代にはバイオリン用のニスなど入手できるはずもなく、普通にホームセンターなどでいろいろ買ってきて使っていたのですが、先輩の高級バイオリンの色に近い状態を狙ったのがこの色でした。
どちらもスズキバイオリンで、しかも、高校時代からの方は私より年上という古いものですが、どちらも自分で塗り直したバイオリンですし、これからもずっと使い続けることでしょう。中国製の私が持っている中では一番普通のバイオリンは息子が使っています。