尖った技術者も必要!
朝の坂本さんが数日前に「出来るプログラマーはなぜ尖がった一匹狼的な人間になりやすいのか?」という記事を書かれていて、少し考えることがあったのですが、忙しくてようやくその話題に関して書いてみようと思います。
私は著書「プログラミングで飯が食えるか!?」をはじめとして、「得意分野で勝負しよう」ということを、個人に対しても組織に対しても言い続けてきました。プログラマーであれば、まさに「尖れ」と言ってきているのです。私自身もUNIX系(というより最近はLinuxばかり?)のC言語によるネットワークプログラミング以外はまずやらない感じで仕事をしており、WEBやDBの話題が出ても、ほとんど話しについていけない位なのですが、自分の仕事は減るどころか増え続け、昨日の社内ミーティングでも「実はプログラミングを一番忙しくやっているのは社長という状況はどうなのか?」と種田君から言われたくらいです(中小企業の社長がいわゆる社長業に専念できる会社などほとんどないと思いますので、社長が得意分野で勝負し続けているのは全く悪いことではないと考えているのですが、さすがに細かい仕上げの作業などまで社長自身がやるのは無駄で、その時間くらいは社長業に使うべき、という話しです)。
一方で、私がCADシステムの開発販売から、出向を経て、受託開発を始めた頃に、仕事でご一緒した方々から言われたことが、「小俣さんは技術に詳しいのに、話もできる。そういう人はとても珍しい。」ということでした。たまたま私の場合、CADシステムの開発販売、つまり作るだけでなく、売ることも任せられたため、デモや商談なども嫌というほどやることになり、コミュニケーションの訓練を早いうちにできたというのが良かっただけだと思うのと、もともと社内でじっと作業をするのが嫌いで、お声がかかればすぐにでも出かけたいという性格のおかげ(自分からそうなろうと思っていたという気もしますが)だと思っています。いずれにしても、「尖った技術者=一匹狼」という傾向はあり、おかげで私は大して尖っていなくても、コミュニケーションもできることとの合わせ技で尖って見えたのかもしれません。
以前、ある会社のCTOの方とお話をした際に、「エース級の技術者は現場仕事には回しません。エース級でないと回らない状態の仕事では大きな仕事にできませんし、エース級には他のことをしてもらいたいのです。」と仰っていました。エース級の技術者は、技術的な目処をつけるまでが仕事で、それを稼ぐ状態にして回すのは他の人にやらせる、ということです。さらに、エース級の人の重要な仕事は、「情報発信」だそうで、「あの人が活躍している会社なら、一緒に仕事をしたい」と、できる人が集まるような魅力を発信することが重要な仕事なのだそうです。
当社も、種田君をはじめとして(種田君だけ実名で登場するのは同じオルタナブロガーだからというだけで深い意味はありません)、このところメンバー達は私の著書やブログを読んで興味を持ってアプローチしてきてくれた人たちです。「ルーター自作でわかるパケットの流れ」のような尖りまくった著書もつい先日書いたくらいですから、技術ネタもまだまだ発信しています。そういう意味では私は知らず知らずのうちにCTOの方が考えているような仕事の仕方をしていたとも言えますが、単に自慢好きだった、とも言えるかもしれません。技術的な目処だけつけて後は任せる、というのも、半分くらいはできている感じでしょうか。
朝の坂本さんが仰るように、協調性を持って、ビジネスをしっかり固めていく人たちもとても大事です。当社でもそのような役割で力を発揮してくれているメンバー達が製品事業や受託開発事業を支えてくれています。一方で、新しいことにチャレンジしたり、尖った情報を発信したりするようなメンバーも、当社のように「これさえあれば大丈夫」という製品がない会社にとっては大切であり、尖った一匹狼もある意味「大歓迎」なのです。それこそ私自身も「今日から新しい技術的なことは一切やらないで」と言われたら鬱になりそうですし、尖ったことにはまっているときには、不機嫌になったりしますから、尖った人の気持ちはよく分かっているつもりです!?
もっとも、不思議なことに最近は、すばらしい技術を持っている人でも、人間的にもとても立派な人が多くなった気もしていて、ある意味IT技術自体がそれほど尖っていない技術になり、意地を張らなくても認めてもらえる機会もあり、精神的に余裕がある人が増えてきたのかもしれませんね。
いずれにしても、「尖った人」も大活躍できる会社として、まだまだ当社は尖りたいと思っているのでした。