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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

出来るプログラマーはなぜ尖がった一匹狼的な人間になりやすいのか?

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おはようございます。

夜間の雨は早朝には軽く。降ったり止んだり。傘は必要。グレーの空。ん、蒸し暑い?

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昨日、NさんとTMC※をやっていたときの話題です。(※TMC: Ten minutes conversation 月一個人面談)

N)「いやぁ、まだ1ヶ月ちょっとですけど、
   今年の新卒技術者たちも良くできますね!
   なかなかいい性格の技術者がちゃんと集まるって難しいと思いますよ」

私)「確かに。人当たりがとんがった技術者が多かった時代もありましたね」

N)「私の経験からすると、プログラマーってとんがってなければ、
   人間的に問題があるくらいな一匹狼じゃないと、
   実力者じゃないと思っていましたけどね」

考えてみると今のうちの技術者たちは人間的に落ち着いています。
人当たりはとてもいいです。理知的だし協力的だしチームワーカーです。
起業当初の一匹狼的技術者たちに囲まれていた時代とは明らかに違います。

外から技術者を集めようとしていた時代にやってくるのはどうしても一匹狼たちでした。
いまは、技術陣は社内メンバーだけで成り立っているのも大きな違いなのでしょう。

では、世の中にはなぜとんがった一匹狼的技術者たちが出てくるのか。
今朝はそれについて考えてみました。

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よく、ソフトウェアの開発の実態は建設業界に似ていると思います。
ゼネコンが受注し、それが下請けや、孫請けへと流れていく。
結局は零細企業にいる大工さんや職人さんたちが実質的な作業を実施している。

大きい看板を持った会社が受注し、それをソフトハウスなどが下請けする。
ソフトハウスは孫請けへと仕事を流したり、必要に応じて技術者を派遣してもらう。
結局は零細企業にいる技術者たちが実質的なプログラミングをしている。

プロジェクトはしょっちゅう変わるので、なかなか一つの仕事が続けられない。
作業者たちが建設現場を転々とするように、ITのプロジェクトも転々とします。

建設業では成果物が見えるものとして残ります。
「これは俺が造ったんだぜ」と見せることができるのです。

一方、ソフトウェアは外から見えません。さらには会社内機密のものだったりします。
長いことやっているとなかなか自分の満足感が得づらい仕事になる傾向があります。

転々と現場が変わるプログラマーたち。
スゴ腕職人ともなればその場その場ではかなり重宝されます。
次第に「人間関係」にはプライオリティを置なくなります。短期でいなくなるのですから。
それよりも、目の前のトラブルに対して実力で切り抜けることを重視するようになります。

長いことその環境にあれば次第に一匹狼的な人になっていくのでしょう。

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一匹狼的な人当たりのとんがった技術者たちがいる職場にするのか。
チームワークに長けて理知的な技術者たちがいる職場にするのか。
どういう職場にしていきたいのか。それを考えて決めるのは自分たちです。
ITの世界においても理想組織は実現できるはずです。

上記のようなIT業界の一会社になるのか。
それとも、自社製品をクリエイティブに創り込む会社でいるのか。
後者を選んだ結果が今を見せてくれているのでしょう。

後者を選んで地道ながら同じ方向に力を出し続ける。それが次第に結果を出してくる。
前にも書きましたが、あまりに実感通りの表現が「ビジョナリー2」という本にあります。
好きな部分なので引用しましょう。

Spinning_wheel

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則 [単行本]
ジェームズ・C. コリンズ (著), 山岡 洋一 (翻訳) より引用

以下引用==>

巨大で重い弾み車を思い浮かべてみよう。金属製の巨大な輪であり、水平に取り付けられていて中心に軸がある。直径は10メートルほど、厚さは60センチほど、重さは2トンほどある。この弾み車をできるだけ速く、できるだけ長期にわたって回しつづけるのが自分の仕事だと考えてみる。

必死になって押すと、弾み車が何センチか動く。動いているのかどうか、分からないほどゆっくりした回転だ。それでも押しつづけると二時間か三時間がたって、ようやく弾み車が一回転する。

押し続ける。回転が少し速くなる。力をだしつづける。ようやく二回転目が終わる。同じ方向に推し続ける。三回転、四回転、五回転、六回転。徐々に回転速度が速くなっていく。七回転、八回転。さらに押しつづける。九回転、十回転。勢いがついてくる。十一回転、十二回転、どんどん早くなる。二十回転、三十回転、五十回転、百回転。

そしてどこかで突破段階に入る。勢いが勢いを呼ぶようになり、回転はどんどん速くなる。弾み車の重さが逆に有利になる。一回転目より強い力で押しているわけではないのに、速さがどんどん増していく。どの回転もそれまでの努力によるものであり、努力の積み重ねによって加速度的に回転が速まっていく。一千回転、一万回転、十万回転になり、重量のある弾み車が飛ぶように回って、止めようがないほどの勢いになる。

<==以上引用終わり

※ちなみに、この弾み車の画像はパワーポイントでの自作です(笑)。

※20120515 1345追記: 技術者の働きやすい環境を整えるのも一朝一夕では行かないということです。

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※20120515 1258 変換ミス直しました。 思い → 重い

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