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企業の風評対策の第一歩.ソーシャルメディア・企業アカウント一覧を公開しよう

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■震災後,ネット上を飛び交う風説
 この度,地震及び原発事故を発端としたデマが数多く生まれました,今や放射能汚染を心配して,フィリピンではマスクが飛ぶように売れ,中国では塩が買い占められていると聞きます.ロシアでは,ヨウ素が含まれているということで,赤ワインが売れているとの話もあります.買い占めだけでなく,日本からの輸入品について放射能検査がされていたり,日本からの入国者は放射線量が計測されるといった報道もあります.これらの風説によって,多くの方の生活が追い詰められています.

国内でも,
「コスモ石油の火災で、有害物質の雨が降る可能性がある」「患者を置き去りにして病院の職員だけが逃げた」などいろいろな話題がネット上を駆け巡りました.誰しも,未曾有の地震災害と原発事故に関する情報に敏感になっています.ちょっとしたことでも,大きな誤解や噂となって拡散してゆきます.

ソフトバンクの孫社長も

「知人が愛知で医者をしていて福島へ医療チームの一員として派遣される予定。が、途中でストップ…。日本医師会が50km以内には立ち入らないようにと勧告。医師さえも入れない場所に住民を残すのは間違っています。」

というツイートを信じて「同意」というコメントをつけてリツイートされています.
インフルエンス力のある孫社長ですので,1,700件を超えるリツイートがなされ,広く伝播してゆきました.
このツイートについては,日本医師会が注意勧告文を掲載,孫社長ご自身も直ちに謝罪のツイートを発信されています.発信元もいつの間にかツイートを削除しています.何れにせよ情報を受けっとた読者は,誤った情報を配信することは,様々な人に迷惑を及ぼすことがあることを自覚しなければなりません.

 多くの方が,デマに惑わされない対策として,情報ソースをしっかり確認することを指摘しています.信頼できる情報ソースとはどのようなものでしょうか?
「記事作成のプロが作成したマスメディア」や「信頼できる有識者・知人の発言」などが考えられますが,人のすることです.誤報や誤解を招く表現もあるでしょう.事実関係は「当事者から直接取得」する情報で裏付けをとることが第一です.

 翻って当事者側からみれば,自身が運営するホームページやソーシャルメディア・アカウントは当事者が発言できる格好の場でもあります.当事者自身が客観的に・迅速に・読者が知りたいことを発信することが誤解や風説の拡散抑制に大きな効果があるでしょう.
 先の例では、コスモ石油は企業ページで風説の否定文を3/12に掲載しています.日本医師会も上記のとおりの掲載があります.(日本医師会はコスモ石油の件についても,注意喚起文を掲載しています.)

■重要度を増すソーシャルメディアの企業アカウント

 ソーシャルメディアでは,企業の中の人が発言することも機能的に可能です.企業のソーシャルメディアアカウントを活用して,正しい情報を迅速に伝える行動は,今日からでも始めることが可能です.既にソフトバンクのカスタマーサービスTwitterアカウント@SBCareなどのように,ソーシャルメディア上で企業や製品について発言している人を探し出し,能動的に対応する企業も増えています.責任ある立場の企業が対話に参加するわけですから,説得力があります.風説を抑止するためにも有効な活動です.
但し,これを実践するには,読者が目にしている情報やコミュニティでの発言が,企業が発信している情報であることを担保することが不可欠です.なりすましアカウントとの区別も明らかにしなければなりません.また,アカウントの運用スタンスも伝える必要があります.これらをしっかり伝えなければ,企業や製品に対する誤解やデマの拡散を抑止することには,効果がありません.

■国内自動車会社のソーシャルメディア・アカウント一覧ページ

 先月,本田技研工業トヨタ自動車が各社ホームページにソーシャルメディア・アカウント一覧ページを開設しました.既に開設していた日産自動車とともに国内三大自動車メーカーが揃いました.
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図 トヨタ自動車のソーシャルメディア・アカウント一覧

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図 日産自動車のソーシャルメディア・アカウント一覧

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図 本田技研工業のソーシャルメディア・アカウント一覧

 このように、企業のソーシャルメディア・アカウント一覧を掲載することは,企業が発信した情報である拠り所になるでしょう.
 復興に大きな影響力をもつ三社がこれらの企業アカウントを通じて励まし合うツイートを繰り広げています.本来,ライバル関係にある企業同士が,その枠を超え対話する姿勢(togetter:トヨタ、日産、ホンダ ~競合メーカー同士の歴史的やりとり~を御覧ください)には,励まされます.

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