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「本質を理解する」事の理解

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様々な経営者やコンサルタント、または管理職に就いている様な方が、「本質を理解しろ」なんて事を言っているのを、恐らくほとんどのビジネスマンが一度は耳にした事があるのではないでしょうか。しかし、「本質を理解しろ」と言われても、その言葉の「本質」自体を理解せずに、「よし、本質を理解するぞ!」と言って理解したつもりになってしまっているケースは、実は珍しい話ではありません。実際に弊社も社外で研修をする際に「本質」という言葉を良く使うのですが、やはり表面上の言葉だけでは中々理解されず、都度丁寧に説明しているという現実もあります。なので今日は、「本質を理解するという事はどういう事?」という話を、分かりやすく噛み砕いて説明してみようと思います。




【本質を理解するという事は、対象となる事象の「正しい意味」を知る事】


シンプルに「本質を理解する」という言葉を説明すると、「そのもの(事)自体の正しい意味を知る事」だと言えます。実はこの「本質を理解する」という話は、子供と接する時に良く関係する話でもあります。例えば、歯磨きという行為をイメージしてみて下さい。歯磨きが嫌いな子供に、親が「歯磨きしなきゃ駄目でしょ!!」と頭ごなしに伝えても、子供は歯磨きの大切さを理解しません。しかし、「歯磨きしないと、歯に虫歯がたくさん出来ちゃって、真っ黒になっちゃんだよ。真っ黒になって、夜も眠れない位痛くなるの。そうならない為にも、必ず寝る前に歯を磨くんだよ」と伝えると、歯磨きが嫌いな子供でも歯磨きをする様になります。「歯を磨かないとどうなるか」を理解するからです。それを知る事が、所謂「本質を理解する」という事になります。


では、ビジネスシーンでの例えを出しましょう。例えば、「日報を提出する」という行為。「毎日日報を出しなさい。それが会社のルールだから」と上司に指示された部下が居たとしましょう。部下が「日報を提出する」という行為を「会社のルールだから」としか理解しなかったら、その行為は「やらされ仕事」になってしまいます。「日報書くかー。出さなきゃいけないしな。」こんな事を思いながら日報を提出するのですね。


でも、もし上司が「日報を書くというのは、自己成長の観点で考えると非常に重要な意味を持っているんだ。自己成長をする為には、問題を見つけてその原因を理解し、改善策を考え実行するというサイクルを回さなければならない。その入り口となる問題点を見つける為には、必ず振り返りが必要になるんだ。日報を書くと、一日を振り返り、問題点がなかったかどうかを考えられる様になる。そこから自己成長に繋げられる様になるんだよ。」と伝えると、どうでしょう。部下が「自己成長は大切」という前提を既に持っていれば、日報を提出するという業務を「やらされ仕事」としてではなく「自らを高める為」と認識して取り組む様になります。


この様に「対象となる事象の本質を理解」すると、その事象に対して働く「意識」が抜本的に変化するのです。




【本質を理解すると、同じ行動量でも質が高くなる】


本質を理解し正しい意識を持った上で行動を行うと、同じ時間の行動でも行動自体の質を大幅に高める事ができます。例えば、社内会議をイメージしてみて下さい。新しい営業戦略について社内会議に参加する際、「集まらないといけないから」という意識で会議に参加するのと、「しっかりと新しい戦略を提案して、もうワンランク上の仕事に取り組める様頑張ろう」という意識で参加するのでは、どちらの方が中身の濃い会議の時間を過ごす事が出来るでしょうか。恐らくほとんどの人が、後者のパターンと答えると思います。この「本質の理解」と「意識の向上」をしっかりと行った上で行動に取り組む事が、実は自らが過ごす時間の質を高める「一番シンプルな方法論」なんです。




【本質を理解出来る様になるには、まずは本質の捉え方を「体験」しなければならない】


本質を理解する事の意味がわかり、そうする事で行動の質が高くなる事を理解したとしても、実際に「本質を理解しようと行動」する事が出来なければ、本質を理解できる様になる事はできません。最も簡単に本質を理解する能力を身に付ける方法は、実際に自分自身が本質を理解する流れや手段を「体感」する事だと思っています。体感し、感じて、少しずつ意識をして実践していき、それを継続して、最終的には無意識でも出来るようにする。あらゆる事象に対して「これって、本当はどんな意味や価値があるのだろうか」「これをする事によって何がもたらされるのか」という事を徹底的に考える様にすれば、自ずと本質を理解する能力を身に付ける事が出来るのです。


今日は、仕事をしている人であれば誰でも出来る「本質の理解の体験の仕方」をここでご紹介します。まず、一日の仕事のタイムスケジュールを、朝から晩まで項目毎に洗い出してみて下さい。(例:朝の新聞読み、朝礼、営業会議、企画会議、チーム内月間目標立案、保守ベンダー打ち合わせ、クライアントフォロー訪問、終礼、日報提出、etc..)そして洗い出した後、その項目毎に対して、「この仕事をやる本当の意味って何?」という自問自答し、その業務を行う本質的な意味を書き出してみて下さい。これで「本質を理解する」事を体験できます。またその本質の意味を書き出した上で「この考え方は持ってなかったな」という部分があれば、それは即ち現在まで「本質を捉えてなかった領域」という事になるのです。恐らく、多くの人が「あまり本質を理解していなかったな」とびっくりするはずです。




【どうせやらなければいけない事だったら、自分にとって一番価値のあるものにしなければ勿体ない】


こうしたほんの少しの「意識の違い」が、得るもの・生み出せるものに大きな変化をもたらします。上記を見ればわかりますが、本質を理解する事自体は、そこまで難しい事ではありません。一番重要なのは、「無意識に出来る様になるまで、意識出来るかどうか」です。どうせ同じ時間を掛けてやらなければならない事であれば、本質を理解し、自分にとっての価値を最大化した上で取り組んだ方が、遥かにいい結果を生み出せるはず。是非、ビジネスに携わる多くの方々が、こうした考えを持って今よりちょっと「プラスの価値」を得てくれればなと思います。


それでは。


P.S.


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