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創意工夫とシェア気質に富んだ2011年の新入社員は、保守的で蛸壺的な情報の囲い込みを好んだ先輩や上司とどう付き合っていくのだろうか

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 公益財団法人日本生産性本部が毎年恒例の新入社員の意識調査を行いその結果を発表している。この調査は毎年この時期にほとんど同じ内容の設問で継続的に行われているので、新入社員の意識の変化やその背景となる時流などが窺い知れる貴重な情報だ。PDFファイルはこちら。(ちなみに同本部が毎年発表している新入社員のタイプについては今年は発表が見合わされている模様)

 さてその発表資料によると今年の新入社員の特徴は

  1. 海外勤務に応じたい(54.3%)
  2. 仕事を通じてかなえたい「夢」がある女性、過去最高(73.4%)
  3. 一つの会社に最低でも4年以上は勤めるべき、過去最高(55.0%)

ということだが、私が気になったのはその次の「ある仕事をやっているうちに、研修でおそわったマニュアルに書かれていないことが起きました。このときあなたは、...」という2者択一の設問への回答を「できるだけ自分でくふうしてみる」とした割合が過去最高の37.3%となったこと。ちなみに同じ選択肢の最低選択率は2006年入社組でこの年の新入社員は実に62.7%が反対の「すぐにストップしてあとは先輩や上司に聞く」と回答している。
 2006年入社組というと今年で5年目にあたり会社に慣れ仕事も覚えて新入社員の指導役に選ばれることも多い年代。新入社員の創意工夫を先輩社員が「勝手なことをするな!」とやる気をそいでしまうシーンが結構ありそうな気がする。

 また「ビジネス上、有益な情報を入手しました。そのときあなたは、・・・」に対しても今年の新入社員は、過去最高の76%が「周りの上司、先輩に対して、積極的に情報を提供する」とすると回答している。同じ設問への回答率が最低だったのは2003年入社組で「上司、先輩とはいえ、仕事上のライバルなので、必要に応じて情報提供するか否か決める」とする割合が最も高かった。2003年入社組は今年8年目で、今年の新入社員のちょうど最初の上司になりそうな係長やリーダークラスといったところだろう。

 こうした保守的な先輩や蛸壺的な情報の囲い込みを好む小上司とどう付き合っていくかは、彼らにとって永くて難しい課題になるかもしれない。
 日本能率協会による別の新入社員意識調査によると、今年の新入社員の多くは「10年後の日本は良くなる」と信じている逆境に強いやる気のある世代でもあるそうだ。がんばって欲しい。

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