サイボウズLiveは誰からお金を貰うかがポイントだろうなぁ
昨日はサイボウズの丹野さんのご招待で新しい「サイボウズLive」の発表会に参加してきた。既にアイティメディアをはじめとして多数のメディアでニュースが出ているしオルタナティブブログでも東さんが「サイボウズLiveの『本気度』」というエントリーをあげていらっしゃるので発表内容ではなく、発表会に参加した感想を書いてみたい。
発表会で紹介された事例のうち横浜市南区の睦町クリニックでの訪問診療での利用事例はすばらしいものだった、患者さんごとにセキュアなグループを作って、事業所間の連絡、スタッフ同士の引き継ぎに活用するというアイデアはまさにグループウェアが社会的基盤になりうる可能性を示しており、サイボウズLiveは単なるビジネスSNSではない新しい領域にチャレンジしていることがよくわかる。
さて現在20名までは無償のこのサイボウズLiveだが来年以降は20人を超えた部分は1人1ヵ月100円での課金となるそうだ。年間で1200円というのはクラウド時代でも破格の安さだと思う。すごく安い、安いと思うのだがこれを展開するのは結構辛いだろう。
というのもサイボウズLiveが切り開こうとしている社会的ネットワーク上のコラボレーションの場合従来の組織の枠を超えているだけに、(あたりまえだが)組織の裏づけがなく、そこで誰がお金を払うのか(スポンサーになるのか)という問題が常に発生する。発表会の際に青野社長はマンションの理事会での活用事例を話していたが、そういうところでは月100円でも結構辛いという。
実はITリテラシーがあればサイボウズLiveに似たコラボレーション環境を無償のサービスを組み合わせて実現できる昨今の状況も踏まえると、誰からお金を貰うか、どうやってお金を払ってもらうかに結構苦労すると思う。
プロモーションビデオにでてきたような複数企業でのプロジェクトであれば中心となる企業が金を出すなり、発注時に契約で縛るなどの手が打てる。強い関係性を持ったグループであれば利用料負担も強制力を持たせやすいのだが、勉強会、マンション組合、同窓会、町内会、単なるネット友達というように関係性が薄くなればなるほど強制力が持たせにくくなる。地域医療のような非常に多数の関係者を抱えるような使い方をする場合なんて典型的にそうだろう。
関係性が薄いと集金する手間やモチベーションに負担がかかる。サイボウズはこれまでBtoB企業だったけど個人からお金を徴収するBtoCモデルに進出する必要に迫られるかもしれない。
このあたりがサイボウズLiveが今後普及できるかの肝になると思う。最近はクラウドの運用コストも下がってきているようなので、もしかするとサイボウズLiveの運用コストはサイボウズの本業の儲けでペイできるのかもしれないけど、それだと社会基盤にはなりえない。
社会基盤ということになれば役所などの公共がお金を出すほうがしっくりくるだろうがそこにはまた壁がある。むしろいまや日本では誰でも持っている電話
と携帯電話の事業者を巻き込んで、電話番号をキーとしたSNSみたいなものにして利用料もキャリア負担(というかキャリア経由で利用者課金)にしたほうが
良いようにも思ったりするが、これも大変そうだ。
つらつらと書いて、まだあまり良いアイデアは出てこないけど、こういう試みは応援したいので引き続き考えてみたい。
ちなみに個人的には社会的基盤になるほどの大きな登録者数を抱えたときに、そのデータをソーシャルグラフとして活用する可能性にも非常に期待している。丹野さんは今後APIなども拡張・提供すると言っていたがどんなAPIが出てくるのかも楽しだ。
しお