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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

コミュニティには寿命がある

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 イノベーションを生み出すためには、コミュニケーションが重要であり、そのコミュニケーションを行う場としてのコミュニティについての重要性について否定する人はほとんどいない。そして、今や組織におけるこのコミュニティをITを使ったネットワーク上で運営するのが時代の流れである。

 以前にも書いたかも知れないが、コミュニケーションには相互に相手の知らないことを提供し合うような一面があるので実のところ時間が相当経過すると交換する情報が尽きてコミュニケーションする事が無くなることがある。コミュニティにはやはり寿命があるのだ。これについてきちんと調べたデータを見たことは無いが、多くの人たちがネットワーク上のコミュニティの寿命は大体2~3年だと言っているし、私もだいたいそんな感じだと思っている。このあたり今泉さんの「メディアの旬は2年」説とも近い。あと小林さんの「POLAR BEAR BLOG」の「ブロガーの賞味期限」にも2年という数字が出てくる。そして特にメンバーの入れ替わりの少ない組織内コミュニティの場合は、インターネット上のものよりもこういう寿命が短くなると思っている。
 念のため補足しておくが寿命がきたコミュニティを指して失敗事例というのは大きな誤りで、そうしたものは寿命が来る前に一定の役割と効果をもたらしてくれてたはずで失敗ではなく役割を終えたと評価すべきだ。
 
 面白いのはコミュニティに寿命が来たからと言ってコミュニケーションのニーズが無くなるわけではないことだ。だいたい寿命が近づいてくるとそこにいる人たちはそれぞれ別のコミュニティに移ったり、あるいは自らコミュニティを立ち上げたリする。コミュニティの寿命は、同じメンバー間でのコミュニケーションニーズが減ったというだけで組織全体のコミュニケーションニーズが減ったことではない。だから組織内のコミュニケーションやコミュニティをマネジメントするときには、このコミュニティのライフサイクルを上手く活用して寿命が来たコミュニティのメンバーを適時に適切に新しいコミュニティに誘導することがひとつのポイントになる。
 
 具体的なシステムの話であれば、通常組織内システムの場合はハードウェアやソフトウェアの償却やリースが大体これくらいの長さであるのでそれに合わせて新しいシステムへ入れ替えていく。最近だと、寿命の来た社内掲示板をイントラブログや社内SNSに置き換えるというような話になる。
 
 さてそうするとこの手のパッケージ製品の場合、同一顧客でバージョンアップするニーズは少ないということになる。だからであろうか、この手のパッケージ製品の場合時間の経過とともにバージョンアップがあまり行われなくなるし、バージョンアップ時に旧バージョンからのデータ移行などをあまり考慮していない製品が結構多い。売り手側のベンダーもよく判っていらっしゃるということか。

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