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エンプティポータルになっちゃう!(1)~ポータルの中身ちゃんと考えてますか

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 毎年なぜかこの時期になるとあちこちで企業情報ポータル(EIP)関連の話をよく聞く。中には年度末に向けてライセンスだけを購入したいなんて話もある。また、最近は企業情報ポータルを構築した企業も増えて来たので、逆に既に構築したポータルについての今後の相談なんてのもある。そういう相談を聞くと思わず「エンプティポータルになってしまいそうですよ」とか「エンプティポータルになっちゃいましたねぇ」と言ってしまいそうになる。

 このエンプティポータル(empty portal)とは言葉の通り中身の無いポータルである。恐ろしいことに実際に構築されたポータルの40%はエンプティポータルだという指摘すらある。ここでいう中身とはコンテンツのことである。業務遂行のためのキラーコンテンツが掲載されていないものや、単なる情報掲載や更新されない静的なコンテンツばかりが集めたものがこれにあたる。なぜこのようなエンプティポータルが増えるのだろうか?
 私が見たことのあるいくつかのエンプティポータルは、まさに中身の薄いコンテンツだけが掲載されているものだった。突貫工事的な企業情報ポータル構築に合わせて、社長の声やおざなりなリンク集といった、とりあえず手元にあった業務上はあまり重要で無いコンテンツだけを載せてしまったのがその原因だ。またこうして作られたポータルは当然ユーザから見て魅力が無いので、利用が進まずその結果改めてコンテンツを追加するための予算が獲得できなくなり、コンテンツの更新すらままならなくなり、それによりさらなるユーザ離れを引き起こすという悪循環に陥っている。

 実際にある会社では、企業情報ポータルを構築したものの掲載コンテンツが魅力的なものでは無かったために利用ユーザが全体の2割以下に留まり、結局構築後しばらくしてポータル基盤ソフトウェアの保守契約の更新を打ち切ることになったそうである。こうなると改めて掲載コンテンツの見直しから行うしかないが、一旦×の烙印を押されたシステムを再度見直すのはかなり大変な作業になると思う。

 なぜこういう事になるのだろうか?ひとつには以前社内SNSの時に書いたのと同じように目的や狙いが曖昧で「どんなポータルを構築するか」が不明確なままプロジェクトを始めてしまうことにある。
 別のある会社では、ポータル構築プロジェクトが発足しベンダーも決まったものの、いざ要件定義の段階まできて、実は出来上がりそうなシステムにあまり魅力的な効果が出ないということでプロジェクトを中止にしてしまったようである。途中でチェックして中止したというのはプロジェクトマネジメント的には正しいのだろうが、やはり無駄というかもったいないとしか言いようがない。

 例えば、全社に情報を効率よく確実に配信するためのインフォメーションポータルを作りたいのか、それとも社員の日々の業務支援を行うためのパーソナルワークプレイスを作りたいのか。あるいは、部内やプロジェクトチームでのスケジュール調整やドキュメントの協同作成やレビューと保管/管理を行うためのチームワークプレイスを構築するのか、それとも人事業務一切を処理する為の人事ポータルや営業マンの営業活動全般を支援するための営業ポータルを構築するのか。

 もし検討していて混乱して判らなくなったら、一旦“ポータル”という単語を外して考えてみると良い。「全社トップページ」「メール・スケジュールなどのPIM」「チーム内掲示板」「営業支援システム」のどれを作りたいのかを考えるのだ。

 (予算があるのならライセンスを先に購入しても良いとは思うが、その前に)これくらいはプロジェクトメンバー内で事前に合意しておくべきだ。

(続く)

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