ナレッジマネジメントは挫折産業だった
加藤さんと磯島さんのエントリーに触発されるかたちで前から気になっていた新創刊の「月刊アスキー」をついに買って読んでみた。けっこう読みごたえがあって面白かった。で、その中で私がもっとも惹かれた記事が月刊アスキーの元編集長である遠藤諭さんの「挫折産業」という記事。←ごめんなさい加藤さんの記事でなくて(^^;)
世の中には“挫折産業”と呼ばれるカテゴリーがあるらしい。ダイエットとか英会話とかがそれで、何度チャレンジしてもなかなか身につかない。しかし「簡単に身につきそう」→「やってみたい」という幻想を懐きやすいためになんどもチャレンジをする人があとを立たずに一定のマーケットを形成できるとのことである。
で、ふと、思った。
ナレッジマネジメントってのも挫折産業ではないか?
「過去のノウハウをきちんと整理して再利用すれば便利になる。」「情報共有をしてもっと効率的に仕事を進めよう!」「みんなでアイデアを出して協力すればこれまでにないすばらしい商品(サービス)ができるんじゃないか?」何か確かに簡単に出来そうな感じがするのだ。しかもかなりの人が小さなコミュニティでこの分野の小さな成功体験を持っていてイメージもしやすい。
かくして、多くの企業がナレッジマネジメントに取り組み、そして夢半ばにして挫折していく。そしてほとぼりが冷めた頃にまた次のチャレンジが始まるのだ。英会話などの場合と同じように以前の失敗もまったく無駄になるわけではなく、それまでの積み重ねがベースになったり、その延長から次が始まったりするのも似ている。挫折産業の特徴のひとつに「本質的な意味では挫折しない」というのにぴったりあてはまる。
案外、ナレッジマネジメントのコンサルタントというのは英会話教室の先生なんかと同じ職種なのかもしれない。
ちなみに挫折産業の市場規模を計算する式まであるそうだ。以下がその式。
延べ顧客数=やりたい人の数×(1-達成満足確率)×限界チャレンジ回数
=====2006/12/9 AM 追記
再度、月刊アスキーの記事内容を確認したところ、当記事の補足説明用の挫折産業における欲求のメカニズムを説明した図の中に
目標の達成はたいへんだが確実にやれている人がいてその魅力は輝いている
という特徴を示した1文を改めて発見。確かにナレッジマネジメントの分野でも、数少ない成功企業は存在しその企業は輝いていることは補記しておきたい。