「うちのマーケは駄目だ」で考える「プロダクトマーケティングを基本に忠実に実践しろ」
なぜ、「うちのマーケは駄目だ」と言われるのか
IT会社の経営者や営業と話すると「うちのマーケティングが弱い」とか「うちのマーケは駄目だ。マーケティングしてない」との声を聞くことが多い。 いや、多いというより、殆どの人が、これらのように言っている。「うちはマーケティングだけは強い」という人に会ったことがない。
これは、マーケティングの価値を「強烈で華やかな広告やキャンペーンの実施」で評価する人が多いのが原因だ。 「強烈で華やかな広告やキャンペーンの実施」は、一般消費財やコモディティ化した商品であれば正しい場合も多いが、ITサービスや企業向けソフトウエアなどでは必ずしも正しくはないが、それがわからない。
また、実際にマーケティングチームが「マーケティングを実践していく力」が無いことに起因していることも多いようだ。
いずれにしても、「マーケティング」は「コンサルタント」と並ぶ、うさん臭い職種の代表だ。しかし、同時に両方とも多くのビジネスマンの憧れの職種でもある。 これは、この二つのエキスパートへの大きな期待への裏返なのだろう。
マーケティングのイメージの問題はおいとくとして、「実行力」について考えてみると「マーケティングチームが基本に忠実に実践していく力」が不足しているようだ。
マーケティングの世界を論理や計算だけの世界と捉える方も多いが、マーケティングの現場は非常にベタな世界であり、「基本を実践するための」パッションと社内調整・改革力で支えられている。
マーケティングのプロは「基本に忠実に実施できる力とパッションがある人」なのである。
さて、では基本とははなんだろう。
製造現場の基本は4S(5S)、
部長の基本はD+6Cなら、
プロダクトマーケティングの基本は以下の「5P」である。
・ポジショニング
・製品(Product)
・価格(price)
・販売チャネル(place)
・プロモーション
の「5P」の基本にフォーカスして戦略を立案し、実行するためのプロセス、フォーメーションをつくり、実施状況を管理・推進していくのである。
このような基本的なことをThink(検討)&Execute(実行)していない状態で、新しいアイディアを出すと、外人から「それってJust Idea(単なる思いつき)だね」と馬鹿にされ、これを繰り返していると「君ってアイディアマンだね」と皮肉を込めて言われ、信用されなくなる。
スキーでも、上級者であれば「足を揃えよう」と考える人はいない。
シーズンの最初はプルーク(ボーゲン)の形から入り、徐々にスピードに乗せたり、角づけ、踏み込みなどで反動を利用したりしているうちに、結果として必要な範囲で板がそろってくる。
ゴルフでも、まずは、平地で、ヘッドを動かさず、真直ぐ引いて、しっかりフォロースルーして、真直ぐ飛ばすことという基本が重要であり、いきなりスライスの練習をすることはい。
まずは基本通りにやれる状態を作り、そこを中心に工夫することが大切になのである。
また、基本が出来ていれば、何か新しいアイディアでの改革やチャレンジをして失敗したときでも、「基本に戻って軌道修正、再チャレンジ」できる。
しかし、基本をマスターして無い状態や基本的なことを実践していない状態で、様々なアイディアをいきなり実行しても、
成功率が低く(たまに成功するからやっかい)、
軌道修正が出来ず(もともと軌道をきめてないから当然)、
次のアイディアを実行するときのための学習にならない(仮説・検証ってやつね)。
もし、マーケティングが弱いと考えているのであれば、奇抜なキャンペーンや広告を考える前に、この「5P」を検討して、それぞれの戦略を立案し着実に実行してみるべきだ。
プロダクトマーケティングの視点で「5P」の戦略を検討する際の基本中の基本が「製品ライフサイクルによる戦略立案」である。
次回、実際のITマーケティング現場で利用されている「製品ライフサイクル戦略」を紹介する。営業戦略立案にも大いに役立つはずだ。