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社員の時に見ていた店の状況、オーナーになってから見ている店。見ている方角が違うとこんなにも違うコンビニの光と影。お客様とは何にも関係無いところで巻き起こるあれやこれ。(笑

コンビニ3強時代が来た!! ◯ークルK◯◯クス「・・・えっ?」

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 皆さんもam/pmの日本国内の営業が終わったことはニュースでご覧になっただろう。「日本国内におけるam/pm店舗 営業終了のお知らせ」このニュースが世に知らされたのは2年前のことだ。「am/pmはファミリーマートに転換――コンビニ業界は3強時代へ
 
 「コンビニ3強時代へ」とあるが、私はこの方向性に異論がある。

 先日「競合店は生かさず殺さず」では、ヘッポコ店舗が近くにあると相対評価が良くなると書いたが、競合店を潰してはいけないもう一つの理由として「市場を独占してはいけない」と、考えているからだ。
 地域の住民数に合わせてコンビニは存在しなくてはならないし、看板も数種類必要という考えでいる。飽和状態以上の店舗は遠慮なく潰す(潰されるかも知れないが笑)。

 では、何故市場を独占してはいけないのだろう。独占すれば売上は良くなるし、競合の恐怖も無くなるしいい事だらけでは?
 確かに独占状態と言うのは短期的に考えれば良いことかも知れない。しかし、長期的に考えれば消費者側にとっても店舗側にとっても決して良いわけではないと考えている。

3つの占
独占
独占(どくせん)とは、ある財やサービスに係る市場において売り手(供給者)や買い手(需要者)が1人(1社)しか存在しない状態のこと。前者を売り手独占、後者を買い手独占という。
複占
複占(ふくせん)とは寡占の形態の1つで、ある財・サービスの供給者が2社しか市場に存在しないケースをいう。
寡占
寡占(かせん)は、市場の形態の一つで、ある商品やサービスに係る市場が少数の売り手(寡占者、寡占企業)に支配されている状態のこと。

◯寡占
 今回問題にしたいのは、この状態である。
 まず、寡占とはどの様な状態かというと、上位4社が市場の40%を超えた時を言う。
 では、現在はどうなっているのだろう。

参照;新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン] 
数字は2010年7月現在の店舗数。
12,771軒 セブンイレブン
9,792軒 ローソン
8,677軒 ファミリーマート am/pm
6,216軒 サークルKサンクス
2,032軒 ミニストップ
1,593軒 デイリーヤマザキ
1,083軒 セイコーマート
841軒 ココストア
688軒 ポプラ
683軒 スリーエフ
569軒 セーブオン

合計 44,945軒 上位4社計 37,456軒 83.3%と、すでにコンビニ業界は寡占状態なのである。

寡占状態だとどうなるの?
◯買い手側のデメリット
 寡占企業が結託(カルテル)して値段を吊り上げたりする場合が考えられる。もちろん独占禁止法で禁じられているが、近隣する店同士が値下げをしても、他店舗も値下げをし、それが効果が無いとすれば、暗黙的に値段を上昇させるということが起こりえるのだ。
◯売り手側のデメリット
 戦略的に相互依存が起こり易い。どこか1社がある戦略を行えば、他の起業も追随する。ファミリーマートさんがファミチキで高実績を上げれば、ローソンさんもLチキを販売する。あれだけ、フライヤー導入を拒んでいたセブンイレブンさんでさえ、現在多くの店でフライヤーを導入してフライドフーズに力を入れてきている。そのうちに、チェーン間の特色が無くなってしまい、立地のみの競合となりうるのだ。
 この状態は、消費者側にも選択権を無くしかねないと筆者は考えている。

 これら状態は、経営者としての手腕は関係無くなる為、非常にツマラナイ。現状はギリギリツマラナイ状況では無いが、このまま、チェーンの統合が進めば各社の特色は失われていくと思われる。いや、すでに消費者からは「コンビニなんてどこも同じだ」と、思われていると言っても過言では無い。

 もちろん経営者として、寡占もしくは独占状態の方が楽である。無駄な競争をしなくても良くなるからだ。しかし、それは同時に己の力を弱めることになるのだ。
 社員だった頃こんな状況によく出くわした。ある地域で、当社店舗が独占状態の商売をしていたのだ。しかし、競合が出店してきた途端、その店舗は顧客から見放され、最終的には閉店に追い込まれた。その逆もある。
 それら店舗は、独占状態にあぐらをかいた商売をしていたのだ。独占は経営力を失わせ、それは消費者にも害がある状態だと言えるだろう。

 コンビニが3社のみになった時、各社は"切磋琢磨"出来るのだろうか?それとも、暗黙のカルテルに陥るのだろうか?
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