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社会的価値を磨くための3つのツール 1/2

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リスキリングは異なる業務や職業に就くために、必要なスキルを獲得させること

リスキリングは新しい仕事をするための取り組みであり、いまの仕事の改善ではない

ビジネスの主役がモノからサービスへと変わりつつある中、ビジネス価値の源泉は、これまでにも増して「肉体労働」から「知識労働」へのシフトを加速しています。リスキリングが注目されるのは、こんな背景があるからです。

「リスキリング」の役割は、「異なる業務や職業に就くために、必要なスキルを獲得させること」です。

この言葉は、2018年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で取り上げられたことがきっかけとなって、注目されるようになりました。この年のダボス会議の中で、数年で8,000万件の仕事が消滅する一方で9,700万件の新たな仕事が生まれるとの予測が報告されました。そして、今後新たに生まれる仕事では、いまのスキルセットは使えなくなるので、社会全体でリスキリングに取り組む必要があるとの提言がなされました。

そんな「リスキリング」は、この主旨からも分かるとおり、いまの仕事に必要なスキルを磨くことではありません。これから生まれる新しい仕事に適応できる新しいスキルを獲得することを目指すものです。

昨今、「リスキリング研修」と称して、データ活用や新しいITツール、クラウド・サービスを使いこなせるようにするための研修を行っている企業があります。しかし、このような研修を受けて現場に戻っても、仕事はこれまでと同じでは、「リスキリング」ではあません。新しいスキルを獲得した後には新しい仕事に取り組むことや、新しい職場に移動することとセットにしなくてはなりません。そのためには、研修だけではなく、新しい事業や仕事、ポジョンも作り出し、配置転換などと組み合わせた包括的な「リスキリング施策」が必要となります。

もちろん、データ活用やITツールの研修は、いまの仕事の効率化や改善に役立ちます。ただ、「リスキリング」と称する以上は、経営変革の一環ととらえ、経営課題として取り組むべきでしょう。これを人事や人材開発の部署に丸投げし、結果として、現場改善のための取り組みに留まっていることもあるようで、これでは、本来の役割を果たすことはできません。

終身雇用の幻想、社会的価値の必然

終身雇用は幻想となりました。本来、終身雇用は、いまの仕事の中で、経験を積み上げ、その範囲でスキルを磨いていけば、雇用が保証される仕組みです。従業員は、生涯にわたる生活の安定と活躍できる場所が得られる一方で、企業側は安定した労働力が確保できます。

このような相互補完的な利害の一致は、双方にとって魅力的ですが、その前提は、企業が存続し、事業が継続し続けることです。その事業に見合うスキルを活かせる仕事やポストを提供できることが前提です。

高度成長期ならば、企業はどんどん大きくなり仕事の量もポストの数も増えていきました。しかし、ビジネス環境がめまぐるしく変わり、将来を予測できないVUCAの時代になり、また、社会全体の経済規模の拡大も見込めません。さらには、テクノロジーの急激な発展と、これを武器にしたデジタル・ネイティブの台頭により、新たな競争原理に対処することを強いられ、これまでのやりかたのままで事業を存続させることが難しくなりました。

この事態に対処すべく「変革」だとか「DX」が叫ばれ、それと抱き合わせでリスキリングの必要性が叫ばれているわけです。しかし、例えリスキリングをしたとしても、社内という枠組みの中で、次の受け皿を作ることは、もはや容易なことではありません。だから、新たな事業ニーズに対応するための人材の入れ替え(というリストラ)や事業再編、異業種との合弁設立など、社外を考えた大きな枠組みで取り組む必要が生まれています。

そんな時代だからこそ、どこにいっても通用する自分になること、すなわち「社会的価値」を高めてゆくことに、真摯に向き合わなければなりません。

「社会的価値」とは、会社や地域の文脈に依存せず広く社会に求められる存在であることを意味します。「社会的価値」を手に入れるには、リスクを冒してでも、自らを世間に晒し、様々な人のつながりやいろいろな経験を通じて、自らの覚悟を育ててゆくことです。転職や独立も、そんな社会的な価値を高める手段になることもあります。しかし、自分が、日頃から「社会的価値」を高めることに関心を持っているのか、そのための行動をしているのかをまずは問うべきでしょう。

成り行きでは「社会的価値」は、高められません。自分の意志で行動を起こすことです。まわりが、与えてくれることではありません。「まずは覚悟を決めてから」などと行動を先送りしてはいけません。まずは、行動することです。その結果として、覚悟は固まります。「どこに行っても通用する」存在、すなわち「社会的価値」とは、そんな行動習慣を持っていることが、基本です。

■社会的価値を高めるために行うべきこと

自分の感性に従って「面白そうだからやってみる」ことです。これをやれば給与が上がる、待遇が良くなるからではありません。ITに関わる仕事をしているみなさんならこの意味がよく分かると思いますが、いまの流行なんて長続きしません。自分の向き不向きも、過去の限られた経験の中での、自分の勝手な思いこみです。それが正しいという保証はどこにもありません。だから面白そうなことに飛びつき、徹底していじり倒し、また新しいことが登場したら、また飛びついてみる。そういう体験から得られる感覚が必要です。

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いろいろなことをする必要はありません。1つのことを深掘りすれば、必要な情報が増えてゆきます。結果として、幅広い知識を得られます。そのためには、楽しくて、ワクワクして、長続きできそうなことに取り組むのが、効果的です。

ワクワクが見つからないのなら、いまやるべきことをやり続けることです。そうすれば、やれることが増え、やりたいことが見つかる可能性があります。何も行動を起こさず、限られた知識の中で妄想して答えを決めるのではなく、まずは行動から始めてはどうでしょうか。

そんな行動習慣があれば、情報は集まり、人のつながりは増え、アウトプットの機会も与えられ、自分を世の中にさらけ出す機会はどんどんと増えます。自ずと、自分の向き不向きも見えてきます。結果として、自分の覚悟は固まり、社会的にも存在感を高められるようになります。

社会的価値を磨く3つのツール

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斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

  • 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
  • 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
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