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【図解】コレ1枚でわかるSI事業者間で利益格差が生まれる理由

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業務要件定義から保守サポートに至るどの部分に注力するかによって、利益率が大きく変わるのが、SIビジネスの特徴です。

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一般的な受託開発では、業務要件定義から保守サポートまでが、スマイルカーブで描けます。このスマイルカーブのどのレイヤーに注力するかによって、SI事業者の利益率が、大きく違ってしまいます。

例えば、大手のコンサルティング会社は、上流工程のコンサルティング部分のみに注力し、高利益を得ています。さらに、IBMやアクセンチュアを代表とするシステム開発も行う大手事業者の場合は、上流工程のコンサルティングで利益を稼ぎ、それ以下の工程は、非常に低い単価のエンジニアが使える自社のオフショア拠点を使います。これによって、高い利益率を確保しているのです。また、プロジェクト全体が薄利になりそうな場合は、上流工程のコンサルティングのみを受注し、利益率の低い下流工程をSI事業者に任せることも可能です。また、突発的な外部環境の変化は、稼働人員をレイオフすることにより稼働率を維持できるため、常に高利益体質を担保できるのです。

ではなぜ、我が国のSI事業者は前述のような低コスト構造になってしまうのでしょう。我が国のシステム開発の現場は、上流工程と下流工程をうまく分離できず、それらが密接に連携している場合が多いからです。また、工程全体を請け負う場合も少なくありません。そのため、利益率の低い後工程も請け負わざるを得ない状況になっています。さらに、人月単価は、後工程の単金に引きずられ、コンサルティング部分の単金が抑えられる傾向にあります。

後工程部分についても、多重請負構造によりコミュニケーション・コストがかかってしまいます。また、オフショア化をすすめようにも、ユーザー企業の曖昧な要求を、常駐することでユーザー企業の現場の「空気」に馴れさせ「あうんの呼吸」で対応してきたので、標準化された要求仕様文書を作ることができません。さらにユーザーからは、日本語への対応を強く求められます。このような理由から、容易に対応できる状況にはありません。結果として、利益を出しにくい構造になってしまっているのです。

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