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できない講師の言い訳、できる講師の心がけ

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「今日の受講生は注意散漫、態度もなっていない。」

そんな怒りをぶちまける研修講師がいた。しかし、彼の話は単調でつまらない。これまでの経験や学んだ知識を伝えるだけであり、驚きもなければ、華もない。講義の設計と言えば、時間配分だけ。緩急をどのようにつけるか、集中力を絶やさないための休憩のタイミングや受講生の右脳と左脳の活性をどのように演出するかといった講義全体のデザインがない。何よりも対話がない。自分のペースで一方的で、受講者の状況に反応し、目配りや声量の増減、問いかけという受講者との言語/非言語でのコミュニケーションにも気を使わない。それでいて、今日の受講生には集中力が欠けているとか、態度が悪いという。これでは仕事としての講師は務まらない。

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もちろん態度の悪い受講生もいる。話しをはじめると腕組みしたり机にしっかりと顔を付けて居眠りをはじめたりするヤツ、携帯電話やPCでカチャカチャと内職をはじめるヤツ、どう見ても上の空のヤツなどポケモン図鑑に登録したいようなモンスター受講者がいることは確かだ。しかし、受講者が集中できない、講義をまともに聞かない理由の8〜9割は講師の責任であろう。たとえ、参加させられる興味のない「義務研修」であっても、その受講者を任された講師は彼にその義務を果たさせなければ役割を果たすことができない。そのためにも、どうにかして彼を講義に惹き込み、集中させるのが講師の務めだ。

現役を引退し、これまでの経験を後進に伝えたいと講師を志す人も少なからずいる。しかし、知識や経験があるだけでは、講師という仕事は務まらない。特に、どこかの専属のサラリーマン研修講師ではなく、フリーで講師をやるというのであれば、なおさら「講師力」を磨かなければ、仕事は回ってこない。

講師力のポイントは、「構成力」、「声力」、「対話力」の3つだ。

構成力

講義全体のデザインだ。最も大切なのは、講義で何を伝えるかではなく、結果として受講者にどうなっていてほしいのかといったゴールを明確にし、それを受講者あるいは講義の依頼者と合意することだ。そのために、そのゴールを講義の冒頭で受講者に明確に伝えたり、受講者に講義のゴールを講義の冒頭に議論させたりして、自分たちは何のためにこの講義に参加しているのかを自覚させる必要がある。そのゴールを達成するために内容や展開、演出を考えてゆくという順番ですすめることが肝要だ。

演出の中で特に考えるのが、講義に引き込む方法だ。そのテクニックとして有効なのが、「脅し」、「びっくり」、「なぜ」の3つである。

  • 脅し:このままじゃ大変なことになるよ、本当にいまのままでいいの、といったメッセージと共に、他人事ではなく自分事へと意識の転換を図ること
  • びっくり:常識だ、知っていたといった自分の思い込みをブチ壊すこと
  • なぜ:人は「ものごと」が起きる理由や背景、理屈を知ることで安心する。だから、それをなかなか伝えないようにして、「その理由を知りたくありませんか?」とじらすこと

どう伝えればいいかが最も大切だ。正確な用語は知らないが、人には「既知の罠」といったような心の働きがある。自分が知っているのだから、相手も知っているはずだという思い込みを持ってしまうことだ。つまり、自分が理解している言葉の意味やロジックを相手も知っていると勝手に思い込んでそのまま使ってしまう。悪気があるわけではないし、知らないおまえが悪いと上から目線なわけでもない。それが常識という思い込みである。しかし、講師は人より多くを知っているから講師であり、その自覚がないままに「こんなことは知ってるはずだ」を前提に内容を作り、話しをしてしまうと相手に伝わらず、難しい、よく理解できないといった不満が受講者に生じてしまう。そのためにも常に目線を受講者の立場に移し、「これで伝わるだろうか」を常に考えながら内容や表現を作らなくてはいけない。

展開の方法はひとつではないが、先ず全体を伝え徐々に細部に移してゆくことが受講者に負担の内展開となるだろう。

声力

声の大きさ、抑揚、緩急など声そのものの魅力や迫力だ。なんやかんやいっても講義の品質として「声」は大きな要素を占めている。だから、講師は発声を訓練すべきだ。舞台俳優や落語家の声の出し方から学ぶことも多い。自己満足のためのカラオケであっても相手を魅了できる歌を歌えるように努力すべきだろう。そうやって「声力」を磨く努力を怠るべきではない。

対話力

言語を使った質問や会話だけではない。受講者の態度や集中力の状態を見ながら、声の大きさを変える、話題を変える、移動して話すなどの非言語的な対話も含まれる。

例えば、眠そうな受講者がいれば、彼の前へ行って話すとか、少し黙って彼をにらみつける、「具合、悪いの?」と声をかけてみるといった具合だ。また、休憩時間の配分も、午前中であれば1.5時間に1回、午後であれば、疲れ具合を見ながら30分から45分間隔で短い休憩をこまめにとることも効果的だろう。また、午後13:30〜14:30は睡魔が最も襲ってくる時間帯だが、ここではあえて全員に立ってもらって、机の前から移動し、立ったままで3〜4人くらいのグループで「質問を考えるディスカッション」を5〜10分くらい行うのも効果的だ。

いずれにしろ、受講者の状態に常に目配せをして、その状態に反応し、講義の展開を変化させてゆくことが必要になる。

いろいろと思いつくままに書いてみたが、これだけで語り尽くせるものではないが、参考にしていだけることがあればと思っている。

いずれにしろ、講師は知識がある、経験があるだけでは仕事として行うには不十分。「講師力」とでも言うべきか、そんなスキルを磨いてゆくことも怠るべきではない。

「伝えたという自分の満足ではなく、分かったという相手の満足が大切」

講師にはそんな心構えが必要だろう。

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