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大きすぎて痛い入れ歯を、小さく削って合うようにしました。

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介助の方の助けを借りて来院されたSさん(70代女性)は、なんと一年間で7キロもやせてしまったそうです。

入れ歯が痛くて入れることもできず、食事もほとんどできない状態でした。

早速診断させてもらうと、1年前に作り直したという下の総入れ歯は、歯ぐきを覆うピンク色の部分が鳥の翼のように大きく立派なものでした。

私が学生の頃に教科書で見た「総入れ歯の理想の形」です。

しかし華奢なSさんには大きすぎる。

大きな入れ歯はアゴの骨に乗って安定しますが、大きすぎると舌や靭帯の動きを邪魔して痛みを生じさせます。

入れ歯を小さくすることが先決。

そこで周囲を1センチほど大胆に削りました。

それでもまだ大きい印象は残りましたが、削りすぎないのも大事。

さらに歯ぐきに当たる面に柔らかい材料を薄く貼りつけて歯ぐきとピタッと合う形にしました。

これは床裏装と言います。

いとう歯科医院ではよく行う保険でできる治療法です。

すっかり小さくなった入れ歯をつけたSさんは「全く痛くないわ」と笑顔になりました。

介助の方もSさんを見るなり「あら、今までと表情が違うわね」とおっしゃってくださいました。

あとは食事や会話などして気づいた点があればさらに微調整して使いやすい快適な入れ歯にしていきます。

痛くない。食事ができる。見た目がいい。

理想を追求していったら患者さんが笑顔になった。

そんな入れ歯を目指しています。

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