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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

海外旅行・出張危険回避講座 (一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その29 「タクシー・リムジン症候群」

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海外旅行・出張危険回避講座
(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その29 「タクシー・リムジン症候群」


「タクシー・リムジン症候群」というのを知っているだろうか?
 私たちは自分が運転する時には、シートベルトを締めるのに、タクシーに乗ったり、バスなどに乗るときには、ほとんどシートベルトを締めない。
 車の後部座席に座ったとたんに、安全だと思ってしまい、タクシーでも、長距離のバスでも、シートベルトを締めない。後部座席が、前の座席より安全とは言えないことも、知っているが自分は助かると思ってしまうのだ。
 事故が起こるまで分からない真実なのか。このような心理的行動のことを米国では、「タクシー・リムジン症候群」と名付けている。個人が運転している車の後部座席に座って、まずシートベルトを締めると、前で運転している人が、「自分の運転を信用していない」と思うのではと感じてシートベルト着用を遠慮してしまうこともあるという。

車で旅行する限り、海外での交通事故に巻き込まれる可能性はある。 もともと車の後部座席、あるいは車にまったくシートベルトそのものがない国々もたくさんある。そのような国々で旅行をする時には、運を天に任せる以外に方法はない。

 アフリカの奥地のチャド湖の近くで乗っていたタクシーが、時速100キロほどで走っていて、対向車を避けそこない、高台の道路から右に落ち、砂漠に突っ込み、そこに有った小高い砂山でジャンプして、空中に飛び出し、無事にそのままドカンと着地した。天井で頭を打ったが、後遺症は無かった。車はがたがた(もともとかなり古かった)だったが、それでも動いた。

 砂漠の小高い山の左右にすこしでも違った位置でぶつかり方をしていたら、横転していたに違いない。当時は(多分今も)シートベルトなんてなかった(だろう)。一つ間違うと、とんでもない事故になっていた。

 私は海外で地方に出張した時に、長距離をチャーターした車で走ったりするときには、後部の座席全部に体を横にして寝て、できるだけ衝撃を緩和するような姿勢を取っていた。

 余談だが、 中南米やネパールでバス旅行する限り、バスが谷底に転落する可能性は非常に高い。ネパールでは、毎年相当な数のバスが、谷底に落ちている。全員死亡となっているケースが多い。 私もネパール国内を旅したが、ほとんどの道路が山の中のくねくね道だ。居眠り運転、ハンドル操作の誤り、スリップ、対向車を避け損ね、雨期の土砂崩れに巻き込まれなど、何でもある。ひどいのは、屋根の上の乗客が振り落とされていることだ。屋根の上は、涼しくて景色は最高だが、地獄への一直線である。


 なんとなあと、感心したのは、ネパールでの、車両谷底転落事故対応だ。ネパールで発達した独自の技術は、谷底に落ちた車やバスを数十メートルの上の道路に引き上げる事故対応技術である。
 転落した道路の反対側に深い穴を掘って、直径20センチほどの鉄管を数本埋めて、ワイヤとジャッキで引き上げていく。その早いこと早いこと。
 ネパールでは、バスに限らなければ、毎日国土のどこかで車が谷底に落ちている可能性があり、谷底転落事故対応の実戦の経験値が非常に高い。だからその作業は早くて巧い。
 

ポイント 

(1)海外での長距離の車やバスでの旅行は、まさにアドベンチャーとなることを覚悟しておくこと。

(2)事故が起こった場合の、車の中のもっとも危険率が低いのは、運転手席の後ろの座席だという。運転手は事故が起こる直前、自分の危険を避ける行動を取ることがある。したがって、車の反対側での衝突や損傷が最大になることがある。そのために、運転手の後ろの席がほんの少し、危険性が少ないというが、真実かどうかは分からない。

(3)ただ、バスでも、車でも、同乗しているならば、その車の運転手が居眠り運転するのを、同乗者が看過するのは、問題がある。特に長距離のバスの場合は、常に、バスの運転手を見張る必要がある。

 


アイデアマラソン一口メモ

多数の個人的ノート術は、「良い発想がでたら書き留めましょう」という、あたかも良い発想が道路の向こうから歩いてやってくるというような説明が多い。それは「待ちぼうけの発想論」という。アイデアマラソンが戦略的なのは、アイデアマラソンでは、良い発想を自分で引き出すという基本の姿勢の違いである。どんどん考えて、書き留めていけば、いずれはその中に良い発想が混ざってくるのだ。考えないで、向こうから良い発想が自然に湧いて、こちらに向かってくることはない。発想は、手繰り寄せる必要があるのだ。毎日、考え、書き留める必要がある。

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「仕事ができる人のノート術」(東洋経済新報社)

一読すればあなたも、毎日発想を残すことができる。それがあなたの財産だ。

 

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