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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

海外旅行・出張危険回避講座 (一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その27 官憲の不法行為

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海外旅行・出張危険回避講座
(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その27 官憲の不法行為


 友人と二人で、モロッコのタンジールからスペインのアルヘシラスに船で渡る時、税関の前に数百人の長い列ができた。
 列に並んで長い時間を掛けて、パスポートコントロールにたどり着き、パスポートを制服の係官に提出したら、「あなた方は飛行機でカサブランカに入国していますから、飛行機で出国しなければなりません」と言う。
「そんなルールなんて聞いていない」と言うと、パスポートを突き返してきて、「そっちで待ちなさい」と事務所の横を指さした。
 私は友人に荷物を預けて走り出した。船の出航の時間が迫っている。税関の前に並んでいた旅行会社に飛び込んで、「英語を話す人はいますか?」と探し、事情を話したら、「そんなルールはない」という。その時に分かった。 
 私たち二人が、パスポートコントロールの長い列に並び始めた時に、一人の一般人の男が近づいてきて、「お助けしましょうか」と聞いてきた。
 助けてもらう必要など何もないので、「要らない」と断ったら、「いや、要るようになりますよ」と、ニヤッとして、不穏で不気味な発言をしながら、去っていったのだ。
(なるほど、分かった。やりやがったな)

 あくまで推測だが、そのパスポートコントロールの係官とその男とはつるんでいて、おじさんが旅行客に声を掛けて、多分、長い列を省略して、係官にパスポートを先に出し、優先手続きを済ませて、旅行客からお礼をもらい、後でその係官にもお礼の一部が回る仕組みになっているのだ。
 だからサービス提供を断った旅行客をいじめるために、その男は、係官に「この列の後の、東洋人2人を懲らしめてくれ」と頼んだのだろう。

(ようし、こうなったら徹底的に戦ってやろう。それはまず他の係官に問い合わせをすることだ)と、私はまた汗をかきながら、税関まで戻った。税関の横に立っていた別の係官に、事情を話したら、「そのようなルールはない」と言う。「ではどうすれば良いか?」というと、「列に並んで、もう一度出しなさい」と言われて、また、長い列に加わった。

 列の先頭に来たら、先ほどの係官は、いなくなっていた。拍子抜けだった。まったく問題なく、私たちは船に乗り込むことができた。ただ気分は最悪だった。
 海外には、官憲の中にも、悪人がいる。フィリピンのマニラでは、いくつかの土産を鞄に入れていたら、どうどうと「一つくれないか」と要求された。


 インドのカルカッタについて、こんなことわざがある。「カルカッタの上空を飛行機で通過する時は、自分の財布を手でしっかりと押さえていた方がよい」というのだ。それほど物騒だという。
実際にインドのカルカッタから出国する時に、セキュリティチェックで、単にX線でチェックするだけでなく、すべての手鞄の中を係官がいちいち開けて、内容をチェックするが、その鞄に入れていた携帯電話を、なんと係官に盗まれた。
セキュリティチェック直前に鞄に入れて、機内で見たらなかったのだ。それもセキュリティチェックの係官に盗まれたのだから、ジョークにもならない。

 ナイジェリアでは、悪徳警官はざらにいる。何度も脅された。怖い目に遭い掛けた。日本がどれだけ平和でマシか心底から感じた。

 

 

ポイント 
(1)悪徳役人・警官がいる国は本当に哀しい国が多い。不当なことを要求されても、聞こえない顔をして、黙っているのが一番だという。税関の悪徳役人たちは、稼ぐのに忙しく、頑固で、どうしようもない黙っている旅行者といつまでも、付き合っていられない。忙しいのだ。あきらめて、次の旅客に向かって行き、あなたは無罪放免となる。
(2)何も悪いことをしていない。何も変なものを持っていないとすれば、堂々としていれば良い。早く外に出たいと焦ると、足元を見られる。
(3)怒り狂うことは、最後の最後だ。悪徳役人は、仲間にもあまり知られたくないこともあるが、全員が悪徳役人だと、結託されて、うその証言をされることもある。
(4)悪徳警官の場合、侮辱されたと他の警官に証言されると、無実の罪をなすりつけられる。

 

アイデアマラソン一口メモ
 アイデアマラソンは、現在、米国、韓国、タイ、ドイツ、トルコ、インドに実行者が増えている。アイデアマラソンを考案したのが、1984年であるから、すでに28年間実行してきた。普通、発想法の考案者は、考案した発想法を、毎日、それも28年間も続けることは、めったにない。現在の実行者数は、2000名を超えていると思われる。現在も、金沢学院大学、大手前大学、大月短期大学、北陸先端科学技術大学院大学などで多数の学生たちが、毎日、アイデアマラソンの発想を、ノートに書き留めている。

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最新刊のアイデアマラソンの本
「仕事ができる人のノート術」(東洋経済新報社)
一読すればあなたも、毎日発想を残すことができる。それがあなたの財産だ。

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