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商社マンの営業として33年間(うち海外生活21年間)、国内外で様々な体験をした。更に、アイデアマラソンのノートには、思いつきを書き続けて27年間、読者の参考になるエピソードや体験がたくさんある。今まで3年半、ITmediaのビジネスコラム「樋口健夫の笑うアイデア動かす発想」で毎週コラムを書き続けてきたが、私の体験や発想をさらに広く提供することが読者の参考になるはずと思い、ブログを開設することにした。一読されれば「読むワクチン」として、効果があるだろう。

復興日本のために ロボット特区を

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復興日本のために ロボット特区を

 福島第一の原子炉建屋に入ったのが米国製ロボットと聞いて、意外に思った人は多かったはず。

 高い放射線がビデオカメラの受光素子や半導体に影響を及ぼすことから、優れた走行性能を持っている日本のロボットも、原子炉や高放射線の中での操作と作業の実績がないことから、2番目になってしまったのだろう。

 しかし、「東北で何を新しい産業にしていくのか」という質問に、これで確信を得た。
 それは様々な「自動制御技術」だ。自動制御が東北の目指す技術となる。その一番が東北の農業を完全自動化を実現しようということ。

 前回のブログでは、東北を起業特区にしようと訴えたが、その起業の目玉になるのは農業の完全自動化、すなわち完全農業ロボットを作り上げる農業自動化特区とすることを提案したい。

 そのロボットの形態や作業方式の具体的方法も、私自身のアイデアも持っているが、それは東北で起業化する人たちが、各々自分の発想で考えればよいだろう。復興させる農地はまだしばらくは塩分で使い物にならないが、その間に、完全自動農業ロボットを設計しよう。

従来のロボットメーカーも、総合電機メーカーも、大学も、研究所も、個人のベンチャーも、ハイテク回転寿司のメーカーも、すべてが知恵を出し、農業ロボットを設計しよう。政府と東北県連合は、まずは農業万能ロボット試作の大コンテストを募集しよう。個人の賞金数億円(安い!)、企業参加の賞金は数十億円(安い!)
 日本の技術なら絶対にできる!

 当然ながら、例えば米作のすべての作業を、無人化し、農家は、自宅から作業のすべてをコントロールする。米作だけでなく、小麦も、トウモロコシも、できれば野菜も、すべてロボットがすべての段階で担当する。

一つの稼働部分のロボットが、様々な作業をオプションの作業器具を付けて行う場合と、大きな作業ごとに機械を取りかえる方法があるが、シンプルイズベストだ。世界で初めての完全自動農法を試みよう。まずは完全無人農法のモデル地区を作ろう。

 これが成功し、量産化され、デファクトスタンダードになれば、農業ロボット需要は無限だ。世界中に輸出が可能となる。どんどん新しい機種をつくろう。農業ロボットの輸出が日本を支える可能性もある。牧場も、畜産も更に無人化し、衛生管理化していく。畜産ロボットも必要となる。

 懸命に農地で働くロボットには、「花子3号」なんて名前が付けられるだろう。
「うちの花子はよく働く。24時間働く。今もがんばっているのだろうなあ」なんて、高台に住む農業コントロールセンターの端末の横で高いびき。もちろん、対人の安全性も何重にも配慮されているし、人が農地に近づけば警報が鳴る。イノシシが近づけば、弱レーザーでイノシシや熊やタヌキを傷つけないように追い払うこともする。雪が降り積もれば、自動的に雪かきもしてくれる。

しかし、これらのロボットは、一端作物の扱いになると、もうこれは繊細な、壊れものに触れるように作業する。一粒の実も無駄にしないコンセプトである。

また、農業ロボットは、完全防水で、万が一海に襲われても、生き延びる強さをもたせることも考えたい。

 農家はすべて兼業となり、お店や勤め人やIT関係の仕事をしているのが普通になるかもしれない。

復興会議では、東北地方を元に戻すことをお考えなのだろうか。元に戻しただけでは、不足だと思う。元に戻しても夢は不足だと思う。その向こうの夢を描いて欲しい。

 東北を農業ロボットのメッカにしたい。今年が「東北ブランド農業ロボ元年」だ。

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