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人工生命国際会議 ALIFE 2018 「Beyond AI」 この先のAI、視点の転換

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欧米の2つのconferenceが統合された初の人工生命国際会議は、欧米でなく日本にやってきました。この「ALIFE 2018」が7 月23 日~27 日に、そのプレ・コンファレンスが22日に、「Beyond AI」(人工知能を超えて)をテーマに開催されました。日本科学未来館に世界各国から研究者らが集まり、AIを超えた大きな概念であるALife(人工生命)について、AI、ロボット、生物学、アートなどの様々な角度から、テクノロジーと人間や生命の新たなありかたが議論されました。

人工生命会議で見えた、AIの限界と空騒ぎの危険」Forbes Japan

小生は、上記の記事を書きました(ロドニー・ブルックス強烈でした)が、そこに書ききれなったことは多く、その一部をここに記します(上記の記事を補完する内容ありでダブりあり)。

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世はAIブームですが、バズワードとなった「AI」に流されることなく、未来を見据えてもっと新たな視点で知の創造にチャレンジしようという強いメッセージが伝わってきました。

いまの人工知能の限界と可能性

毎日のように新聞でAIが騒がれ、特にディープラーニング(深層学習)という手法が脚光を浴びています。

しかし、ライドシェアの巨大企業UberのAIラボを創設したセントラルフロリダ大学教授ケネス・スタンレー氏は、AIのいまのアプローチでは創造性はつくれないと指摘します。ディープラーニングもデータから学習して最適なアルゴリズムに収束したら終わりで、そこからあまり発展しません。

スタンレー氏は、それじゃ面白くないだろうと問いかけ、例えば多様なもの異なるものを学び続けるといった、オープンエンドで終りのないアプローチの可能性を唱えます。

AIの歴史を振り返れば、冬の時代が続いていたニューラルネットワークが、トロント大学のチームがこれを使ったディープラーニングで劇的な進歩を示した2012年から、急速に研究が活発になりました。つまり、AIはいまのディープラーニングで完成しているわけではなく、これからが楽しみな分野と言えます。

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セントラルフロリダ大学教授ケネス・スタンレー氏

発想の転換とエコシステム視点

生命というと、人を基準に考えたり、一匹づつの個体を思い浮かべたりしませんか。

ALIFE日本開催のリーダーである池上高志・東京大学教授と鈴木健氏は、人を特別に考えすぎであり人間中心でなくてもいい、生命はもっと大きな見方でとらえるべき、と指摘します。

例えば、一匹の蟻をみて、複雑で大規模な巣を想像できる人はいないでしょう。つまり、個体だけみていても実際の生命現象はとらえきれず、集合体としてみる必要があります。複雑系を研究する英ブリストル大学のセス・ブロック教授は、蟻や原始生物から人まで例を示して、個体と集合体について追及します。

筑波大助教でメディア・アーティストの落合陽一氏は、モノと生命の組み合わせ、そしてエコシステム(生態系)を生命として捉えることを語ります。

例えば、ツイッターなどネット上での動きを生命体としてみることもできるでしょう。すると、個別のAIが個人の能力を上回るかという問いは、ごく一部の点しか見ていないことが分かりますよね。

こうした議論から、視点の持ち方が大きく影響し、視点を変え視野を広げることが、とても大切なことが分かります。これは、AIや人工生命に限らず、広くあてはまることでしょう。

筆者はブロック教授に、MBAの授業で個体と集合体についてどう扱っているかと問われ、顧客やパートナーとのフィードバックループの重要性や、チームづくりの大切さ、一つの生命体のように動く組織の強さ、などを挙げましたが、この辺は授業でさらに強調したいと思います。

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英ブリストル大学のセス・ブロック教授

<Resource> ALIFE 2018 website ALIFE 2018 Facebook ALIFE 2018 General Public Event Facebook ALIFE 2018 Twitter ALIFE pre-conference Facebook Alife Lab. Facebook    

<その他の参考記事> コンピューターに生命は作れるか? 人工生命国際学会「ALIFE2018」リポート|FNN Prime
ALIFE2018の実行委員長であり、複雑系科学・ALIFE研究者の池上高志氏(東京大学教授)、スマートニュースの創業者で大学時代は池上研究室の院生でもあった鈴木健氏、スタートアップの創業・成長支援を行うMistletoe代表の孫泰蔵氏、ライブストリーミングチャンネル「DOMMUNE」を主宰する宇川直宏氏によるトークセッション

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