IT/PCを中心に様々な話題を振り返ることで未来を考える

iPadと電子書籍に関して思うこと。

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 先週は久々に中国・北京にPC Watchの仕事で行っていました。相変わらず北京は好景気。”八十後世代”は好景気を当て込んで高額ローンを組み、次から次に消費しているが、そろそろの婚期が近付いて意識も変わるんじゃないの?と中国人に聞いていたんだけど、全くそんな雰囲気はなく。
 内陸の都市では北京や上海よりさらに好景気というのだからスゴイですね。景気動向ってのは、ある意味集団催眠状態で緩やかなマインドコントロールが入ったような状態、なんて事を思った事がありましたが本当にそう。実際に八十後世代の人たちと話してみましたが、まだまだ消費意欲は旺盛でした。

 そんな中国に夜便で出発する直前の成田で、97年までアップルで広報をしていた外村氏にiPadを受け取り、中国出張中に使っていました。同じホテルで一緒に御飯を食べていた山田祥平氏と元麻布春男氏が、ふたりとも中国で使えるMiFi(3G無線ルータ)を借りていたので、それを間借りして快適なiPadライフでした。

 そんな中でいくつか思った事。

・スクリーンが大きくてキレイなのは美点ではあるけれど、電車通勤者にはちょっとデカイんじゃないかな?(新書プラスα程度の全体サイズを持つ6インチスクリーンぐらいが良さそう)
・Google Docsを活用しているなら、Memeo ConnectとGood Readerは必ずインストールしたい。Docsにプレゼンから文書から何から、とりあえず放り込んでおけばConnectから入手して各種アプリに引き渡せる(iTunesから文書をアップロードできるけど、個人的にはネットに上げる方が管理が楽
・Evernoteも便利だけど、今のところGoogle Docsと上記のツール類があれば間に合ってるかな?Mail.appのメモも同期取れるしね
・カメラはCAMERA-AとCAMERA-Bを使ってiPhoneのカメラを使うのが簡単(そこら中のWebサイトに書いてあるから知ってますよね)
・通信できないiPadはとても悲しい。WiFiモデルを使うなら自宅や会社がメインの人。あるいはPocketWiFiなどを一緒に持ち歩く人向け
・もちろん同期したデータのビューアとして割り切れるという人なら、それも一案(オンデマンドなアクセス用途はiPhoneでも出来る!という割り切り。でもきっと不満が出るはず)
・意外に大きくて重いから、やっぱり電車の中で立っては使いづらい
・3Gモデルを買うかどうかで悩んだけど、やっぱりWiFiモデルでいいや!ってのが現在のモード。来月になると安価な3Gルータの選択肢も拡がる予定だから、Pocket WiFi持っていない人もOK
・情報筋によるとMicro SIMはドコモからは出るとの情報。たぶん日本通信からも出るでしょう。ソフトバンクはどうかなぁ?きっと出すんだろうね。規格が違う……という誤解を信じてる人がいるけど、単にサイズが違うだけで発売そのものの障害はありません
・3G版を選ぶという人は、PCや他の無線LAN機器で3Dデータ通信を行うかどうかよく考えること。Micro SIMは電気的な互換はあるけど、形は違うから差し換えて使えないはず。データ通信の契約を二重に持ちたくないなら、複数機器で使う人は3Gルータを使うのが吉じゃないかな

 また、様々なところで何度も書きましたが、”iPadの電子書籍”といってもフォーマットは色々。ePubは本当に書籍的なものを表現する際に使われているけど、コンピュータなんだからフォーマットがなんであれ、コンテンツとビューアがあれば、どんな形式でも読めます。反対にフォーマットが同じでも保護されたコンテンツはDRMが違えば読めない。
 つまり有償で販売されるコンテンツに関しては、フォーマット+DRMで考えなきゃいけないのだけど、ソフトウェア次第でどんなフォーマット、どんなDRMでも対応しようと思えばできるわけです(ライセンスや実装の問題はさておき)。
 たとえばNY Timesなんかは独自ビューアで、紙の誌面に近い構成で記事を見せる工夫をしています。当然、この形式で配信しているのはNY Timesだけ。でも、同じ形式のデータを表示できるソフトを書けば、別にiPadじゃなくたって同じ記事を見ることができる。
 表現の手段としてフォーマットをどうするか、という議論は重要だし、あまりにフォーマットが乱立するのもアレですが、ビューアを自分で用意して見せたいというコンテンツフォルダの電子新聞、雑誌に関して言えば、フォーマットはどっちでもいいんじゃないかな?もちろん、コンテンツ寿命の長い書籍なんかは、標準フォーマットで将来も読める方がいいけれど。

 そこにこだわるよりも、果たして書籍が電子化したならば、あらたにどんな価値をそこに創造できるかの方が重要です。電子化するのはスタート地点で、電子化することによって、他のサービスと書籍を結び付けることができる。
 本を読む人同士のネット上での結びつきを、電子書籍を媒介役として作り上げる仕組みを構築できれば、より多くの本との出会いを演出できるようになるでしょうし、そこに本の流通を絡めていけば、書籍全体の流通ボリュームも大きくしていけるでしょう。

 っと、iPadから話は逸れてきましたが、電子書籍に関しては”電子化する”という部分や、業界構造をどうするか、既存ビジネスをどう守っていくか(あるいは切り崩すか)という話題ばかりで、ちょっと食傷気味。iPadが発売されたことで、電子書籍の可能性として見える事が、より幅広く見通せるようになってきました。ここからはスピード勝負です。
 書籍流通の一部が電子化していくのは、時間軸の進み方は人それぞれ意見があるとしても、方向そのものは大きくは違わないのでは。ならば、そろそろ電子化に向けて、何が自分たちにできるかを考える時じゃないかな。そうでなければ、書籍の電子化という流れの中で、新たなビジネスのチャンスをみすみす見逃すことになるでしょう

 というわけで、手前ミソな宣伝で恐縮ですが、リアルな書籍のビジネスと電子書籍データ配信のビジネス。このふたつの折り合い付けていくために、どんな事が必要なのか。電子書籍の特長を活かして、コンテントの管理を行う手法(実際に開発している事例もアリ)など、ココでは書けないことを新社会システム主催のビジネスセミナーで話します。

 ”書籍が電子化する”ということは、ビジネスのルールが変わるということ。ルールが変われば、既存の事業者もその役割が変化してくる。”電子化すると儲からなくなる”ところがあるのは当然ですが、”電子化することで生まれるビジネス”も当然あるわけです。
 出版社に関して言えば、むしろ電子化することで、権利保有に関して実は弱者でもある出版社より力を振るいやすい環境になる面もある。著作隣接権すら持たない出版社も、うまくコンテンツの許諾管理の手法を提供する事で、紙の書籍ビジネスと組み合わせた新しいビジネススタイルを構築できるでしょう。

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