10数年ぶりに見た「ヱヴァンゲリヲン」。映画好きは公開中の"破"を見るべし
新エヴァシリーズ最新作が公開になりましたが、これは映画好きなら誰もが楽しめる傑作じゃないでしょうか。こんな名作をアニメファンだけのものにしておくのはもったいない。みんな、是非、劇場に足を運びましょう。
ある雑誌で「アニメはあんまり見ないし」と書いたら、別方面で「本田さんはアニメ嫌いなんですよね」なんて言われましたが、僕は決してアニメ嫌いじゃありません。というよりも、中学時代はまさにファーストガンダム最盛期で、アニメージュの別冊なんかを友人はたくさん買ってました(我が家は小遣いが少なかったので、とても買えなかったけど)。ファーストガンダムは富野さんの小説シリーズも当時読んだり、人並みにガンプラも作ってましたよ。
ただ、その後、まわりの友人は美少女キャラの絵を描くことに没頭し始めるヤツがいたり、ついていけないほどマニアックにガンプラのジオラマを作りに熱中しているヤツがいたり、しまいには当時8ビットのパソコンで美少女キャラのイケナイ姿にするゲームを作る事に学生生活を賭けているヤツがいたりで、ちょっと(いや、かなりか)ついて行けなくなった上、アニメ系雑誌もどんどんマニアックな方向に行ったので、あまり数は見なくなったというのが正直なところです。
アニメが好きです!という人は、それこそアニメにすごくたくさんの投資をして、時間もかけているのだから、とても雑誌なんかの対談で「アニメも好きですよ!」なんて言えないじゃないですか。
ただ、あまりにたくさん出てくるOVAの情報を追いかけ、新しい作品を片っ端から見るほど好き、というわけじゃないというのはその通り。最近だと鬼塚のBDは全話見ました。同じ放送枠でも、ウルトラヴァイオレットCODE044は、どうにも僕には合わなくて途中で見続けるのを断念しましたが……。少し前ならプラネテスを、かみさんと二人で楽しんでました。今から思うとD-VHSで保存しておきゃぁ、よかったですね。BD版で再度見たいと思ったけれど、コレ
はいくらなんでもちょっと高すぎません?<NHKさん
っと話がまったく違う方向に行ってますが、タイトルの「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」。我が家から歩いて10分ほどのシネコンで見てきました。まだ未見だった「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
」が日テレで放送されてからにしようと思ったんですが、我慢できずに”序”をAmazonプライムで注文。映画館に行く前にきちんと復習してから出撃です。
僕がエヴァンゲリオンをはじめて見たのは、たぶん95年末か96年の初めぐらい。出入りしていた編集部の編集者やデザイナーの間で流行り始めてて、その時に出回っていたVHSの録画テープを見たのが最初です。軽い気持ちで深夜に見始めたら止まらなくなり、朝までかけて12話ぐらいまでを一気見。結局、翌日の夜に20話までを見たあと、最後は放送を自分で録画しながら最終回までを追いかけました。
しかし、その後は一緒に徹夜で見たカミさん(アニメはジブリ系以外、滅多に見ない)と話題にすることはあっても、再度見返すことはありませんでした。だって、議論してみたって結局、どういう主張をしたいのか、物語の解釈の幅が広すぎて、どうどう巡りになると思ったから。制作者側の迷いみたいなものが、見ている方を混乱させるような。そんなところがある作品だったこともあって、結論は出ないだろうと。
とはいえ、新エヴァシリーズでは、作り手も前よりも大人になって、自分たち自身の迷いに対する結論を出そうとしている、という雰囲気がありました。いや”序”の公開時にはそこまでは思わなかった(だから劇場には足を運んでいない)けれど、”破”では、そこらへんがものすごくうまく行ってそうな雰囲気を感じたわけです。
もっとも、”序”のBDを見始めた時は、記憶に残るTVアニメシリーズのリメイクっぽい雰囲気から始まって「こりゃ、失敗したかなぁ」と思ったのだけど、映画が終わる頃には徐々に期待が出てきました。この記憶が新しいうちに、劇場へと高揚感を保ちながら足を運んでみると、コレがもんのすごい傑作です。テレビシリーズに感じた、あのモヤモヤ感、イライラ感。そんなものはありません。これはもうTV版のリメイクなどでは絶対にない。
制作者側が新シリーズについて、どんなことを語っているのか、僕は情報をチェックしていないので知りませんが、”破”ではエヴァに対する疑問が徐々に晴れていき、詰まっていた鼻が通っていくように、軸のブレがない見事なシナリオで新しいエヴァの世界が描かれていました。
もし、このままのクオリティで次回作も作られるのであれば、日本が世界に誇れる映画になるとでしょう。アニメファンはもとより、是非とも邦画(ライブアクションの方)の関係者に見て欲しい。ほとんど自主製作の形で作られた新エヴァが、限られた予算でこれほどの品質を出していること。必ずしも大衆受けを狙った日和見的映画なんかにしなくとも、良い作品であれば観客はしっかりと評価するだけの目を持っていることを、きちんと認識して、誰に対しても恥ずかしくない映画を作って欲しい。
しかし悩ましいのは、今のペースで制作が続くとすると、次の公開は2年後って事。さらにその次(4部作……でいいんですよね?)となると、今から4年後。今までの10数年を考えれば短いとも言えるけど、スッキリするまであと4年。少なくとも、それまでは(?)、食いっぱぐれないように仕事を頑張らなきゃ。(と思ったら、コメントにあるように、第3部、第4部は1本なんだそうですね)