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やっぱり支離滅裂に感じてしまう、私的録音録画補償金制度に関する権利者会議代表者の主張

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 先日、7月10日にJEITAの人と会った時、「いつも(私的録音保証金制度について)いい記事を書いてくれてありがとうございます」とお礼を言われました。しかし、当然ですがJEITAのために記事を書いているわけじゃありません。

 正直な話、1台あたり数100円ぐらいなら、「もう面倒くさいから払うよ。だから使わせろ」と、昔の気が短かった頃なら、とっくにキレていたかもしれません。が、自分はそれで良くても、これから数年後、たとえば今、中学生の子が初めて録画機を買おうなんて時に、過去の経緯も議論も知らず、いつの間にかよく分からないコストが上乗せされているなんて状況を作りたくないなぁと思うわけです。

 もちろん、世の中の仕組み上、どうしても損失が出てしまう。不公平な状況になるなら、補償金は必要でしょう。でも、本当に不公平な状況が存在し、それについて補償金のように税金に等しい手法でしか解決できないのか?そこを納得できないのに、本当に必要なのかどうかも怪しいコストの上乗せを常態化するのには、反対というのが、この件に関する僕の考えです。

 でも先週、7月24日に行われたデジタル私的録画問題に関する権利者会議など(すいません、あまりに長いので著作権利者団体と略します)が開催した記者会見を見る限り、どうも補償金の根拠とか、誰が払うかとか、そういうことはどっちでも良く、今、補償金がここにあるのだから、今後も別の方法で補償金をよこせ、と言っているようにしか見えませんでした。

 なんというか、記者会見の内容も、支離滅裂です。その上、そこには消費者の存在なんか、まったく、チリひとつの重さも感じさせません。何が言いたいのか、もうさっぱり分からなくなってきました。

相互理解をしようと努力しているのだろうか

 著作権利者団体の顔役として、前面に立ってがんばっている椎名氏ですが、意図的なのか、それとも本当に理解していないのかは不明ですが、JEITAの見解にかみついています。7月10日のJEITAの主張は僕も直接きいていますが、椎名さんはJEITAが"損失が存在し、他の手法で解決できない事案に関しては補償を検討する必要がある"という見解を採っていることを忘れているようです。

 つまり、有料放送は元々コピーワンスで変化はありませんし、契約者との料金を複製の範囲を考慮したものにすればいい。無料放送は、そもそも無料で放送されているものなのだから、経済的損失はありません。

 それにですよ。アナログ放送をデジタル録画したものは、無限にデータコピーできてしまいますが、デジタル放送でダビング10になると、それがなんと10コピーに制限できるんですよ!!権利者の方々においては、とっても素晴らしい制度じゃないですか。コピーワンスからダビング10への移行というのは、即ち、デジタル録画したコピーの数が、無限大から1に減っていたのが、10になるだけです。その上、10なんてコピーを作る人はまずいません。消費者はダビング10で、ちょっとした安心感程度の利益しか受けないんですから。

 だから、アナログ放送をデジタル録画することに関しては補償が必要。しかし、コピー範囲が限られているデジタル放送では不要という結論になるのは、当然のことでしょう。本当はアナログ放送も、もともと無料放送なんだから、一般的な私的録音録画の権利を鑑みて、補償は不要だと僕は思いますが、JEITAさんはその点は寛大なんでしょうね。

 でも、この理屈は著作権利者団体には通らない。AV WatchのU記者が「JEITAはアナログ放送のデジタル録画に対してしか補償金を払っていないと言ってましたよ」と話すと、著作権利者団体の方は「なんだそれは。まったく理解できない」と切り捨てたそうです。

 いやいや、僕らみたいな、いち消費者からすれば、理解できないのは、あなた方の方ですよ。経産を引き合いに他人の責任を追及する前に、自分たちがどこから、どのうような根拠で補償金を徴収できるのか、いまいちど考え直した方がいいんじゃないでしょうか。

文化保護目的なら税金にすべき

 もうひとつ、びっくりしたのは、補償金が加わっても製品の値段は上がらないという主張。なんというドンブリ勘定でしょうか。BDレコーダにかかる補償金のモデルケースとして、松下の中でもっとも低価格なレコーダを取り上げて759円と試算しています。その上で製品の価格は市場や販売店が決めるもので、補償金で価格は決まらないと話しています。

 本気で言ってるんでしょうかね。1製品あたりにかかるコストが759円も上がるんですよ?メーカーは補償金を代理徴収した上で、それを補償金管理団体に対して、消費者の代理として納めます。当然、そのお金は消費者から徴収しなければなりません。そもそも工業製品における、1台あたり759円という膨大なコスト上昇を、価格と無関係と言い切るというのは、あまりに滑稽です。

 それに著作権利者団体の方々は、レコーダによるタイムシフト視聴によって、恩恵を受けている面があることにも目を向けた方がいいでしょう。たとえばコピーネバーで放送したならば、単純にその番組を見る人が激減するだけの話です。

 娯楽が多様化した中で、消費者は決まった時間にテレビの前に座り、CM時間までトイレに行くのも待ちながら、ライブで見る人なんてどんどん減っている。その中で、かろうじて録画してでも見たいという人がいる。レコーダとテレビ番組というのは、CM飛ばしなどの面ばかりが強調されますが、放送局や出演しているタレントにとっても、プラスの側面がものすごく大きいのでは?

 最後にJASRACの菅原さんの発言。「JEITAの声明を見ると、文化保護の制度はいらない、と言っているに等しい。なぜ保護の制度がいらないのか」と話していますが、いつから私的録音保証金制度は、文化保護目的になったんでしょう?

 本当に保護すべき文化があるなら、僕はお金を払いますよ。ちゃんと。でも、その場合は曖昧な金銭分配の制度ではなく、文化庁がきちんと保護すべきコンテンツを検討した上で、税金を徴収して保護すればいいと思います。文化保護が目的なら、法制化に向けてのロビー活動でもしたらいかがでしょう?

 ほんと、こうやって文句を書くのも虚しい気がしてきた。

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