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PS3でSACDに目覚めた人たちに、オススメSACD(その1:ポピュラー編)

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 一部で公開している僕の読者向けメアドに届く質問の中で、最近、最も多いのが「SACDでオススメのってあります?」というものデス。えええええ!確かに僕はSACD大好き人間で、手持ちのCDとかぶろうがなにしようが、海外で見かけないSACD盤なんか見つけたら、即買い占めてくるような人間でございます。が、PS3のSACD音質改善以降、こんなに質問が来るとは思いも寄りませんでしたよ。
 「んなワケないだろ!」と突っ込みたくなる人もいるでしょうが、そらそうでしょう。SACDにしろ、DVD-Audioにしろ、高品質の音楽ディスク規格は、ジャズやクラシックなどの分野を除き、ほとんど聴かれなくなっていたんですから。

 そんなわけで、ちまちまとお返事メールにオススメSACD情報を書いていたのですが、さすがに時間を取られてしまうので、ここに記録してメールの返事には、このページへのリンクを張ることにしました。アマゾンのアフィリエイトIDは入れていますが、まぁ、ご存知のようにSACDぐらいの単価では大して儲かるわけではないのでご容赦を。

 まずは誰もが聴きやすいポピュラー系のSACDからのピックアップです。

  • Twntysomething  --- Jamie Calum

 僕が最近、一番気に入っているのがこのディスク。ジェイミー・カラムの「Twntysomething」。冒頭のThese Are the Days、初っぱなのピアノからグッと引き込まれます。ビリー・ジョエルに似た雰囲気のヴォーカルと、抜群に決まってるピアノの組み合わせは最高。

 一応、ジャンルはジャズになっていますが、カントリー、ロック、ポップスあらゆるジャンルの要素を呑み込んで、すべてがジェイミー流。インディーズ系でデビューして、このアルバムでメジャーデビューとなったようですが、初めて聴いたときは思わずほおが綻びました。

 しかも音がいい!ジャズの名門Verveレーベルは、録音の良い時にはものすごくイイのを出してくれますが、このディスクはまさに”良い時の”Verveの音。マルチもステレオも大変にいい。SACD層とCD層の違いというのも、このディスクでは聞き比べどころ。録音レベルやダイナミックレンジが違うのはともかく、声の質からして全然違うように聞こえてしまう。

 決してCD層が悪いわけじゃないのだけど、ああ、容れ物が違うとマスタリングもこんなに違う味付けになるのね、という感じです。はい。

  • Singles 1969-1981   --  The Carpenters

 もう、超定番のSACDなのですが、どうやらアマゾンの在庫はなくなってしまっているようですね。この盤が出始めた頃は1500円で販売されていたのですが、今やプレミアムが付いて高いところでは1万円以上で販売されているとか。
 僕はカーペンター世代よりは少しだけ下ですが、しかし、もちろん数あるヒット曲のほとんどになじみがあります。そんなカーペンターズの全シングルが収められているSACDは、音質、マルチチャンネル化の巧妙さ、内容すべてがすばらしい。
 カーペンターズのCDは、以前から我が家にもありましたが、高音質と言えるような盤はありませんでした。しかし、このSACDは元のアナログ音源からトラックダウンしたそうで、アナログマスターの良いところがすべて出ています。ファンはもちろん、SACDのアナログちっくな魅力を探るにはピッタリの1枚。それだけに在庫切れが残念。これから再プレスがかかることはあるのかな?ぜひとも再販を!

  • Motown   -- Michael McDonald

 AOR界のスターと言うのがいいのか、それともドゥービーブラザーズをすっかり変えてしまった張本人と言いますか、最近は様々な分野のアーティストとのコラボが多いマイケル・マクドナルドのカバーアルバム「Motown」です。どうもこれが好評だったのか、その後、Motown Twoも発売されました。独特のシルキーヴォイスと、モータウンのファンキーなサウンドの合体は、なかなかすばらしいもので、現代的な力強いベースラインに載って、かの名曲を歌いまくります。
 SACDはマルチチャンネルアレンジがなかなかイイですね。不自然じゃない程度に遊んでいて。音質は高域の伸びやかさや透明感が今ひとつな気もしますが、高域がないからというよりは、全体に低域よりのエネルギーバランスだからでしょう。曲調や雰囲気には合ったマスタリングなので音質にこだわる人もぜひどうぞ。(なお、Motown Twoの方はアマゾンのSACD盤在庫が1枚だけのようです。提携店の在庫はまだあるようですね)

  • Ink   -- Livingston Taylor

 一時期、とにかくSACDでめぼしそうなものは、目推し状態で何でも買っていたため、たまによく分からないけど買っている場合がありまして、これもそのひとつ。あれれ?なんだかジェームズ・テイラーそっくりの声だと思っていたら、実は弟なのだそうで。
 1曲目の「Isn't she lovely?」からして、味のある歌声。スティービーのオリジナルとは、また違った魅力です。そして生ギターの鮮度の高いこと。このSACDを発売しているChesky Recordというレーベルは、高音質の録音を行うレーベルとして広く知られていて、SACDをたくさん発売しています。内容はともかく音に関しては、信用して買って間違いのないレーベルと言えます。

 
  • Up!   -- Shania Twain

 とにかく爽快なポップスをSACDの音質で!とお望みならば、シャナイアのヒットアルバムUp!をオススメしましょう。ご存知の方も多いでしょうが、このアルバムのCD盤はレッドディスクとグリーンディスクの2枚が1パッケージに入っており、レッドはインターナショナル盤の通常アレンジ、グリーンは米国内向けのカントリーアレンジとなっていました。
 グリーンのカントリーアレンジも捨てがたいのですが、聴きやすさと爽快さではレッドの方が上。で、このSACD盤はレッドをSACD化したものです。さすがにトップスターの録音だけあって、音質はポップス系としてはかなり上質。すでにCDを所有しているならば、改めて買い直す必要はないかもしれませんが、これから買うならSACD盤がいいでしょう。

  • UC YMO   -- Yellow Magic Orchestra

 坂本龍一による2枚組のYMO傑作集。いや、このSACDを買った時は、本当にシビレました。何しろ、どんな音源でもスカッと爽やか、ヌケの良い音にチューニングしてしまう、魔術師のようなテッド・ジェンセンがマスタリングを担当。アナログ録音のマスターテープを、最新機材でリマスターした音は、本当に気持ちいい。マルチチャンネルトラックはありませんが、そんなことは問題じゃありません。YMO世代な人はぜひとも入手しましょう。CD層のないSACDオンリーのディスクなので、リッピングしてiPodに入れたいとなると、CD盤も買う必要がありますが、SACD盤のクオリティは大変に高いので、ぜひともこちらを試して欲しいですね。
 初期のアナログシンセサイザーの時代から、FM音源が混じり始め、そしてサンプラー全盛期に入っていく。電子楽器の歴史が、音の質で聴き分けられます。アナログシンセの柔らかな音と、デジタルシンセの固い質感の差が、これほど大きなものだったのかと今更ながらに感じました。
 加えて初期の楽曲の音の厚みの凄まじさ。これほどまでに多くの音を重ねていたのかと、こちらも今更ながらに驚きです。はい。

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というわけで、その1はこのあたりで。まだまだ紹介したいディスクはあるので、他のジャンルも含めてまた近いうちに。

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