個人情報保護法とW-ZERO3の関係
「あぁ、そういうことなの?」と、ウィルコム執行役員の土橋さんと5年ぶりに会って思う。土橋さんは、その昔、テガッキーとか、Feel Edgeだとか、コンシューマ向けの様々なプロダクトを牽引した、当時DDIポケットの名物とも言える、大変元気なマーケティング畑の方だ。
昨年大ヒットしたW-ZERO3。今回は、昨日発売のW-ZERO3 [es]が大ヒット間違いなしのペースで売れている。普段、どんなものを買えばいい?と相談してくる友人が、一斉に[es]の使い勝手はどうだった?とメールをよこしてきた。僕自身はまだ買っていないけど、実はしばらく前にテストで使わせていただきました。はい。
で、その結果はともかく、このW-ZERO3シリーズのヒットの背景には、いくつかの要因があったというわけで、そのうちのひとつに「へぇ〜」と感じたのが冒頭の感想なのでした。
好調にデータ通信ユーザーを獲得していたウィルコムが、ある時、伸び悩みを経験する。個人情報保護法の施行により、PCを持ち歩いて利用するモバイル ユーザーが減ったからというのが、ウィルコムの分析だ。移動時に持って出ることはできても、持ち出しファイルの管理や外部からの社内ネットへの接続制限は 大変厳しい。
モバイルPCユーザーの減少といっても、実際には社外でコミュニケーションを取れなければ困る人はたくさんいる。というわけで、ノンPC端末のW- ZERO3シリーズが受けたというのだ。加えて女性たち(OLたち)が、会社に気兼ねせずにインターネットのコミュニケーションを楽しめるというのも、こ れがまた受けているらしく、女性ユーザーは初代モデルからかなり多かったそうだ(その後、ホワイトなど女性向けカラーが追加されている)。
しかし、個人情報保護法がこんなところに影響しているとは。
最近はPCを持ち出さない、データを持ち出さない、といったひたすらに制限する方向だけではなく、職種によって緩和し、緩和したところはきちんと監視、 管理を行い、クライアントレベルの暗号化をきちんと行うことで何とかしようという方向になっているようだけど、果たしてPCによるモバイルコンピューティ ングに、明るい未来はあるのかな?と。
上記のネタは来週のインプレスのモバイル通信でやろうと思っています。携帯電話の販売奨励金禁止になったら……なんて話もオモシロイですよ。
ところで、そのインプレスの記事で総務省が2年後を目処に販売奨励金禁止を目指しているという話を書きました。するとその記事を受けて、販売奨励金禁止は基本料金で分割払いしているのと同じなのだから、ビジネスモデルとして正しい。禁止する必要はない。そういうメールをいくつかいただきました。
確かにビジネスモデルとして不当であるとは思っていませんし、個人的にこれを糾弾するなんてことはありません。販売奨励金の禁止は、様々な切り口から”競争”を生み出すためのひとつの切り口にしか過ぎません。
携帯電話事業はすでに成熟産業ですよ。販売奨励金は、実はキャリアだって辞めたがっています。これが無ければ、端末にしろ、サービスにしろ、もっと自由に新しい提案ができるからです。なぜかって? それはゆっくりと考えてみてくださいな。
固定電話の頃はイライラさせられた総務省ですが、最近はピンポイントで、なかなか良い仕事やってます。