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ちょっと気になるiTMSのこの数字

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 昨日は取材と打ち合わせの後、東洋経済のブログ特集の打ち上げを銀座の韓国料理屋で。メンバーの一人がサムスン本を書き上げた!ということで、印税収入(予定)でごちそうしてくれました(普通、逆かも。ごちそうさま!)。
 その後、ちょっと飲んでから帰宅すると既に夜中の1時。あぁ、原稿書かなきゃ。と思いつつ、iTMS-Jに接続してみる。「な、な、なんで、松崎しげるの愛のメモリーが3位なんだ!(今はもうちょっと下がってる。iMIXで紹介されたかららしい)」とか、やたらと30代後半から40代に受けそうな曲が受けているよう。
 ちょうどCDをあまり買ってくれない年齢層だから、オンライン販売で開拓できるものならば、もっと30代以上に受ける名曲に力を入れて欲しいなぁ。個人的には(洋楽はCDとiTMS-USで間に合ってるので)80年代の歌謡曲を切望しております。はい。

 まだまだ始まったばかりで、メタデータが間違っていたり、納得できなかったり、あるいはブラウズモードで「すべて」を選んでいるのに、出てこない曲があったりと、まだまだ落ち着くまでには時間がかかりそう。日本楽曲の品揃えも、SMEの参加が無かったことを考慮しても、もうちょっと。もっとも、これは時間が解決してくれるだろう。

 
 で、話を巻き戻して東洋経済の記者と話していた時の事。衝撃的(?)な数字が出てきた。

 なんでもオンライン販売とCD販売で、ミュージシャンが受け取る取り分の”割合”は全く同じなんだとか。つまりiTMS-Jで1曲だけヒット曲が売れても、単価が1000円のシングルCDと比べると……。ちなみに某ミュージックエンターテイメントの場合、新人の取り分はたったの1%(売り出し経費などいろいろかかる費用が多いのでしょうがない)。ベテランや人気ミュージシャンほど取り分は大きくなるそうだけど。

 
 ちなみにEMDサービス会社への音楽出版社からの卸価格は、おおよそ65%前後とのこと。つまりEMDサービスを行うシステムコストは35%前後ということになる。これはモーラでの数字だそうだが、おそらくiTMSでもほぼ同じだろうと話していた。
 ただ、米国の例では、CDのアルバム1枚とiTMSのアルバム1組では、受け取る取り分はほとんど同じって聞いているんだよね。米国の場合、音楽CDは新譜の場合、18ドルというのもあるけれど、安いものは12ドル程度。少し古くなると10ドル以下で安売りすることも少なくない。なので、必ずしもiTMSの方がアルバム価格で安いというわけでもないのだけれど、そういうのもひっくるめて”取り分の割合”はiTMSの方が多くなるそうだ。

 
 つまり(あくまでも米国の事例では)ネット配信による流通の変化によってモノとしてのCDパッケージを流通させる必要がなくなり、その分、中間マージンの割合が減っているということだろう。米国の場合、iTMSのシステム側の取り分は4割ぐらいだというから、システム側とアーティスト側が得る利益の比率が大きくなる、という実に当たり前の状況となり、音楽出版社の取り分の割合は減っている。

 
 ということで、前回のエントリーでは、日本の音楽出版社も時代の変化にようやく追随する腹を括って、従来のコスト構造との違いを受け入れる気になったのかな(と値段を見て思った)と書いたのは大間違いなのかもしれない。

 
 音楽の販売において、流通に変化が起きたのなら、それまで中間マージンで儲けていた企業は、構造的な変化を求められる、というのは実に当たり前の話だと思うんだけどなぁ。本当にCD販売の時と同じ印税率しかないというのが事実なら(事実と断言していたけど)、結局、価格低下で割を喰っているのはミュージシャンなんじゃないかと思ったりして。

 個人的には1曲100円とするなら、アーティストの印税が10〜15円、配信システム側のコストが38〜40円というあたりが妥当だと思うんだけどな。それでも、音楽出版社様はEMDによって認知の広がったアーティストのCDが売れることでプラスに持って行けるんじゃないだろうか。iTMSで知ったアーティストのCDをアマゾンで発注なんて事は日常的にあることなんだし。

 
 そうそう。もうSMEはiTMS対応準備を進めているようですね。そのうち発表になりそうだとか。
 

 

(話の本筋と関係のない追記)
 音マニアでもあるヤマハ広報さんが紹介してくれた音楽DVD「ボズ・スキャッグス・グレイテスト・ヒッツ・ライヴ」が届いた。!?!内容もいいんだけど、何より音質がいい。値段がやや高めなので、今度USに行ったときに買おうと思っていたんだけど、国内で買って正解だったかな。以前、コンサート・フォー・ジョージのUS版を買ったら、位相がズレまくりでDTSトラックが悲惨だった事がある(国内版はOK)んで、今回は実績のある国内版で良かった。
 ビクターのソフトはCDもDVDも音質の良いものが多いような気がするなぁ。

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