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Vistaは未来の展望を見せる偉大なる基礎か、それともハリボテか

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 次期Windows、つまりLonghornの名称がWindows Vistaに決まったそうですね。「未来への展望」だそうですが、本当の意味で未来への展望であってほしいなと切に思います。ただ、ちょっと心配な傾向もあるのですが……。

◎本来のLonghornって??
 ちょっと古い話になりますが、現在のWindows XPはカナダのWhistlerという山の名前から取られています(有名な話ですね)。WhistlerはWindows 2000をベースにWindows 9x系を完全に吸収するための統合Windowsだったわけですが、マイクロソフトはWhistlerの後、Blackcomb(Whistlerの隣にある山)に行くことになっていたんですが、いきなりは無理だ!って話で早々に、二つの山の間にある有名な大岩(Longhorn)に寄り道をする事にしたわけです。

 でもLonghornとなってからも、その位置付けは時代の変化と共に変わりました。なにしろWindows XPから4年が経過し、来年は5周年なんですから、その次のOSに求められるものが変化するのも当たり前です。
 そのおかげで、寄り道だったハズのLonghornは本格的なロッククライミングのようになっちゃいました。Longhornの一つの役目として、Win16から互換性重視で建て増し去れ続けてきたAPIを整理。単純なAPI呼び出しもやめて、クラスとしてOSの機能を提供する事になっています。加えて新APIは.NETと同様の構造を取るため、マネージドコードによる安全性の高い……っと、ま、大きく変化するわけです。
 当初、マイクロソフトは「Longhornでは一切の妥協をしない。できない」と話していました。目標を達成するためならば、スケジュールよりも実装の良さを優先する!と勇ましい限りだったのです。
 APIがフルモデルチェンジなんて事は、もうこれから先、実施できなくなるでしょう。単純にプログラムを書くための機能呼び出しとしては、もうかなりの機能を実装しているわけですが、しかしその先にあるハードウェアまでを含めると、Win32はちょっと貧弱な面もあります。カラーやスクリーン描画の扱いなどは顕著で、柔軟性に欠けているため、ディスプレイの進化に全く追随できていません。
 LonghornではAPIを変えるのだから、もう徹底的に”ハードウェアやソフトウェアの進化を妨げるような硬直した部分を柔軟にする”必要があると。そうじゃなければ、PCの進化というのも、どっかで止まってしまう。だから妥協できないのだ、と僕は理解していました。

◎なんか様子が違ってきたぞ??
 でも、なんか様子が違うなぁと最近感じるようになってきました。どうしても間に合わない、あるいは実装がうまくいかない部分があったようで、(ネットワーク系なんかはうまく行ってそうですが)本当に基礎工事部分を完了できるのか?と疑問に思う事も出てきました。
 一方で、基礎工事の遅れとは別に、マイクロソフトはユーザーエクスペリエンスの部分に対してえらく熱心に実装を勧めようとしているようです。商品として売るには、エンドユーザーが解りやすい派手なモデルチェンジでもあるべき、という事なんでしょうか。個人的にはAero GlassがPCを進化させるとは全く思えないのだけど。
 Windows Vistaが将来への展望を見せてくれる、偉大なる基礎として登場するならば大歓迎ですが、一見して派手で解りやすい、いやぁ凄いね、なんていう見た目だけのハリボテの景色を見せるものなのだとしたら、「Vista」という名前はなんとも笑えないジョークですよ。
 ということで今週はそっち方面のネタでいろいろ話題を集めてみようかなと、某社のコラムの方向を考えています。

◎ああ、平野さんだ!
 前回のエントリーで東洋経済のブログ特集について触れましたが、定期購読者にはすでに届いています。で、表紙は「はてな?」の近藤さんですが、社長ブロガーで社内ブログ運用の権威?!でもある平野さんも登場しています。東洋経済の副編集長にスモーキングルームの話を取材したら?と言っていたんですが、ちゃんと掲載されていました。
 バシっといつものように緑の衣装で決めています。知り合いはみんなで冷やかしましょう。

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