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ハイビジョンテレビを買ったつもりが、もしかするとHDパッケージは見れないかも?(の中間報告)

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 なんか、ほとんどのネタが週末モノな気がして、全然エンタープライズのオルタナティブなBlogになっていない気がしつつ、書きたいことを書いていきます。はい。

 で、なかなかホンちゃんの記事ネタにしにくいところで、AACSネタがあります。AACSというのは著作権保護の枠組みで、AACS LAという団体がライセンスを行うことになっています。AACSはHD DVDとBlu-ray Discが採用しているため、事実上、次世代光ディスクの著作権保護技術とイコール。
 暗号化の仕組みなどほとんどの部分は既に決まっているんですが、出力制御とウォーターマークを入れるか否かの部分はまだ決まっていないようです。決定は当初、4月と言われていましたが、徐々に伸びて6月、そしてさらに8月へとずれ込んでいるというのが最新の状況です。
 要はAACS LAで話し合われている内容が現時点ではクローズドで、しかもまだ正式発表が行われていないため、記事としては作りにくい。ほとんど予想や推測で補うしかありませんから。でも、これからのボーナス商戦で、これはとっても重要なポイントです。

 エンドユーザーにとってAACSが悩ましいのは、出力制御の仕様がどうなるか。出力制御仕様というのは、コンテンツ保護されたコンテンツの出力映像フォーマットを制御する枠組みのことで、アナログとデジタルの両面で、どこまでの品質を出力するかでもめています。

 アナログ信号はYPrPbのコンポーネント信号(D端子もこれです)で480Pまでしか出してはいけないと映画会社は主張しています。これはアナログコピーガード技術のマクロビジョンが480Pまでしか対応していないからだとか。もし、この意見が通ってしまうと、HDCP(個体認証でハンドシェイクして暗号化を行うプロトコル)に対応したHDMIもしくはDVIでしかHD映像を出力できなくなります。

 このルールは自分で録画した映像には適用されませんが、市販のパッケージソフトには適用されるため、将来登場するだろうHD映像のパッケージソフトはHDCP対応デジタルインターフェイス付きのテレビでしか見ることができません!

 もちろん、それじゃ商売にはなりませんし、なによりこれまで販売してきたテレビのほとんどが使えないという話になりますから、家電メーカーは猛烈に反発しているそうです。実際にはコンテンツを持っているのはメーカーではなく、映画スタジオなどのコンテンツプロバイダーですから、なかなか話がまとまらずに先送りになっていると。

 そこで妥協案が提案されています。正式には発表されていないので、参加企業から漏れてくるレベルの話ですが、以下の2点の逃げ道を作るという提案です。

・HDCP対応デジタルインターフェイスがある程度普及する時期を設定し、それまではアナログ出力を許可する(原案では2009年とのことですが、2011年ぐらいまでと主張しているところもあるようです)。
・アナログ出力の許可レベル(どこまでの解像度を出力OKにするか)をフラグとして持ち、コンテンツプロバイダー自身がそのフラグを管理する。

 ただ、そうなると突然、ある日から映像がSDになってしまったり、このディスクはどこまでアナログで出るんだろう?といった消費者の混乱も予想されますから、あまり理想的な案とも思えません(かといって代案があるかと言えばないわけですが)。それに、フラグで制御なんて話は、家電屋がさじを投げて責任をコンテンツプロバイダーに投げてしまったと批判されかねません。

 もうひとつ、頭がクラクラ来そうな事は、HDCP対応デジタル端子(現在だとほとんどはHDMI)を備えていないハイビジョン対応テレビが、未だに新製品で登場しているということ。それどころか、未だにHDMI端子装備の製品をラインナップの中に持っていないメーカーまである。HDMIやDVIは、高速のデジタル通信チップを搭載しなければならず、家電メーカーとしては価格競争激しい中ですべての製品に搭載できないという話なんでしょうが、この件に関してどういう言い訳をするつもりなんでしょう。
 松下の関係者は、HDCP対応デジタルインターフェイスを搭載したテレビは、現在出荷されているハイビジョンテレビのうち、わずかに5%程度だと話していました(現在は対応機種が増えているので、もっと割合は増えているかも)。光ディスク関連の部署では「こんな規格とこんなテレビ端子の状況では、製品化しても消費者に迷惑を掛けるだけじゃないか!」と憤っている人もいました。
 ただメーカーにも責任はありますよ。うん。アナログハイビジョン時代はしかたないにせよ、世界的にはハイビジョンはデジタル接続に向かっているのに、D端子なんてローカルな規格でハイビジョンを早期普及させようとした、そのツケが今、まさに回ってきているんですから。

 これからボーナス商戦に入ろうかという時期。あんまり水を差すようなことは言いたくありませんが、安いからHDMIなしでいいでしょ、なんて売り方はしないで欲しいですね。もしかするとHDのパッケージソフトはSDでしか見れないかもしれません。それがイヤならばHDMI付きを、と説明するべきです。でなければ、AACSが8月に伸びた理由さえ、ボーナス商戦への影響を避けるためではないか?といらぬ腹まで探られることになるかもしれないですよ。

Comment(4)

コメント

デジタルテレビ関連は B-CAS といい失策が目立ちますね。B-CAS廃止するだけでデジタルチューナーの価格をかなり安く出来ると思うのですけどね。

それにしても HDMIケーブルの値段が高すぎです・・・。SCSI のケーブルを思い出させるあの価格を何とかしてもらわないと HDMI に対応した機器を持っていても二の足を踏んでしまうと思います。

PS2 が DVD の価格を下げたように PS3 には HDMI の価格を下げる効果を期待してしまいます。

本田雅一

B-CASは本当にひどい規格ですよね。本来の役目が言い訳にしか聞こえない。海外ベンダーに対してB−CASがライセンスされていない上、カード発行組織の利権にまでなっている。なんとまぁ、お役所的な。
チューナユニットは、おそらく海外から流れ込むと1万円ぐらいになるでしょうね。単体チューナだけじゃなく、安価なデジタルチューナ内蔵テレビの海外参入を防ぐ防護壁にもなってしまっている。違法チューナの発生を未然に防ぐという大義名分があるため、さほど問題視はされないですが。

HDMIケーブルはそろそろ安くなりますよ。短いケーブルはよく知りませんが、知り合いのベンダーが9000円ほどで10メートルのケーブルを出します。短距離ケーブルなら、コンポーネント映像なみになるんじゃないかな。

It's a

どれほどユーザに不便と負担を強いようとも著作権保護のためハードウェアの規格変更を強いるとは勝手過ぎる連中だ。しかも規格といってもPCIやDolbyもそうであったように、HDMIもまたコロコロ規格が変わっている。高額なモニタはあっという間に陳腐化してしまう。きっとHDMI→D端子変換アダプタが売れるよ。

武田正人

でも日本のHDMI地デジチューナーはアメリカより廉いようですね。

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