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朝、日報を書くと仕事がうまくいく

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先日の記事で、仕事をシミュレーションするための「5つの質問」を紹介しました。仕事のシミュレーションをするため方法として、手っ取り早いのが「日報」です。

会社で日報を書くことが義務づけられているところも多いでしょう。この日報というのは、書かされていると思うとヒジョーに面倒なものです。「そんなものを書く時間があれば、作業したい」と思うのも無理はありません。しかし、この日報は、使い方によっては、とても便利なシミュレーションのツールになります。

きょうは、拙著『「やり残しゼロ!」の仕事術 』から、日報を書く方法を紹介します。

  1. 日報は朝書く たいていの人は日報を1日の仕事終わりに書きます。しかし、日報を書く時間を計算に入れてないので、仕事が終わったと思ってから、20分、30分かけて書くことになります。そこで日報を朝書くことにしましょう。日報を朝書くことで、その日のイメージがわいてきます。意識しなくてもシミュレーションできてしまうのです。さらに、日報を朝書くことで、スタートダッシュが切れるようになります。
     
  2. 「今日何がなされるべきか」を書く 日報には「今日やること」を書きますが、このときの視点は「やりたいこと」でも「やるべきこと」でもなく、「なされるべきこと」です。何がちがうのかというと「主語」です。”自分が”やりたいことでも、”自分が”やるべきことでもありません。お客様にとっての価値を提供するために、プロジェクトを成功させるために”何が”なされべるかを考えることで、仕事のムダを省くことができます。
     
  3. 時間を見積もる 仕事のスピードを上げるには、時間を見積もるのがいちばんです。「◯時間で終わらせる」と思えば、締め切り効果が働くからです。それぞれのタスクについて「何時間かかるのか」を見積もりましょう。そのとき「量から導きだす」のがポイントです。「プレゼンの資料は5ページぐらいだな。1ページ1時間として、合計5時間」のように、タスクの量から導き出すことで、時間見積りの精度は高まります。
     
  4. 仕事が終わったときの「気分」を先回りする 日報に「所感」や「気づき」などを書いている人もいるでしょう。これも朝書いてしまいましょう。その日の仕事終わりに「どんな気分でいたいのか」を書くのです。人は自分の言ったこと、書いたことを証明しようとする性質があります。「きょうは思いのほか、作業がすすんでよかった」「会議ではとても生産的な議論ができた」などと、味わいたい気分を書きます。やってみると、かなりの高確率でその気分が味わえることがわかると思います。
     
  5. 進行状況を書き足していく せっかく書いた日報を、仕事終わりまでほったらかしにするのはもったいない。仕事の進行状況をどんどん書き足していきましょう。時間見積りに対して実際にかかった時間や、追加でやった仕事、「あ、あれもやらなきゃ」と気づいたことなどを書き足していくのです。

こうやって、日報を朝書いて、そこにリアルタイムに書き足していくと、仕事終わりには日報がほぼ出来上がっています。あとは、人が読んでも大丈夫なように、文章や体裁を整えればいいのです。

「朝、日報を書く」というカンタンなコツですが、ここにはプロジェクトスキルのエッセンスがつまっています。一日バタバタして「きょう何してたっけ?」と思い出しながら日報を書いている人とは、段違いの差がつくはずです。

ぜひ、試してみてください。

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